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ニューヨークの生徒たち、「アナログ時計が読めない」と発覚

  • 2026.2.6
ニューヨークでアナログ時計を読めない生徒たちが増えている / Credit:Canva

時間を守ることは、社会人にとっても学生にとっても欠かせない基本的なルールです。

しかし、その大前提には「時計が読めること」があります。

ところが最近、アメリカ・ニューヨーク市の学校現場で、その前提が揺らぐ出来事が起きました。

市内の公立学校で、授業が始まってから終わるまでスマホ禁止ルールが導入された結果、アナログ時計を見ても時間が分からない生徒が想像以上に多いことが明らかになったのです。

この一件は、単なる「最近の若者は……」という話ではなく、デジタル機器に囲まれた生活が、私たちの「当たり前の力」をどのように変えているのかを考えさせる出来事になっています。

目次

  • アナログ時計を読めない生徒たち
  • 「テクノロジーに任せるべきこと」と「人間が行うべきこと」を問う

アナログ時計を読めない生徒たち

ニューヨーク市では、2025年9月から公立学校でのスマートフォン使用を大きく制限する方針が始まりました。

いわゆる「bell-to-bell」と呼ばれる仕組みで、始業のベルが鳴ってから終業のベルが鳴るまでのあいだ、生徒はスマホを取り出せません。

授業中だけでなく、休み時間や昼休みも基本的には同じです。

このルールは、授業中の集中力の低下や、SNSを通じたトラブルを減らすことを目的としたもので、州知事や教員組合も支持しています。

導入後、すぐに良い変化も見え始めました。

休み時間には運動場でスポーツをする生徒が増え、廊下や食堂では、以前よりも生徒同士の会話が活発になったといいます。

トランプやボードゲーム、ドミノといったアナログな遊びも人気を取り戻し、ある高校生は「前よりスクールスピリットが高まった」と話しています。

しかしその一方で、教師たちは思いがけない問題に直面します。

授業中や休み時間に、生徒から「今、何時ですか?」と繰り返し聞かれるようになったのです。

教室や廊下には、以前から壁掛けのアナログ時計が付いています。

にもかかわらず、多くの生徒は時計を見ても時間が分からず、先生に直接確かめるしかありませんでした。

ある英語教師は、あまりに質問が多いため、ついには「長い針はどれ?短い針はどれ?」と、いちから説明するところから始めざるをえなくなったと話しています。

ここで重要なのは、ニューヨークの学校では時計の読み方そのものは小学校1〜2年生で教えられているという点です。

つまり問題は、「誰も教えてこなかった」という部分ではありません。

小さい頃に一度は学んだものの、その後スマホやデジタル時計だけを見る生活になったことで、アナログ時計を読む機会がほとんどなくなり、身についたはずの力が使われないまま薄れてしまった可能性が高いのです。

スマホの画面では、数字を一瞬見るだけで正確な時刻が分かります。

針の位置や角度から時間を読み取る必要はありません。

その便利さの裏側で、アナログ時計を読むという、少し手間のかかるスキルは、いつの間にか日常生活から追い出されていたと考えられます。

では、この出来事は私たちに何を教えているのでしょうか。

「テクノロジーに任せるべきこと」と「人間が行うべきこと」を問う

教師たちが強く感じているのは、生徒の能力が極端に低いというよりも、「できていると思っていたことが、実はできていなかった」というズレです。

時間を気にする感覚や、授業があと何分で終わるかを知りたい気持ちは、今の生徒たちにも当然あります。

しかし、その前提となるアナログ時計の読み取りだけが抜け落ちていたことに、現場は驚きを隠せません。

しかも、この問題はニューヨークだけにとどまる可能性は低いと見られています。

アメリカではすでに31の州とワシントンD.C.で学校内のスマホ利用に何らかの制限が導入されています。

さらにカリフォルニア州でも、2026年7月までに、すべての学区がスマホに関する方針を定めることになっています。

つまり、ニューヨークで起きたことは、今後ほかの地域でも表面化するかもしれない「氷山の一角」として受け止められているのです。

このニュースが報じられると、インターネット上ではさまざまな意見が交わされました。

「使わない力は衰えるのだから、アナログ時計が読めなくなるのも自然だ」という声もあれば、「そもそもアナログ時計を読む力は、今の時代にどこまで必要なのか」と疑問を投げかける意見もあります。

また、「時計の問題は、もっと広い教育の問題の一例にすぎない」という見方もあります。

昔は当たり前に使われていたさまざまな技能や道具の扱いが、生活環境の変化によって忘れられていくのではないか、という懸念です。

この視点では、「一度教えれば終わり」ではなく、日常の中でどう使われ続けるのかまで含めて教育を考える必要があるとされています。

さらに、スマホ禁止そのものについても評価は分かれています。

ある高校生は、スマホが手元にないことで授業に集中しやすくなったと感じる一方で、学校でデジタルノートを使えなくなり、通学時に多くのノートを持ち歩かなければならなくなった不便さも語っています。

こうして見ていくと、「アナログ時計が読めない」という話は、単に時計の読み方をもう一度教えれば解決する問題ではないのかもしれません。

私たちが「これくらいは誰でもできる」と思い込んでいる力も、日常生活の中で使わなければ、意外なほど簡単に弱くなってしまいます。

今回のニューヨークの事例は、どの力をテクノロジーに任せ、どの力を人間の側に残して育てていくのかを、私たちに問いかけているのかもしれません。

参考文献

NYC teachers discover teens can’t read clocks after school cellphone ban
https://nypost.com/2025/12/26/us-news/nyc-schools-discover-teens-cant-read-clocks-after-cellphone-ban/

New York teachers stunned to learn some students can’t read time on old clocks after phone ban comes into play
https://www.independent.co.uk/news/world/americas/new-york-phone-ban-clock-time-b2891919.html

ライター

矢黒尚人: ロボットやドローンといった未来技術に強い関心あり。材料工学の観点から新しい可能性を探ることが好きです。趣味は筋トレで、日々のトレーニングを通じて心身のバランスを整えています。

編集者

ナゾロジー 編集部

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