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「W. ユージン・スミスとニューヨーク ロフトの時代」が東京都写真美術館で開催中

  • 2026.5.2

「今推しの展覧会」

フリーキュレーターのSEIJIです!

最近は、美術館の展示に様々な工夫やサプライズを感じます。そんな美術館の現在をコラムにしてお届けする「今推しの展覧会」。今回、私をググッと惹き付けたのがモノクロの写真に鮮烈な印象を覚えた東京都写真美術館のこの展覧会。

出典:シティリビングWeb

W. ユージン・スミス〈私の窓から時々見ると…〉より 1957-59年頃 東京都写真美術館蔵 © 2026 The Heirs of W. Eugene Smith

20世紀を代表するドキュメンタリー写真家「W. ユージン・スミスとニューヨーク ロフトの時代」が東京都写真美術館で開催中!

20世紀のドキュメンタリー写真家として著名なW. ユージン・スミス。アメリカのカンザス州ウィチタの出身で、母親の影響を受けて幼少の頃から写真に親しんでいたようです。

W. ユージン・スミスは、地元の新聞である『ウィチタ・イーグル』での活動を経て1940年代から本格的に報道写真に取り組みました。

そして、第二次世界大戦中に写真を中心とした有名なグラフ雑誌『ライフ』の特派員として沖縄やサイパンなどの激戦地の取材で注目を集めると、戦後も同誌を中心に〈カントリー・ドクター〉、〈慈悲の人 シュヴァイツァー〉、〈水俣〉シリーズなど、人々の生活に密着した作品を次々に発表。

複数の写真と短い解説文を組み合わせて物語を紡ぐ「フォト・エッセイ」の第一人者として確固たる地位を築きました。

W. ユージン・スミスは、沖縄や水俣の作品を通じて日本と接点をもつ写真家だったんですね。

出典:シティリビングWeb

W. ユージン・スミス《ゴーグルをはめた鉄鋼労働者》〈ピッツバーグ〉より 1955年 東京都写真美術館蔵 ©1955, 2026 The Heirs of W. Eugene Smith

出典:シティリビングWeb

W. ユージン・スミス《無題(水俣湾の漁) 》〈水俣〉より 1972 年 東京都写真美術館蔵 ©Aileen Mioko Smith

ロフトの時代にフォーカスした日本初の展覧会

『ライフ』誌での仕事を退いたW. ユージン・スミスは、ニューヨークのマンハッタンにあるアパート(通称「ロフト」)に移住しました。

このロフトは、ジャズピアニストとして著名なセロニアス・モンク、世界的なトランペット奏者のマイルス・デイヴィスをはじめとしたジャズ・ミュージシャン、シュルレアリスムの巨匠であるサルバドール・ダリや抽象表現主義の画家たち、スイス出身のロバート・フランクやダイアン・アーバスなどの有名な写真家まで、時代を担う多彩な芸術家が集う場となり、W. ユージン・スミスはロフトで行われたジャム・セッションや交流の様子を写真に収めていました。

出典:シティリビングWeb

W. ユージン・スミス《無題(ジミー・ スティーブンソン)》〈ジャズとフォークのミュージシャンたち〉より 1958-65年頃 東京都写真美術館蔵 ©2026 The Heirs of W. Eugene Smith

ジャズ・ミュージシャンや画家、写真家が集ったロフトは、W. ユージン・スミスが実験的な撮影や新たな表現を追求した拠点だったのです。

W. ユージン・スミスが注目された「ロフトの時代」の作品は、従来のジャーナリズムの枠を超え、写真の芸術的可能性を探る試みに満ちています。

同展は日本で初めて「ロフトの時代」とその前後の作品を中心に紹介し、報道写真家としてだけでなく芸術家としてのスミスの姿に光をあて、その作品を新たな視点から再考する機会となっています。

その意味で同展は、W. ユージン・スミスの作品の新たな魅力を発見する場となり、あわせてW. ユージン・スミスが目指した報道と芸術の融合に触れることができる貴重な機会といえるでしょう。

出典:シティリビングWeb

W. ユージン・スミス〈屋根裏部屋から〉より 1958-65 年頃 東京都写真美術館蔵 ©2026 The Heirs of W. Eugene Smith

出典:シティリビングWeb

W. ユージン・スミス 〈私の窓から時々見ると…〉より 1957-59年頃 東京都写真美術館蔵 © 2026 The Heirs of W. Eugene Smith

出典:シティリビングWeb

W. ユージン・スミス〈屋根裏部屋から〉より 1958-65年頃 東京都写真美術館蔵 ©2026 The Heirs of W. Eugene Smith

当時のロフトの壁を再現

また同展では、センター・フォー・クリエイティブ・フォトグラフィー、アリゾナ大学(Center for Creative Photography)に収蔵されているW. ユージン・スミスアーカイブの資料を元に、当時スミスが書き残した言葉やスケッチ、新聞の切り抜きが貼りめぐらされていたロフトの壁を、アイリーン・美緒子・スミス(アイリーン・アーカイブ)、サム・スティーブンソン(ドキュメンタリー作家)の監修によりロフトで流れていた音楽とともに展示室に再現。W. ユージン・スミスの思考の軌跡をたどっています。

出典:シティリビングWeb

W. ユージン・スミス 〈私の窓から時々見ると…〉より 1957-59年頃 東京都写真美術館蔵 © 2026 The Heirs of W. Eugene Smith

多様なイベントも体験してみてください!

東京都写真美術館では展覧会の開催期間中に、さまざまな工夫をこらしたイベントを実施していますので、展示の鑑賞とともにイベントに参加してみるのもおススメです。

<担当学芸員によるギャラリートーク>

5月22日(金)[手話通訳付き] 14:00~

参加費無料。ただし当日有効の本展チケット、展覧会無料対象者の方は各種証明書等の提示が必要。

<シンポジウム「W. ユージン・スミスとロフト」>

5月23日(土) 14:00~15:30

登壇者:アイリーン・美緒子・スミス(アイリーン・アーカイブ)、ケヴィン・ユージン・スミス(W. ユージン・スミス・エステート マネージャー)

会場:東京都写真美術館1Fホール

定員:190名(整理番号順入場/自由席)

参加費:無料

※当日 10:00より1階総合受付にて整理券を配布します

※手話通訳付き、文字表示支援付き

<上映情報>

『MINAMATA ―ミナマタ―』

上映期間:5月10日(日)まで / 5月16日(土)~5月17日(日) / 5月24日(日)

休映日:5月7日(木)。上映の詳細はURLより確認ください。

『ジャズ・ロフト』

上映期間:5月8日(金) / 5月16日(土) ~5月17日(日) / 5月24日(日) / 6月2日(火)~6月7日(日)

休映日:6月5日(金)。上映の詳細はURLより確認ください。

出典:シティリビングWeb

W. ユージン・スミス 《セルフ・ポートレイト》 1957年頃 ©1957, 2026 The Heirs of W. Eugene Smith 画像提供: Center for Creative Photography, The University of Arizona: W. Eugene Smith Archive

「「いいアートとの出会いは、きっとあなたの心を豊かにしてくれるでしょう」by SEIJI。

展覧会の期間は6月7日(日)まで。展覧会の詳細は下記のURLからご覧ください。

https://topmuseum.jp/exhibition/5095/

プロフィール/SEIJI(小太刀正史)

フリーキュレーター。MeDEL個人事務所主催。学芸員の目線から美術館の情報を発信する活動を始める。自身もオブジェ作家として活動歴あり。

OBJECT東京展入選 From A The art日本オブジェ部門佳作 日本文化デザイン会議

ETDA展参加など。

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