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信号待ちのタクシーを叩いて道案内を要求する【バイクの女性】…断った運転手が、最後に浴びせられた“身勝手すぎる一言”

  • 2026.4.23
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出典:photoAC ※画像はイメージです。

こんにちは。現役タクシードライバーのけんしろです。

嬉しいことに、タクシーの仕事をしていると、道を聞かれることがよくあります。

休憩中に「〇〇ってどっちですか?」と声をかけられるのは、そこまで珍しいことではありません。
もちろん分かる範囲で、できるだけ丁寧にお答えするようにしています。

ただ、その日は少し事情が違いました。

信号待ちで、突然の案内依頼

空車で信号待ちをしていたときです。
突然、後部座席の窓をコンコンと叩かれました。

お客さまかと思って振り返ると、そこにはバイクに乗った年配の女性。
しかも、かなり急いでいます。

「〇〇駐車場! 〇〇駐車場!」

「早く、早く!」

どうやら駐車場までの道を知りたいようでした。

たしかに、空車のタクシーが止まっていれば、「今なら聞けそう」と思う気持ちは分かります。

でも、その場は車道の信号待ち。
相手はバイクにまたがったまま、こちらは運転席に座ったままです。

落ち着いて道案内をするには、どう考えても向いていません。

それでも女性は、かなりの勢いで聞いてきました。

さらに相手は捲し立ててきます。

「○○駐車場!」

勢いに押されて先導しようかと思いました。
でも冷静に考えると、相手はバイクに乗っているため難しいのは当たり前です。

なかなか答えられずにいた私に女性は、そのまま走り去ろうとしました。
ところが、信号待ちの流れの中で停まっていたため、結果的に私の車が少しだけ進路をふさぐ形になっていました。

すると最後にひと言。

「邪魔だ! どけ!」

道案内をするにも応えるにも難しい状態だったにもかかわらず、そう言われた私は驚きを隠せませんでした。

空車中は、ただ休んでいるわけではない

ただ、あの出来事であらためて思ったことがあります。

空車中は、外から見ると「何もしていない時間」に見えるのかもしれません。
けれど実際には、空車だからこそ動く場面もあります。

以前、お客さまが降りる際、「手袋を片方落としたみたい」とつぶやいて行かれた方がいました。

私は空車のまま乗車地点に戻り、落ちていた手袋を拾いました。

届け先は、5階建ての飲み屋ビル。
ただ、何階のどのお店にいるのか分かりません。

仕方なく、1軒ずつ店を回って探しました。
お客さまは5階にいらっしゃり、無事に手渡すことができました。

もちろん、その分の料金は発生しません。

それでも、運転手としてやるべきことはできたと思っています。

そんな時の「ありがとう」が、やりがいなんです。

空車のタクシーに求められること

乗ってもいない相手に、その場の勢いだけで何でも引き受けるわけにはいきません。
もちろん、できる範囲で親切に対応したい気持ちはあります。

一方で、手袋のように、自分が関わったことで責任があるなら喜んで動きます。

もし目の前で事故が起これば、真っ先に救助に走ります。

そんなこんなで、今日も新たな出会いを求めて、ハンドルを「10時10分」で握っています。


ライター:けんしろ

現役タクシードライバー。
日々さまざまなお客様と向き合う。現場での経験をもとに、移動の裏側にある人間模様や、サービス業における対応力について発信。密室空間だからこそ見える感情の機微を大切に、実体験をもとにしたコラムを執筆している。


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