1. トップ
  2. 入院バッグを持って救急車を呼んだ70代男性→診察後、即日帰宅に…。後日、救急隊に届いた“予想外のクレーム”とは

入院バッグを持って救急車を呼んだ70代男性→診察後、即日帰宅に…。後日、救急隊に届いた“予想外のクレーム”とは

  • 2026.4.22
undefined
出典:photoAC(※画像はイメージです)

こんにちは。ライターのとしです。

70代男性の腹痛で救急要請が入った際、本人は救急車を待つ時点で大きな荷物バッグを持っていました。

確認すると入院の準備だと言います。

ただ、その時点ではまだ入院が決まっているわけではなく、救急隊としても「必ず入院になるとは限らない」ことは伝えていました。

それでも本人の中では「救急車で行くなら、そのまま入院になる」という思いが強かったようで、結果的に診察後は帰宅となり、後日苦情につながりました。

説明したつもりでも、相手がどう受け取っていたかは別だと感じた事案です。

本人は救急車を待つ時点で、すでに入院するつもりだった

今回の要請は、70代男性の腹痛によるものでした。

現場に着くと、本人は大きなバッグを持って救急車を待っていました。

こちらがその荷物について確認すると、「入院するための道具です」という説明がありました。

持病があり、かかりつけ医療機関もある方でしたが、本人の中では、腹痛で救急車を呼ぶ以上、そのまま入院になるという気持ちがかなり強かったようです。

体調が悪い時ほど、先の流れを自分なりに決めて待っていることがあります。

この時点で、本人の中では搬送後の見通しまである程度固まっていたのだと思います。

救急隊としては「入院になるとは限らない」と伝えていた

ただ、救急要請の段階で入院が決まっているわけではありません。
搬送後に診察を受け、その結果として入院になるか、帰宅になるかが判断されます。

そのため救急隊としても、「必ずしも入院になるわけではない」と現場で伝えていました。

それでも本人は入院のつもりを崩さず、荷物も持ったまま搬送を希望していました。

言葉としては伝えていても、相手の中に別の前提が強くあると、その説明がそのまま届かないことがあります。

今回も、まさにそういう空気がありました。

かかりつけ医療機関への搬送は適切だったが、結果は帰宅だった

傷病者には持病があり、通院歴もありました。

救急隊としては、これまでの経過を把握しているかかりつけ医療機関で診てもらうのが最も適切だと判断しました。
連絡を取ったうえで受け入れが決まり、本人をその医療機関へ搬送しました。

搬送先の選定としては、無理のない流れだったと思います。

ただ、本人にとって一番大きかったのは「どこへ行くか」より、「入院できるかどうか」だったようでした。

診察の結果は入院ではなく、そのまま帰宅。

すると本人は納得できなかったようで、後日「救急隊の説明や連絡が悪かった」という形で苦情につながりました。

説明したことと、納得していたことは同じではない

救急隊としては、入院が確定していないことを伝えていました。

ただ、本人の中で「救急車で行く=そのまま入院」という思い込みが強い場面では、その一言だけでは足りないことがあります。

大事なのは、説明したかどうかだけではなく、相手がそれをどう受け止めているかでした。

今回のように、入院バッグまで準備している場面では、「帰宅になることもありますが、その点は大丈夫そうですか」と、もう一歩踏み込んで確認する必要があったのだと思います。

不安が強い時は、自分が思い描いている流れのほうが強く残りやすいものです。

説明した事実と、納得したかどうかは別の問題になりやすい。

そんなことをあらためて感じた現場でした。


ライター:とし
元救急隊員。消防で17年、主に救急隊として活動し救急救命士資格を取得。現場経験をもとに、救急の分かりにくい部分を一般向けに噛み砕いて発信しています。


【エピソード募集】日常のちょっとした体験、TRILLでシェアしませんか?【2分で完了・匿名】