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「体にいいはずが逆効果」医師が警告。実は『脚の関節』を壊している…“健康のために”とやりがちな「NG行動」とは?

  • 2026.4.24
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出典元:photoAC(※画像はイメージです)

健康のために肉を控え、毎日欠かさず1万歩のウォーキングを続けている。そんな健康的な生活習慣が、実はあなたの体を「要介護」へと近づけているとしたら……?

良かれと思って続けていたその努力が、知らぬ間に筋肉を削り取り、関節を壊す原因になっているかもしれません。「なぜ、健康に良いはずのことが逆効果になってしまうのか?」という疑問について、医師である松岡雄治先生に解説していただきました。健康寿命を守るために知っておくべき、正しい食事と運動のあり方についてお伝えします。

粗食と過剰なウォーキングがサルコペニアを招く理由

---健康維持のために「粗食」を心がけ、毎日1万歩のウォーキングを目標にしています。なぜ、これらが体に悪い影響を与えてしまうのでしょうか?

松岡雄治さん:

「ぜひ気をつけていただきたいのは、健康のための『粗食』と『過度なウォーキング』です。これらは、筋肉を痩せさせ、関節を壊す原因になります。

『体重を増やさないために肉を控える』『1万歩を目指して毎日無理に歩く』というこれまでの常識とも言える健康習慣を見直す時期かもしれません。

これらの行動は、サルコペニアという危険な状態を引き起こします。筋肉はたんぱく質という材料と、適度な負荷という刺激で作られます。肉や魚を控えた食事は、筋肉の材料なく動き続けることに他なりません。材料がないまま長距離を歩くと、ウォーキングに必要なエネルギーを捻出するために、体は自分の筋肉を分解してエネルギーに変えてしまいます。こうして、足の筋肉がどんどん細くなってしまうのです。

日本老年医学会などの知見でも、高齢期の過度な食事制限は推奨されていません。肥満を防ぐ目的の健康的なはずの粗食と十分なウォーキングが、実はフレイル(虚弱)と呼ばれる要介護の手前まで体を追い込んでしまうのです。良かれと思った習慣が、自ら筋肉を削り取っている可能性があるのです。」

安静のしすぎや靴選びが転倒リスクを高めるワケ

---関節の痛みがあるときは無理せず安静にしたり、足への負担を減らすためにクッション性の高い柔らかい靴を選んだりしています。これも何か問題があるのでしょうか?

松岡雄治さん:

安静のしすぎは筋肉を衰えさせ、柔らかすぎる靴は足のセンサーを鈍らせて転倒骨折のリスクを高めます。それぞれがリスクになるので気をつけましょう。

痛みを避けるために動かないでいると、関節を支える筋肉が落ちてしまいます。日々の運動による刺激が入らないと体は筋肉が不要だと判断してしまうのです。筋肉が減ると関節への負担がさらに増し、痛みが悪化する悪循環に陥ります。動脈硬化に関する予防ガイドラインでも、座っている時間を減らすことが推奨されています。

足の裏には地面の傾きや硬さを感じる細かな神経のセンサーが集中しています。クッション性が高すぎる柔らかい靴は、このセンサーの働きを鈍らせます。分厚い手袋をして小さな折り紙を折るように、足からの情報が脳に正しく伝わらなくなります。結果としてこの経路が鈍くなってしまい、バランスを崩しやすくなります。一方で、クッション性に乏しい靴を使って、痛みを我慢して硬いアスファルトを歩き続けることも正解ではありません。

痛みを避ける行動が、将来歩けなくなるリスクを密かに大きくしているかもしれないことをぜひ知っておいてください。」

「たんぱく質」と「プラス10分」で歩く力を守る

---将来の寝たきりを防ぎ、いつまでも元気に歩き続けるためには、具体的にどのような食生活や運動を心がければよいのでしょうか?

松岡雄治さん:

毎食手のひらサイズのたんぱく質を摂り、運動は『今よりプラス10分』から始めてください。

具体的には、歩く力を守るために、以下の2つの行動を見直してください。

1つ目は、1日3食、必ずたんぱく質のおかずを食べることです。高齢期には、体重1kgあたり1.0〜1.2gのたんぱく質が必要です。成分表示を見ると驚かれると思いますが、最初のうちは意識しないと取れない程の量かもしれません。
毎食、肉・魚・卵・大豆製品のいずれかを食べてください。ご自身の『手のひら』のお皿に乗るくらいの量が、1食分の必要なたんぱく質の目安です。

2つ目は、運動は『今の生活にプラス10分動く』ことを目標にすることです。無理に1万歩を目指す必要はありません。厚生労働省でもプラステン(10)として推奨されています。家事の合間に足踏みをするなど、座っている時間を減らしてこまめに動くだけで十分な予防効果があります。

しかし、すでに膝や腰に強い痛みがある場合は、自分の努力だけで治そうとするのは危険です。痛みを我慢したまま運動を続けると、関節の変形が進行してしまいます。
医療機関では、痛みの原因を正確に診断でき、あなたに合った靴の選び方や、関節に負担をかけない歩き方を教わることもできます。せっかくの健康意識が裏目にでるのはもったいないので、ぜひ正しい方法で、ご自身の健康を守りましょう。」

今日から始める「健康習慣のアップデート」

健康のために良かれと思って続けてきた「粗食」や「無理な運動」が、実は筋肉を減らし、関節への負担を強めていたという事実に驚かれた方も多いのではないでしょうか。特に、無自覚に行っている食事制限や、痛みをかばうための安静が、結果的に「寝たきり」への入り口になっているという指摘は重く受け止める必要があります。

まずは毎食のたんぱく質摂取から意識し、無理のない範囲で「今よりプラス10分」の活動量を確保すること。こうした日々の小さな積み重ねこそが、将来の歩く力を守る最強の予防法です。もし強い痛みを感じているなら、決して我慢せず、早めに医療機関を受診してください。正しい知識を持って習慣を見直し、長く健やかな毎日を目指していきましょう。


監修者:松岡雄治
麻酔科専門医。総合病院、大学病院、小児専門医療機関での勤務を通じ、幅広い周術期管理に従事。現在は急性期病院で麻酔科医として勤務する。日々、美容領域を含む各診療科の手術に携わっている。医師としての知識と経験を活かして医療系ライターとしても活動し、医療・健康・美容分野の記事執筆、医学論文の解説、商品監修、AI技術開発関連プロジェクトへの参加などの実績を有する。睡眠コンサルタント、睡眠検定1級の資格も保有。

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