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腰に突然の激痛→「ぎっくり腰になった」整体に行くが治まらず…40代男性の身体に起きていた“恐ろしい異変”【医師は見た】

  • 2026.6.5
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出典元:photoAC(※画像はイメージです)

みなさまこんにちは。周術期の全身管理を通じ、「痛み」と「救急疾患」と日々向き合う麻酔科専門医の松岡雄治です。

「ぎっくり腰になったに違いない」腰に走った突然の激痛。40代男性のDさん(仮名)はそう自己判断し、這うように行きつけの整体に駆け込みました。しかし、揉んでも全く治まらず、嘔吐の症状も加わって救急搬送される事態に。

5年で半数近くが再発すると説明され、Dさんは、いつまたあの強烈な痛みが襲ってくるか分からない恐怖を抱えて、心休まらない日々を送っています。Dさんの身に一体何が起きていたのか解説しましょう。

揉んでも治らない「内臓の痛み」というメカニズム

腰のあたりに激痛が走る時、整形外科的な痛みだと考えがちですが、実はその原因は尿管結石かもしれません。尿は腎臓でつくられて、尿管という管を経由して、膀胱にためられ、尿道を通って体外に排出されます。
尿管結石は、この尿の通り道である尿管を石が降りてくる病気で、痛みの王様と呼ばれることもあります。なぜこれほどの激痛が生まれるのでしょうか。

【尿管結石が激痛を生むフロー】

  • 石の落下と詰まり
    尿中の物質が少しずつ析出して、腎臓でできた結晶(結石)が、内径わずか数ミリという極細の管(尿管)に転がり落ちて途中で詰まります。
    尿のせき止め:石が栓の役割をしてしまい、作られた尿が膀胱へ流せなくなります。
  • 腎臓の膨張(パンク)
    行き場を失った尿によって腎臓が内側から水風船のようにパンパンに張り裂けそうになり、腎臓を覆う膜を引き延ばす力が働きます。これが神経を刺激し、腰や背中に七転八倒するほどの激痛が生じます。実は、尿の通り道を削ることよりもむしろ腎臓を覆う膜が引き延ばされることが痛みの原因なのです。一方、尿道から排石されるときには、石のサイズの問題もありますが、神経が張り巡らされた尿道を多くの場合ギザギザな石が通ることで尿道が強烈に痛むケースがあります。

「ただの腰痛」と思いたい心理と実は身近な病気という恐怖

「最近力仕事が続いたから腰にきたんだ」「マッサージに行けば治るはず」。忙しい毎日を懸命に乗り切っているからこそ、体の痛みを「いつもの疲労によるもの」として納得するのは、人間としてごく自然な心理です。

尿路結石は、日々の「水分の不足」や食生活の偏りなどが複合して作られます。仕事に集中して水分補給を怠ったり、利尿作用のあるお茶やお酒ばかりで純粋な「水」を飲んでいなかったりしているケースはよくあります。

慢性的な脱水状態になると尿が濃縮され、成分が結晶化して石として成長してしまいます。尿路結石は、生涯で男性の7人に1人、女性の15人に1人が経験するとも言われる身近な病気です。

恐ろしいのは、筋肉の痛みだと思い込んでマッサージなどで耐え忍んでいる間に、腎臓に限界を超える圧力がかかり続けてしまうことです。「ぎっくり腰」と「結石」の違いをほんの少し知っているだけで、苦痛の時間を短くして、腎臓へのダメージも小さくできるかもしれません。

手遅れになる前に、確認すべき3つのサイン

急に腰や背中が痛くなったとき、それが「ぎっくり腰」か「結石」かを見極めるため、以下の3つをご確認ください。

1. 姿勢を変えても痛みが全く変わらない

筋肉や骨の痛みなら、楽な姿勢をとれば痛みが和らぎます。しかし結石は内臓の圧力による自発痛なので、どんな姿勢をとっても、じっとしていても激痛が続きます。

2. 冷や汗や吐き気を伴う

内臓からの激しいSOSは自律神経を強く刺激するため、尋常ではない冷や汗や、強烈な胃腸の悪さ(吐き気・嘔吐)を伴います。

3. 尿に血が混じる(血尿)

ギザギザの結石が、細い尿管の粘膜を内側からガリガリと傷つけながら降りてくるため、尿に血が混じることがあります。

尿路結石がもたらす腰痛に要注意

「ただの腰痛だからマッサージで対応しよう」と病院をためらってしまうお気持ちは痛いほどよくわかります。特に初回の尿路結石では、何が起きているかわからないのも無理はないのです。
心当たりがある方や、ご不安な方は、まずは「こまめに1日2リットル以上の水分をとる」という簡単な習慣から始めてみましょう。再発予防としても推奨される行動です。
もしも動けないほどの腰痛が生じてしまった場合には、迷わず泌尿器科や救急外来を受診してください。尿路結石が私たちに与える痛みは、痛みの王様といわれるほどの激痛です。ひとりで戦わず、ぜひ医療を活用して乗り切りましょう。


監修者・執筆:松岡 雄治

総合病院や大学病院、小児専門医療機関での勤務を通じて、幅広い診療科の周術期管理に従事。現在は急性期病院の麻酔科医として最前線の医療に携わっている。専門医としての高度な医学的知見を活かし、医療・健康・美容分野でのコラム執筆や医学論文の解説などを幅広く手掛ける。医療AI技術開発プロジェクトへの参画など多岐にわたる実績を持ち、読者に寄り添った分かりやすい医療解説に定評がある。保有資格は麻酔科専門医、睡眠コンサルタント、睡眠検定1級など。

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