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医師「急いで救急受診をして」→実は『脳梗塞』の重要なサインだった…知らないと危険な「話し方の3つの変化」とは?

  • 2026.6.5
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出典元:photoAC(※画像はイメージです)

家族や友人が突然「ろれつが回らない」「言葉が出ない」状態になったら、あなたはどう対応しますか?「少し休めば大丈夫かな」と様子を見てしまう方も多いのではないでしょうか。

しかし、こうした症状は脳梗塞の重大なサインである可能性があります。しかも、その対応が「数時間以内」かどうかで、その後の人生が大きく変わってしまうこともあるのです。

なぜ脳梗塞になると話し方がおかしくなるのか、どんな症状が危ないのか、そしていざというとき何をすべきなのか。麻酔科専門医の松岡雄治さんに詳しく解説していただきました。

なぜ脳梗塞になると「話し方がおかしくなる」のか?

---脳梗塞になると、なぜろれつが回らなくなったり、言葉が出なくなったりするのでしょうか?そのメカニズムを教えてください。

松岡雄治さん:

「脳の血管が詰まることで、言葉や口の動きをコントロールする領域に血液の供給ができなくなり、脳細胞が『酸欠状態』に陥ってダメージを受けてしまうためです。

具体的には、次のような流れでことが起きます。まず、脳の血管に血の塊(血栓)が詰まり、栄養と酸素の供給が止まります(血流のストップ)。次に、血液の供給を絶たれた脳の神経細胞は酸欠になり、徐々にダメージを受けて機能が停止していきます(酸欠と機能の停止)。そして最終的に、言葉を紡ぎ出す言語領域や、口の筋肉を動かす運動領域の働きが失われ、言葉が出ない症状として表面化します(言葉を失う)。

こうしたメカニズムによって、突然の言語障害が起きるのです。」

「数分で症状が消えた」は安心のサインではない?見逃せない3つの危険な症状

---脳梗塞による言語障害には、どのような症状があるのでしょうか?また「症状がすぐ消えた」場合は大丈夫でしょうか?

松岡雄治さん:

「急なろれつ障害や、言葉が出なくなる症状は、脳卒中の重要な初期サインです。

たとえ数分で症状が消えたとしても、安心してはいけません。それは『一過性脳虚血発作(TIA)』と呼ばれる大発作の予告かもしれず、48時間以内に本物の脳梗塞を発症する危険性が高いことがあるからです。こうした症状に心当たりがある場合、早期に受診しましょう。

見逃してはいけない危険なサインは、主に3つあります。

1つ目は「ろれつが回らない(構音障害)」です。口や舌の筋肉がうまく動かず、「ラリルレロ(舌の動き)」や「パピプペポ(唇の動き)」といった音が発音できなくなります。

2つ目は「言葉が出ない(運動性失語)」です。頭では分かっているのに、言いたい言葉がスムーズに口から出てこない症状です。

3つ目は「会話が成り立たない(感覚性失語)」です。相手の言っていることが理解できなくなってしまいます。そのため、相手にとって見当違いな返答をしてしまいます。

これらの症状が一つでも突然現れた場合は、脳梗塞が進行している可能性が高いため、急いで救急受診をしてください。また、お近くの方にこの症状が見られた時には、ぜひ付き添って救急受診、あるいは救急車を呼びましょう。」

「救急車を呼んでいいのか迷う」そのときに使える「FAST」とは

---「救急車を呼ぶべきか迷う」という声は多いですが、脳梗塞が疑われるとき、どう判断して行動すればよいのでしょうか?

松岡雄治さん:

「突然の事態に直面し、本当に救急車を呼んでいいのか迷ってしまうのは当然のことです。しかし、脳梗塞の治療は『時間との勝負』です。詰まっている時間を短くする方がよいことはもちろん、発症から『4.5時間以内』であれば、血栓を溶かす点滴の薬(アルテプラーゼ)などで、後遺症を防げる可能性もあります。治療が遅れれば、一生続く重い麻痺や、会話ができず意思を伝えられない生活と向き合うことになりかねません。

日本脳卒中学会はもちろん厚生労働省なども、誰でもすぐに実践できる「ACT FAST」という評価ツールを推奨しています。少しの知識が、大切な家族の命を守ります。

「ACT FAST」は次の4ステップで確認できます。

  • F(Face:顔の麻痺)…笑顔を作って、顔の片側が下がる、または歪みがないか確認します。
  • A(Arm:腕の麻痺)…両腕を前に上げてキープし、片方の腕がだらんと下がってこないか確認します。
  • S(Speech:言葉の異常)…「今日はいい天気ですね」と短い文を言って、正しく言えるか確認します。
  • T(Time:発症時刻)…発症時刻を確認します。

そして、ACT(行動)として、上記3つのうち1つでも異常があれば、すぐに迷わず119番通報します。

救急隊には『FASTの言葉(S)に異常があります』と伝えるとより話が早いです。そこから先は指示に従って速やかな受診に繋げていきましょう。」

「まさかの一瞬」を見逃さないために、今日から知っておくべきこと

今回の取材を通じて、脳梗塞による言語障害は「突然始まり、時間との勝負」であることがよく分かりました。「ろれつが回らない」「言葉が出ない」「会話が成り立たない」という3つのサインは、一見すると「疲れているだけかな」と見過ごしてしまいがちです。しかし、それが脳細胞の「酸欠」によって引き起こされている可能性があると知れば、対応の緊急度はまったく変わります。

たとえ症状が数分で消えたとしても「大丈夫」とは言えないこと、そして発症から4.5時間以内の受診が後遺症の防止に大きな意味を持つこと。この2点を覚えておくだけで、大切な人の命を守る行動が変わるはずです。

「FAST」の4ステップは、特別な医療知識がなくても誰でも今日から実践できる簡単なチェックです。家族や身近な人に「なんかおかしい」と感じたとき、まずFASTで確認し、迷わず119番通報することが最善の行動です。少しの知識と、その知識を使う勇気が、最悪の事態を防いでくれます。


参考:

みんなで知ろう! からだのこと(厚生労働省)
脳卒中治療ガイドライン2021〔改訂2025〕(一般社団法人 日本脳卒中学会)

監修者:松岡雄治

麻酔科専門医。総合病院、大学病院、小児専門医療機関での勤務を通じ、幅広い周術期管理に従事。現在は急性期病院で麻酔科医として勤務する。日々、美容領域を含む各診療科の手術に携わっている。医師としての知識と経験を活かして医療系ライターとしても活動し、医療・健康・美容分野の記事執筆、医学論文の解説、商品監修、AI技術開発関連プロジェクトへの参加などの実績を有する。睡眠コンサルタント、睡眠検定1級の資格も保有。

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