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「休日に寝れば平気」毎日5,6時間の睡眠を続けた60代男性→医師から告げられた“恐ろしい病気”に「あの時、寝ていれば…」

  • 2026.6.1
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出典元:photoAC(※画像はイメージです)

みなさまこんにちは、麻酔科専門医および睡眠コンサルタントとして、全身管理と睡眠指導に日々向き合う松岡雄治です。

「もう何年もこうして過ごしている。毎日の睡眠は5,6時間で十分」「休日に寝れば平気」。

60代会社員・Bさん(仮名)はそう思ってやり過ごし、コーヒーで眠気を覚ましながら仕事に打ち込んでいました。

しかし、物忘れがひどくなったことを指摘され、妻に連れられて受診しました。医師から、「アルツハイマー型認知症の初期症状」と告げられます。かつてのようにバリバリ働き、家族と旅行を楽しむ穏やかな日常は奪われたと感じました。進行への恐怖と向き合う生活に、「あの時、寝ていれば違ったのだろうか」と後悔しています。

今回は、そんなBさんの事例ご紹介します。

睡眠不足は「脳の老廃物」を洗い流す時間を奪う

なぜ「睡眠を削るだけ」という油断が、認知症という脳の病気のリスクにつながるのでしょう。それは、睡眠が単なる休息ではなく、脳内に溜まったゴミを物理的に掃除する重要な時間だからです。

【睡眠不足が脳を蝕むフロー】
・老廃物の発生:日中、脳が活動すると、アルツハイマー型認知症の原因と疑われる物質(アミロイドβなど)がゴミとして産生されます
・脳内の大掃除:睡眠中、脳は細胞の隙間を広げて脳脊髄液を流し込み、このゴミを洗い流す「自浄作用」を働かせるといわれています
・ゴミの残留とリスク上昇:6時間未満の睡眠が続くと掃除の時間が足りず、老廃物が蓄積して将来の認知症リスクを高めると考えられています。

「休日の寝だめ」と「危険な睡眠負債」の境界線

「仕事や家事が忙しくて、どうしても睡眠を削らざるを得ない」「休日にたっぷり寝ているから大丈夫だろう」。家族のために身を粉にして働き、ご自身の睡眠をつい後回しにしてしまう日々に心当たりがある方は多いのではないでしょうか。

厚生労働省によれば、睡眠時間が6時間未満の人は、認知症の発症リスクが1.22倍に上昇することが分かっています。

危険なのは、「休日の寝だめ」で睡眠不足を解消できたと錯覚してしまうことです。平日に蓄積した「睡眠負債」は、休日に数時間長く寝た程度では完全に返済できません。毎日の大掃除をサボって溜まったガンコな汚れが、週末の軽い掃除では落ちないのと同じです。正しい知識と、日々の意識で健康な生活を守りましょう。

基本的に毎日は6〜8時間の睡眠時間が必要で、休日に寝溜めする場合には+1時間以内にとどめることを厚生労働省が推奨しています。

症状が重くなる前に確認したい「3つのサイン」

取り返しのつかない脳の機能低下を招く前に、ご自身の睡眠と日中の状態を振り返ってみてください。以下のサインがある場合、脳の掃除が間に合わず、睡眠負債が限界を迎えている可能性があります。

1. 休日の睡眠時間が平日より明らかに長い

平日の睡眠が圧倒的に足りていない「睡眠負債」のサインです。さらに、休日と平日で就寝・起床時刻が大きくずれる状態が続くと、体内時計が狂う「ソーシャルジェットラグ(社会的時差ボケ)」を引き起こす危険もあります。

2. 日中に強い眠気や倦怠感を感じる

睡眠で十分に休養がとれておらず、脳の機能が低下している危険な状態です。

3. 寝床に入ってもなかなか寝付けない、途中で目が覚める

疲労や過度なストレスで自律神経が乱れ、質の高い睡眠がとれなくなっているサインです。

睡眠負債を思わぬ形で背負わないために

「忙しいから睡眠を削るのは仕方ない」と見て見ぬふりをしてしまうと、思いがけない代償を払うことになるかもしれません。
今日から少しずつ睡眠環境を見直すことで、脳の健康は確実に守ることができます。
まずは睡眠の質を高める簡単なことから始めましょう。

  • 寝室へのスマートフォンの持ち込みを控える
  • 就寝の1〜2時間前にお風呂に入り体温を上げる

また、少なくとも6時間の睡眠時間を確保した上で、休日の寝だめは、+1時間程度に抑えましょう。
それでも日中の眠気や不調が続くなら、ご自身で抱え込まず、お近くの睡眠外来や内科にぜひお気軽にご相談ください。将来のあなたの健康を守る第一歩は、毎日の睡眠なのです。


※本記事は一般的な医学的情報の提供を目的としており、特定の診断や治療を保証するものではありません。症状がある場合は、必ず医療機関を受診してください。

参考文献:厚生労働省 良い目覚めは良い眠りから 知っているようで知らない睡眠のこと

監修者・執筆:松岡 雄治

総合病院や大学病院、小児専門医療機関での勤務を通じて、幅広い診療科の周術期管理に従事。現在は急性期病院の麻酔科医として最前線の医療に携わっている。専門医としての高度な医学的知見を活かし、医療・健康・美容分野でのコラム執筆や医学論文の解説などを幅広く手掛ける。医療AI技術開発プロジェクトへの参画など多岐にわたる実績を持ち、読者に寄り添った分かりやすい医療解説に定評がある。保有資格は麻酔科専門医、睡眠コンサルタント、睡眠検定1級など。

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