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「お腹の調子が少し悪い」内科を受診するも“異常なし”→しかし、ある朝ベッドから動けなくなり…40代男性を襲った“思わぬ病気”

  • 2026.5.16
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出典元:photoAC(※画像はイメージです)

皆様こんにちは、脳と身体と毎日向きあう麻酔科専門医の松岡です。

「最近、体がだるい。お腹の調子も少し悪いから胃腸炎かな。今週は特に仕事が忙しくてカップ麺ばかりの不摂生な食事だったかもしれない。来週からは大きなプロジェクトも控えているんだ、週末ゆっくり休んでまた精力的に働くぞ」

40代営業職・Mさん(仮名)は、鉛のように重い体と胃腸の不調を、多忙な日々と不摂生のせいと考えていました。

しかし、週が明けても体調は変わりません。ハツラツとしたMさんもいつしか元気がなくなり、ついにある朝、だるさのためにベッドから一歩も動けなくなりました。内科を受診しても「異常なし」と言われ、塞ぎ込むようになり仕事も休みがちになってしまいました。

今回は、ちょっとした体調不良のつもりで元気に過ごしていたのに、いつの間にかうつ病が進行していたケースを紹介します。

その身体の不調は「気のせい」ではない。脳の機能低下が招く身体のSOS

身体の不調を「気合」でカバーしようとする責任感の強い人ほど、見落としがちな事実があります。それは、うつ病が「気分の落ち込み」よりも先に「身体の症状」として現れることが少なくないという点です。これを俗に「仮面うつ病」と呼びます。

【うつ病が身体の不調として現れるフロー】

  • 過度なストレスと疲労:長期間のストレスや過労により、脳が処理能力の限界を迎える。
  • 脳内物質の減少:自分を奮い立たせて頑張っている裏側で、セロトニンなどの神経伝達物質が着実に減少し、脳が身体の感覚や自律神経を正しくコントロールできなくなる。
  • 身体症状としての警告:脳の疲労が、強い倦怠感・頭痛・胃腸障害・不眠といった「物理的な痛みや不調」に変換されて身体に現れる。
  • 不調によるさらなる負担の増大:不調が続くことで睡眠や食事がとれなくなり、さらに脳の機能が低下し、進行するリスクが高まります。

「ただの疲れ」と「脳のSOS」を見分ける

内科を受診して「異常なし」と言われたとき、多くの人は「自分の気のせいだ」と無理を重ねてしまいます。しかし、臓器に異常がないのに続く不調こそ、脳が発している限界のサインかもしれません。

特に、以下のような習慣は要注意です。

  • 眠れないからと「寝酒」をする
  • 無理に気合を入れるため、大量のカフェインを摂取する

これらは一時的に体を動かせたとしても、睡眠の質を著しく低下させ、脳の疲労をさらに深める「負のスパイラル」を招きます。

確認すべき3つの「危険なサイン」

ただの過労や体調不良だと誤認して心身の負担を最小限に留めるよう、脳が発する危険なサインを見逃さない配慮が必要です。

1.内科の検査で「異常なし」と言われるが、頭痛や胃腸の不調、強い疲労感が続く

臓器そのものに問題があるのではなく、脳の誤作動による症状であることを示すサインです。

2.朝起きた時が一番だるく、午後から夕方にかけて少し楽になる

「日内変動」と呼ばれる、うつ病に極めて特徴的な症状のリズムです。

3.今まで楽しめていた趣味やテレビ番組に、全く興味が湧かなくなった

単なる疲れではなく、脳の喜びを感じる機能そのものが低下しているサインかもしれません。

まとめ

毎日を精力的に頑張っている人ほど、自分の不調を「気のせいだ」と油断してしまいがちです。しかし、適切な休息と治療が必要なのは、身体だけでなく「脳」も同じです。

もし心当たりがあれば、まずは内科を受診し、体に異常がないかを確認してください。その上で不調が続くなら、決して一人で抱え込まず、心療内科や精神科、あるいはかかりつけ医に相談してみましょう。

脳のサインを正しく受け取り、早い段階で対処することが、あなたの健康と輝く毎日を取り戻すための一番の近道なのです。


※本記事は一般的な医学情報の提供を目的としています。体調に不安がある場合は、自己判断せず、速やかに医療機関を受診してください。

監修者・執筆:松岡 雄治

総合病院や大学病院、小児専門医療機関での勤務を通じて、幅広い診療科の周術期管理に従事。現在は急性期病院の麻酔科医として最前線の医療に携わっている。専門医としての高度な医学的知見を活かし、医療・健康・美容分野でのコラム執筆や医学論文の解説などを幅広く手掛ける。医療AI技術開発プロジェクトへの参画など多岐にわたる実績を持ち、読者に寄り添った分かりやすい医療解説に定評がある。保有資格は麻酔科専門医、睡眠コンサルタント、睡眠検定1級など

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