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「美容や健康に良い」毎朝“甘酒”を飲み続けた40代女性→“体にいいことをしている”はずが…ある日、女性に起こった“異変”

  • 2026.5.15
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出典元:photoAC(※画像はイメージです)

スポーツジムの管理栄養士として、栄養面からダイエットや健康維持のサポートをしている工藤まりえです。

甘酒は“飲む点滴”としてテレビや雑誌でもたびたび取り上げられ、古くから親しまれてきた発酵飲料です。健康・美容意識の高い人たちの間での注目度は高く、美容大国の韓国でも甘酒と似た飲み物である「シッケ」が愛されているなど、そのイメージはさらに高まっています。

ですが、「砂糖不使用」「体にいい」という安心感とその美味しさから、習慣的に取り入れていると、知らないうちに糖質過多や栄養バランスの偏りにつながることも。今回は、美容と健康のために取り入れた飲む点滴が、ダイエットに悪影響を与えてしまった相談事例をご紹介します。

「体にいいはずなのに」Fさんの朝に起きていた変化

49歳女性のFさん(仮名)は、自他共に認める“健康オタク”でした。

私がジムで栄養相談を担当している会員さんなのですが、健康情報を集めるのが好きで、食生活も比較的整っているタイプ。朝はトーストとコーヒーというシンプルなスタイルで、「野菜不足対策によさそう」と青汁を毎朝続けていました。

以前、たんぱく質不足が気になったため、「青汁を豆乳で割ってみましょう」とお伝えしたところ、すぐに実践。こうした行動力の高さもFさんらしいところでした。

そんなFさんが次に取り入れたのが甘酒です。きっかけはテレビ番組で見た“飲む点滴”という特集でした。美容や健康に良いと紹介されていたことに加え、購入した商品のパッケージには「砂糖不使用」の文字。Fさんの中で、“健康的で太りにくい飲み物”というイメージが強くなっていったそうです。

それ以来、朝の青汁は甘酒に置き換わり、トーストと一緒に飲むのが習慣に。疲れた日には追加でもう1杯飲むこともあり、「体にいいことをしている」という安心感もあったといいます。

ただ、その頃から、朝食後に強い眠気を感じるようになっていました。

「甘酒を飲むと、すごく眠くなるんです。でも、年齢のせいかなと思っていました」

さらに、「食事は気をつけているのに体重が落ちない」という悩みも続いていました。揚げ物やお菓子は控えているのに変化が出ない。食事内容を詳しく確認していく中で見えてきたのは、“甘酒そのもの”ではなく、“飲み方と量”の問題だったのです。

「砂糖不使用なのに太る」のはなぜ?

Fさんは、「甘酒って、むしろダイエット向きだと思っていました」と驚かれていました。確かに、“発酵食品”“飲む点滴”“砂糖不使用”という言葉が並ぶと、体に良く、太りにくいイメージを持つ方は少なくありません。

ただ、ここで大事なのが、「砂糖不使用=低糖質」ではないという点です。

Fさんが飲んでいた米麹甘酒は、麹菌の働きでお米のでんぷんがブドウ糖へ分解され、自然な甘みが生まれています。つまり、砂糖を加えていなくても糖質はしっかり含まれているのです。

実際の朝食は、トーストと甘酒が定番。疲れた日には追加でもう1杯飲むこともありました。どちらも糖質中心のため、朝から血糖値が大きく動きやすい状態になっていたのです。

特に朝は、空腹時間が長く続いたあとの“低血糖気味”の状態。そこへ液体の糖質をぐびぐびと流し込むと、吸収が一気に進み、血糖値は急上昇します。その後、インスリンが多く分泌されることで今度は急降下し、強い眠気やだるさが起こることがあります。いわゆる「血糖値スパイク」です。

Fさんが感じていた「甘酒を飲むと眠くなる」という感覚も、まさにこの流れが関係している可能性がありました。

甘酒自体が悪いわけではありません。ただ、“体にいい”という安心感から量や飲み方がズレてしまうと、健康習慣のつもりが、かえって体重や食欲の乱れにつながることもあるのです。

甘酒は“量と飲み方”で味方にもなる

Fさんにお伝えしたのは、「甘酒をやめましょう」ではありませんでした。甘酒には、ビタミンB群やアミノ酸、オリゴ糖など、発酵によって生まれる栄養成分が含まれています。食欲がない時でも取り入れやすく、夏場の栄養補給として昔から親しまれてきた食品です。

ただ、甘酒は「何を目的に、いつ飲むか」で体への影響が変わります。特に米麹甘酒は吸収が早く、素早くエネルギー補給できるのが特徴です。取り入れ方によって、得られる効果はさまざまです。

たとえば朝は、寝ている間に消費したエネルギーを補いやすく、食欲がない時にも便利なタイミングです。一方で、空腹状態のところへ一気に飲むと、血糖値が急上昇しやすくなります。特にトーストや白米など糖質中心の食事と重なると、血糖値スパイクが起こりやすく、Fさんのように強い眠気やだるさにつながることもあります。

また、運動前や活動前のエネルギー補給として活用する人もいます。吸収が早く、すぐにエネルギーへ変わりやすいのは甘酒の強みです。甘いものの代わりに間食として取り入れる方法もありますが、液体は満腹感が長続きしにくいため、“飲んだあとにさらに食べる”流れになりやすい人は注意が必要です。

このように、甘酒には目的に応じた取り入れ方があります。ただ、ダイエット目的で取り入れる場合は特に注意が必要です。“砂糖不使用”でも糖質は含まれているため、健康的なイメージだけで量が増えると、かえって体重が落ちにくくなることもあります。

大切なのは、「健康食品だから安心」「砂糖不使用だから大丈夫」と考えるのではなく、“食事全体の中でどう取り入れるか”。それが、甘酒とうまく付き合うためのポイントなのです。


監修者 工藤まりえ

大学にて栄養学と分析化学を専門とし、管理栄養士免許を取得。卒業後は都内飲食系会社にてフードコーディネーターとして勤務。また、管理栄養士としてはスポーツジムに通う方を対象に、体質改善・ダイエットのための栄養指導を実施。短期的な痩身だけではなく、健康的で太りにくい体質への改善を目指した、専門的かつ行動に移しやすいアドバイスを毎月100名程に対して行っている。

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