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親の不動産を相続した60代息子→「資産総額は1億2000万円」のはずが…数ヶ月後、手元に残る金額を聞いて“青ざめたワケ”

  • 2026.4.30
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出典元:photoAC(※画像はイメージです)

皆さま、こんにちは。金融機関に勤務し、さまざまなお金の相談業務に携わっている中川です。

「資産があるのだから、相続税は払えるはず」 そう考える方は少なくありません。親から不動産を中心に資産を引き継いだ場合、「ある程度の現金で対応できるだろう」と思いがちです。

しかし、資産があることと、納税できることはイコールではありません。今回は、相続によって自宅と土地を引き継いだ60代男性が、納税資金不足に直面した事例をご紹介します。

「資産は十分あるはず」と考えていたAさん

今回ご紹介するのは、60代男性のAさん(仮名)です。

親が亡くなり、自宅不動産と複数の土地を中心とした資産を相続しました。

相続財産の総額は評価額ベースで約1億2,000万円。そのうち不動産が約1億円を占めており、預貯金は約2,000万円でした。相続税の概算を試算したところ、納税額はおよそ1,600万円となりました。(※各種特例を適用後の試算。法定相続人の数や特例の適用状況によって金額は異なります)。

「預貯金が2,000万円あるから、なんとかなるだろう」

Aさんはそう考えており、相続税への備えを深く検討することはありませんでした。

相続税の納税期限は「10か月以内」

相続税の申告・納税期限は、被相続人が亡くなったことを知った日の翌日から10か月以内です。原則として現金での一括納付が求められます。

分割払いの「延納」や現物で納める「物納」という制度もありますが、要件が厳しく、誰でも利用できるわけではありません。

Aさんには、この「期限と現金払いの原則」という認識が薄かったのです。

預貯金だけでは足りなかった現実

問題が具体化したのは、相続発生から数か月が経ったころです。

税理士との打ち合わせの中で、預貯金2,000万円から相続税1,600万円を納付すると、手元に残る現金はわずか400万円になることがわかりました。

そこから葬儀費用や、亡くなった方の未払い所得税(準確定申告)、さらに不動産の名義変更にかかる登録免許税や維持費を差し引くと、生活資金の余裕はほとんどなくなる計算でした。

「資産が1億円以上あるのに、手元にお金がない」

Aさんはその現実に、初めて直面することになりました。

不動産は「すぐに現金化できない」

不動産は価値がある一方で、すぐに現金へ換えられる資産ではありません。売却には買い手探しから契約・引き渡しまで、数か月以上かかることも珍しくないのです。

納税期限という締め切りの中で、Aさんは土地の一部売却か、金融機関からの融資かという、想定外の選択を迫られることになりました。

「資産がある=払える」ではない

今回の事例が示しているのは、資産の「総額」と「流動性」は別物だということです。

不動産は価値を持つ資産ですが、現金のようにすぐ使えるわけではなく、資産の多くを不動産が占める場合、相続税の納税資金は別途確保しておく必要があります。

事前にできる対策がある

相続税への備えは、相続が発生する前から始めることができます。

生命保険を活用して死亡保険金を納税資金に充てる方法や、不動産の一部を生前に整理して現金比率を高めておく方法があります。まずは相続税の概算を把握し、「現金でいくら必要か」を確認しておくことが第一歩です。

「うちは資産があるから大丈夫」という安心感が、かえってリスクを見えにくくすることがあります。相続が他人事ではないと感じたとき、ぜひ一度、資産の内訳と流動性を見直してみてください。


執筆・監修:中川 佳人
金融機関勤務の現役マネージャー。1級ファイナンシャル・プランニング技能士。20年にわたり、資産形成や家計管理・住宅ローンなどの実務に携わってきた経験を活かし、記事の監修や執筆を行っている。専門的な内容を、誰にでもわかりやすく伝えることをモットーとしている。

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