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住宅ローン返済中、入院で休職した40代会社員→「団信に入っているから安心」のはずが…金融機関から言い渡された“想定外の結果”

  • 2026.4.29
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出典元:photoAC(※画像はイメージです)

こんにちは、マネーシップス代表 IFAの石坂です。

住宅ローンの相談を受けていると、「団信に入っているから万が一のときも安心」という前提で考えている方は少なくありません。

ただ、実際の現場では、その前提が崩れるケースも見られます。今回は、寄せられた相談事例をもとに、「発症→申請→対象外」という流れの中で何が起きたのか、そしてどこに見落としがあったのかを確認します。

「団信があるから大丈夫」が崩れるとき

相談に来られたのは、40代の会社員Aさんでした。

住宅ローンの返済について不安があるという内容で、詳しく話を聞くと、すでに団信の保障対象の確認手続きが「対象外」と判断された後でした。

Aさんは数年前にマンションを購入し、住宅ローンとともに一般的な団信に加入していました。

契約時には「万が一のときはローンがなくなる」という説明を受けており、保障内容について細かく確認することはなかったといいます。

その後、体調不良をきっかけに検査を受け、消化器系の疾患が見つかりました。

命に関わる状態ではなかったものの、手術と入院が必要となり、一定期間は仕事を休まざるを得ない状況になりました。

収入は減少し、住宅ローンの返済が徐々に重くのしかかってきます。

Aさんは団信を思い出し、「これでローンは何とかなるはずだ」と考え、金融機関に相談しながら団信の保障対象確認手続きを進めました。しかし、結果は支払い対象外でした。

理由は、加入していた団信の保障内容にありました。

Aさんの団信は、死亡または高度障害を対象とする基本型のもので、今回のような手術や就業不能状態は対象外だったのです。

また、がんや三大疾病に対応する特約も付けていませんでした。

この結果を受けてAさんは、「団信に入っていれば何とかなると思っていた」と話されていましたが、実際には住宅ローンはそのまま残り、治療費と生活費に加えて返済を続ける必要がありました。

相談時点では、貯蓄を取り崩しながら対応している状況でした。

相談から見えた見落としやすいポイント

この相談で明確だったのは、「団信の対象範囲を具体的に理解していなかった」という点です。

一般的な団信が対象とする「高度障害」は、実は非常に限定的です。「両眼の視力を完全に失う」「常に他人の介護を要する状態(自力で食事や排泄ができない等)」など、保険会社独自の厳しい基準があります。公的な障害者手帳の基準や障害年金の受給基準とは別物であるため、「障害が残って働けない=ローンがなくなる」とは限りません。

「医師から休職を命じられた」としても、それが団信の約款にある特定の病気や状態(がん、脳卒中、心筋梗塞など)に該当し、かつ一定の制限期間を超えていない限り、ローン返済は免除されません。

また、たとえ『がん特約』を付けていたとしても、診断確定の定義に該当しなければ対象外となります。単なる『病気で働けない』をカバーするには、さらに広範囲な『全疾病保障』や『就業不能保険』での備えが必要です

Aさんのように特約を付けていない場合、一定の条件を満たさなければ保険金は支払われません。さらに、相談の中でよく出てくるのが「働けない状態なら対象になるのではないか」という認識ですが、実際には「働けない状態」と「団信の支払事由に該当する状態」は別です。

ここを混同しているケースは多く見られます。

団信の思い込みをリスクにしないための「3つの軸」

団信は「特定の条件に該当した場合に限って機能する仕組み」であり、すべてのリスクをカバーするものではありません。以下の軸で、今一度ご自身の状況を確認してみてください。

  • どの状態が対象か:死亡・高度障害のみか。病気による就業不能も含まれるか。
  • 特約の有無:がん・三大疾病・八大疾病などの特約で、どこまで保障を広げているか。
  • 団信以外での備え:団信でカバーできない「一時的な収入減」を、就業不能保険や十分な予備資金でどう補うか。

住宅購入時は金利や物件条件に目が向きがちですが、大切なのは「返済が続けられなくなる局面」を想定することです。団信の役割と限界を理解したうえで、家計全体の防衛策を設計しましょう。


※本記事に記載されている事例や制度の概要は、一般的な団信の仕組みに基づいたものであり、すべてのケースに当てはまるものではありません。団体信用生命保険の保障内容や支払条件、高度障害の認定基準は、金融機関や引受保険会社によって大きく異なります。実際に加入・検討される際は、必ずご自身の契約内容や「被保険者のしおり」「約款」をご確認ください。

執筆・監修:石坂貴史
証券会社IFA(独立系ファイナンシャルアドバイザー・証券外務員)、2級FP技能士、AFP、マネーシップス代表。累計1,200件以上のご相談、金融関連の記事制作、校正・監修を手掛けています。「金融・経済、不動産、保険、相続、税制」の6つの分野が専門。お金の運用やライフプランの相談において、ポートフォリオ理論と行動経済学を基盤にサポートいたします。

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