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「配偶者が相続すれば税金がかからない」父の死後“1億円”を相続した高齢母→数年後、60代息子に降りかかった“想定外の悲劇”

  • 2026.4.21
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出典元:photoAC(※画像はイメージです)

皆さま、こんにちは。金融機関に勤務する現役マネージャーとして、日々さまざまな相続のご相談をお受けしている中川です。

「配偶者が相続すれば税金はかからない」
そう考えている方は少なくありません。実際、配偶者の税負担を軽減する仕組みが制度として用意されています。

しかし、その判断が将来の負担増につながるケースもあります。今回は、一次相続では税負担ゼロだったものの、二次相続で約800万円の相続税が発生した事例をご紹介します。

「配偶者が相続すれば安心」と考えた一次相続

今回ご紹介するのは、60代前半男性のAさん(仮名)です。父親が亡くなり、相続が発生しました。

財産は自宅と預貯金で1億円。相続人は母親と子ども2人の計3人でした。

「配偶者控除を使えば税金はかからない」
この考えから、母親がすべてを相続する形を選びます。

配偶者には「1億6,000万円または法定相続分まで非課税」という特例があります。今回もこの範囲内に収まり、相続税はゼロでした。

数年後に訪れた二次相続…前提が崩れた瞬間

数年後、母親が亡くなり二次相続が発生します。

ここで状況は一変しました。配偶者控除は使えず、相続人は子ども2人のみになります。

さらに問題となったのが財産の集中です。一次相続で母親がすべてを相続したため、約1億円がそのまま課税対象となりました。

基礎控除も減少します。
一次相続では4,800万円だった控除が、二次相続では4,200万円に縮小。

この結果、相続税は約800万円となりました。

なぜ税負担が増えたのか

まず、一次相続では配偶者控除により税額を大きく抑えることができます。一定額までは課税されない仕組みです。

しかし二次相続では、配偶者がいないためこの特例は使えません。同じ財産でも、すべてが通常どおり課税対象となります。

さらに影響が大きいのが基礎控除です。
基礎控除は「3,000万円+600万円×相続人の数」で決まります。

一次相続では相続人が3人のため4,800万円でしたが、二次相続では2人となり4,200万円に減少。結果として、課税対象となる金額が増えてしまいます。

この「特例が使えない」「控除が減る」という2つが重なることで、税負担は一気に増加するのです。

相続対策は「二次相続まで」で考える

相続対策で重要なのは、目先の節税ではありません。

「二次相続まで見据えた設計」が必要です。

  • 誰にいつ財産を渡すか
  • 相続人の変化
  • 最終的な税負担

これらを踏まえて判断することが大切です。

「配偶者控除を最大限活用する」という考え方は合理的です。ただし、それだけで判断してしまうと、結果的にトータルの税負担が増える可能性があります。

二次相続まで見据えた財産配分が、将来の後悔を防ぐ大きなポイントとなります。


執筆・監修:中川 佳人(なかがわ よしと)(@YoshitoFinance)
金融機関勤務の現役マネージャー。1級ファイナンシャル・プランニング技能士。 20年にわたり、資産形成や家計管理・住宅ローンなどの実務に携わってきた経験を活かし、記事の監修や執筆を行っている。 専門的な内容を、誰にでもわかりやすく伝えることをモットーとしている。

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