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“3,800万円の戸建て”を購入した40代夫婦→「売ればローンは返せる」はずが…5年後、二人を襲った“想定外の誤算”【お金のプロは見た】

  • 2026.4.16
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出典元:photoAC(※画像はイメージです)

皆さま、こんにちは。金融機関勤務の現役マネージャーとして、住宅ローンのご相談に携わっている中川です。

「住宅価格は上がっているから、売ればローンは返せるはず」
そう考える方は少なくありません。

しかし、実際には売却損が出るケースも多くあります。今回は、売却の結果、約500万円のオーバーローンが発生した40代夫婦の事例をご紹介します。

「売れば完済できる」はずだった自宅

今回ご紹介するのは、40代前半のAさんご夫妻です。

5年前に3,800万円で戸建てを購入し、住宅ローン残高は約3,200万円でした。

転勤をきっかけに売却を決断します。

「今は価格が上がっているから大丈夫」

そう考え、大きな不安はありませんでした。周囲からも「今は売りやすい時期」と言われ、売却を後押しされたといいます。

査定結果は想定よりも低かった

複数社に査定を依頼した結果、提示された価格は約2,600万円でした。

想定より600万円低い水準です。

郊外立地や築年数、周辺の競合物件などが影響していました。特に同時期に似た条件の物件が複数出ていたことで、価格競争が起きていたのです。

不動産価格は上昇していても、すべての物件に当てはまるわけではありません。売却損が出るケースは意外と多いのです。

見落とされがちな「売却費用」

さらに想定外だったのが諸費用です。

  • 仲介手数料:約90万円
  • 登記費用など:約10万円
  • 引っ越し費用:約30万円

合計で約130万円の支出となりました。

手取りは約2,470万円まで減少します。「売却価格=手元に残るお金」と考えていたことが、誤算につながりました。

「オーバーローン500万円」という現実

ローン残高は約3,200万円、手取りは約2,470万円。

差額は約730万円です。

最終的には約500万円の不足で売却となりましたが、それでも自己資金での補填が必要となりました。

貯蓄を取り崩すことになり、その後の生活設計にも影響が出る結果となりました。

これがオーバーローンです。

なぜ誤算は起きたのか

主な要因は3つです。

  • 物件ごとに価格は異なる
  • ローン残高がまだ多い
  • 売却費用を見落としていた

特に購入から5年程度では、住宅ローンの元金は大きく減っていません。売却価格との差が出やすいタイミングといえます。

また、「相場は上がっている」という情報をそのまま自分の物件に当てはめてしまったことも、大きな要因でした。

売却時に見るべきポイント

住宅売却では「価格」ではなく「手取り」で判断することが重要です。

確認すべきは次の3つです。

  • ローン残高
  • 現実的な売却価格(複数査定)
  • 売却にかかる費用

この3点を事前に把握しておけば、不足額の有無を判断できます。

また、売却を急がない場合は、ローン残高が減るまで待つという選択もあります。場合によっては賃貸として貸し出すことも一つの手段です。

「いくら残るか」で判断する

住宅は市場の影響を受ける資産です。上がることもあれば、想定より伸びないこともあります。

その中で重要なのは、「いくらで売れるか」ではなく「最終的にいくら残るのか」という視点です。

今回のように前提が崩れたとき、売却損はすべて自分に返ってきます。

だからこそ、楽観的な見通しだけでなく、最悪のケースも含めて判断することが大切です。

住宅を売却する際は、一度立ち止まり、「本当に完済できるのか」を数字で確認してみてはいかがでしょうか。


執筆・監修:中川 佳人(なかがわ よしと)(@YoshitoFinance)
金融機関勤務の現役マネージャー。1級ファイナンシャル・プランニング技能士。 20年にわたり、資産形成や家計管理・住宅ローンなどの実務に携わってきた経験を活かし、記事の監修や執筆を行っている。 専門的な内容を、誰にでもわかりやすく伝えることをモットーとしている。

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