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夫の“遺産6,000万円”を引き継いだ60代女性→「申告は不要」と放置した結果…2年後、税務署から届いた“1通の通知”に絶句…

  • 2026.4.10
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出典元:photoAC(※画像はイメージです)

こんにちは。FPとして主に家計相談やお金に関する情報発信などを行っている柴田です。

先日、相談に訪れた64歳の専業主婦・Aさん(仮名)から、こんな言葉が出てきました。

「相続税はゼロだと思っていたのに、税務署から『お尋ね』が届いて……最終的に120万円以上の追加納付になってしまいました」

Aさんは2年前に夫を亡くしました。遺産は自宅と預貯金を合わせて約6,000万円。法定相続人はAさんとと子ども2人の計3人なので、基礎控除は「3,000万円+600万円×3人=4,800万円」。「6,000万円なら申告が必要」と気づけたはずでした。しかし、Aさんはある思い込みによって判断を誤ってしまいました。

「うちは大した財産がない」が最大の落とし穴

Aさんが申告不要と判断した理由は、「自宅と夫名義の口座を足しても4,000万円程度」と計算したからでした。基礎控除の4,800万円を下回るため、申告は不要と思っていたのです。

しかし、税務署の調べで見落としが3つ浮かび上がりました。

①名義預金

Aさん名義の口座に、夫が毎年少しずつ振り込んでいたお金が計800万円ほど貯まっていました。名義はAさんでも、実際に管理・使用していたのが夫であれば、税務上は夫の財産とみなされます。「自分の口座のお金だから関係ない」は通りません。

②生前贈与の持ち戻し

夫は亡くなる3年前から毎年100万円をAさんに贈与していました(2024年以降の相続から順次7年に延長)。当時は年110万円の非課税枠内で問題なかったものの、亡くなる前3年以内の贈与は相続財産に加算される「持ち戻し」のルールがあります。結果、300万円が遺産に上乗せされました。

③申告しないと使えない「特例」を知らなかった

相続税には、申告をしてはじめて適用される特例が2つあります。ひとつは小規模宅地等の特例で、自宅の土地の評価額を最大80%減額できる強力な制度です。もうひとつは配偶者の税額軽減で、配偶者が相続した財産が1億6,000万円以下であれば相続税がかからない制度です。

どちらも「申告書を提出すること」が適用の条件です。Aさんは「どうせゼロだから申告不要」と考えていたため、これらの特例を一切使えませんでした。本来であれば小規模宅地等の特例を使うことで自宅の評価額を大幅に圧縮でき、税負担をほぼゼロに抑えられた可能性がありました。

この3つを合算・精査した結果、課税対象の遺産は想定を大きく上回ることになってしまったのです。

税務調査はいつ・どのように来るのか

相続税の税務調査は、一般に申告期限後しばらくして行われることがあります。税務署は相続人の金融機関の取引履歴や過去の確定申告データを照合しており、申告漏れの可能性があると判断した場合、まず「相続税についてのお尋ね」という文書を郵送してきます。

「お尋ね」が届いて「何か手続きが必要なのかな」と軽く考えていたAさんでしたが、無申告の状態で調査が確定すると、本来の税額に加えて無申告加算税(15〜20%)と延滞税が上乗せされます。Aさんの場合、本税約90万円に対し、加算税・延滞税が合わさって総額120万円超の負担になりました。

「お尋ね」が届いたら、すぐ税理士へ

追徴のダメージを最小限に抑えるうえで重要なのが「お尋ねが届いた段階で動くこと」です。この時点ではまだ調査の確定前であるため、「お尋ね」の段階であっても調査の事前通知前に自主的に期限後申告すれば、無申告加算税が5%に軽減される場合があります。

なお、そもそも税務調査に入られた場合にどうなるかを知っておくと、早めに動くことの重要性がより実感できるはずです。令和5事務年度(令和5年7月〜令和6年6月)に国税庁が実施した相続税の実地調査は8,556件で、追徴税額の合計は735億円にのぼりました。 このうち申告漏れ等の非違があったのは全体の約84%で、税務調査に入られた案件の大半が何らかの誤りを指摘され、追徴課税の対象となっています。

つまり、いったん調査が始まれば「何も問題ありませんでした」で終わるケースはごくわずかです。さらに、追徴課税された案件のうち約17%には重加算税が賦課されており、6件に1件の割合で「意図的な隠蔽・仮装」と認定されています。 こうなると税負担は一気に跳ね上がります。

ここで正直に言ってしまうと、相続税の申告は素人にはほぼ手に負えません。名義預金の判定・生前贈与の集計・小規模宅地等の特例の適用判断など、論点が多く、ひとつ見落とすだけで数十万円単位の差が出ます。「自分でなんとかしよう」と思って放置するほど加算税率は上がり、使えたはずの特例も消えていきます。相続が発生したら、まず相続専門の税理士に相談することが、最もコストの低い選択です。初回相談を無料で受け付けている事務所も多いので、「お尋ね」が届いた時点ですぐに動くことをおすすめします。

まとめ

基礎控除以下だと思っていても、名義預金・生前贈与の持ち戻し・申告しないと使えない特例の見落としが重なると、思わぬ追徴につながります。

相続税の申告は、専門家でも判断が分かれる複雑な分野です。「自分には関係ない」と油断せず、相続が発生したら申告の要否を自己判断する前に、一度税理士に確認することを強くおすすめします。

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