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「定年後は退職したほうがいい?働き続けた方がいい?」→お金のプロがズバリ回答。老後の生活に困らない“賢い働き方”とは?

  • 2026.4.29
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出典元:photoAC(※画像はイメージです)

定年後の再雇用を前に、「給料が下がってしまうなら、いっそ働かずに退職したほうがいいのでは?」と迷う方も多いのではないでしょうか。収入が減る現実は受け入れがたいものですが、実は単純に「働く・働かない」という目先の金額だけで判断すると、かえって家計を圧迫してしまうリスクがあります。

なぜ給料が下がっても働き続けたほうが「将来のお金」と「今の安心」につながるのか。退職するとどのような変化が家計を襲うのか。この記事では、ファイナンシャルプランナーの専門的見解をもとに、定年後の賢い働き方と家計防衛策を紐解きます。再雇用のメリットを正しく理解して、後悔のない選択をしましょう。

給料が下がっても働き続けるべき「3つの理由」

---「再雇用で給料が下がると損をする」という声をよく聞きます。定年後も会社に残って働き続けたほうが良いのはなぜでしょうか?

石坂貴史さん:

「結論から言うと、給料が下がっても働き続けた方が『将来のお金』と『今の安心』の両方で有利になりやすいです。理由は、年金と保険の仕組みにあります。

まず、働いている間は厚生年金に入り続けます。これは払った分がそのまま将来の年金に上乗せされる仕組みです。たとえば、5年間再雇用で働けば、その5年分は一生受け取る年金に反映されます。増える金額は大きくなくても、『何もしない場合』とは確実に差が出ます。

次に、『働くと年金が減る』という話がありますが、ここは誤解が多い部分です。確かに収入があると年金の一部が調整されることはありますが、給料と年金を合わせた金額で見ると、働いた方が手元に残るお金は多くなります。年金だけを見て判断すると間違いやすいです。

さらに、会社の健康保険に入り続けられる点も大きなメリットです。保険料は会社と半分ずつ負担する形なので、退職して自分で全額払う場合よりも負担が軽くなるケースがあります。医療面の安心も維持できます。

ここをシンプルに整理すると次の通りです。

  • 働いた分だけ年金が増える
  • 年金が減ってもトータルの収入は増える
  • 健康保険の負担を抑えられる

再雇用は『給料が下がるから損』とは言い切れません。むしろ、将来の年金を増やしながら、今の生活も安定させる選択と言えます。

退職は「収入減」だけでは済まない?家計を揺るがす落とし穴

---「定年で一度リセットしてゆっくりしたい」と考える人も多いですが、実際に退職してしまうと家計にはどのようなデメリットがあるのでしょうか?

石坂貴史さん:

退職すると『収入が減る』よりも『出ていくお金が増える』ことの方が影響は大きくなりやすいです。ここを見落とすと、思っていたより生活が厳しくなることがあります。

まず大きいのが健康保険です。会社にいる間は、保険料を会社と半分ずつ負担していますが、退職すると自分で全額を払うことになります。そのため、同じ内容でも負担は一気に重くなります。さらに、保険料は前年の収入をもとに決まるため、退職して収入が下がっても、すぐには安くなりません。このズレが家計に響きます。

次に年金です。会社員として働いている間は、払った分だけ将来の年金が少しずつ増えていきますが、退職するとその積み上げが止まります。短期では気づきにくいですが、後から受け取る金額に差が出ます。

また、再雇用を続けていれば、給料が下がった分を一部補う制度が使える場合がありますが、退職するとその対象外になります。失業手当はありますが、期間や金額に限りがあるため、長く頼れるものではありません。

さらに現実的な問題として、次の仕事が決まっていない状態で辞めると、その間の収入はゼロになります。それでも税金や保険料の支払いは続くため、貯金が想定より早く減ることがあります。

このように、退職は『給料がなくなるだけ』ではなく、『支出が増える』『将来の年金が増えなくなる』という変化が同時に起きます。ここまで含めて考えることが大切です。」

収入減を乗り切る!今すぐできる家計防衛と賢い働き方

---収入が下がっても安定した生活を送るためには、具体的にどのような対策をすればよいのでしょうか?

石坂貴史さん:

まず一番効果が出やすいのは固定費の見直しです。収入が下がっても、支出を同じままにしていると負担が大きくなります。特に見直しやすいのが保険料と通信費です。

現役時代に入ったままの保険は内容が多すぎることがあり、必要な分だけに絞るだけで毎月の支出が大きく変わります。たとえば、保険料を月3万円から1万円に下げ、スマホ代も見直せば、それだけで月2万円以上の余裕が生まれることもあります。これは給料を増やすよりも現実的で効果が出やすい方法です。

次に、税金や手取りの調整です。収入が下がると税金も軽くなりますが、医療費や家族の状況によってはさらに負担を減らせる場合があります。こうした細かい見直しも積み重なると差になります。

働き方については、『無理に稼ぐ』より『無理なく続ける』ことを重視した方が結果的に安定します。時間に余裕ができる分を、軽い副収入や生活の充実に使うことで、気持ちの面でも負担が減ります。

実践のポイントはシンプルです。

  • 固定費を先に下げる
  • 手取りを意識して見直す
  • 無理のない働き方に切り替える

再雇用は条件だけを見ると不利に見えますが、家計と働き方を整えれば、生活を安定させながら将来の備えも進められる現実的な選択になります。」

再雇用は「損」ではない。将来を見据えた「生活の守り方」

「給料が下がる=損」と短絡的に捉えてしまうと、社会保険料の負担増や、将来の年金額の停滞といった見えないコストを見落としてしまう危険性があります。今回、専門家のアドバイスを通じて明らかになったのは、再雇用という選択肢がいかに「生活の足場」を固めるために有効かということです。

大切なのは、今の収入額だけで判断せず、「出ていくお金」をコントロールすることです。保険料や通信費といった固定費を見直し、無理のない働き方で社会とのつながりを保ちながら、将来への積み上げを止めない。この意識を持つだけで、定年後の生活は驚くほど安定します。まずは現状の固定費チェックから、新しい働き方の第一歩を踏み出してみませんか。


監修者:石坂貴史
証券会社IFA(独立系ファイナンシャルアドバイザー・証券外務員)、2級FP技能士、AFP、マネーシップス代表。累計1,200件以上のご相談、金融関連の記事制作、校正・監修を手掛けています。「金融・経済、不動産、保険、相続、税制」の6つの分野が専門。お金の運用やライフプランの相談において、ポートフォリオ理論と行動経済学を基盤にサポートいたします。

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