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世帯年収800万でも赤字へ転落、破綻寸前?共働き、月18万円ローンを組んだ夫婦の「たった一つの見落とし」

  • 2026.5.3
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出典元:photoAC(画像はイメージです)

皆さま、こんにちは。現役の不動産会社社長として、日々さまざまな土地や建物のご相談に向き合っている岩井です。

住宅ローンの支払い額を考えたとき、「年収の25%以内なら安心」「今の家賃と同じくらいなら大丈夫」といった基準を一度は目にしたことがあるのではないでしょうか。

一見すると合理的な判断に見えますが、この目安だけを信じてしまった結果、家計が崩れていくケースは少なくありません。

今日は、住宅ローンを組んだ年収の異なる3つの家庭が、どのようにして無理のないはずの返済から転落していったのか、リアルな数字を交えてご紹介します。

読み進めるうちに「自分も同じ判断をしていないか」と感じる場面がきっとあるはずです。

年収400万円|「返済比率25%で安心」のはずが、貯金ゼロへ

5年ほど前、私が担当したのは30代前半のAさんご夫婦。世帯年収は約400万円。住宅ローンは月々約8万円(年収の約24%)で、無理のない範囲と判断されていました。

しかし、購入から3年後に状況は一変します。

  • 子どもが保育園から小学校へ進学
  • 食費・光熱費が月2万円以上上昇
  • 車の維持費が年間約40万円

結果、毎月の収支はほぼトントン。ボーナスはすべて生活費の補填に消え、貯金はゼロに。最終的に、Aさんはこう漏らしました。

「ずっとお金の不安が消えないんです…」

返済比率だけで安心と判断したことが、生活の余裕を奪う結果になりました。

年収600万円|余裕のはずが「想定外の支出ラッシュ」で崩壊

次に紹介するのは、40代前半のBさんご家族。年収は約600万円、住宅ローンは月12万円ほど。一見すると余裕のある設計でしたが、購入から5年後に問題が表面化します。

  • 子どもが私立高校へ進学(年間約80万円)
  • 車の買い替え(約250万円)
  • 固定資産税 年間約12万円
  • 外壁補修・設備交換 約150万円

これらが“同時期に重なった”ことで、家計は一気に圧迫。Bさんは相談時、こう話していました。

「計画通りのはずなのに、こんなに苦しくなるとは思わなかった…」

実際には、住宅ローン以外の“見えにくい固定費”が積み重なっていたのです。結果、教育費を削るか、生活水準を落とすかの選択を迫られる状況に。

精神的な余裕も失われ、夫婦間の衝突も増えていきました。

年収800万円|共働き前提が崩れた瞬間、家計が破綻寸前に

最後にご紹介するのは、年収約800万円の共働き世帯であるCさんご夫婦です。

住宅ローンは月18万円。夫婦それぞれの収入を前提に、「余裕を持った返済ができる」と判断して購入を決断しました。しかし、出産を機に奥様が時短勤務となり、世帯年収は約150万円減少します。

さらに追い打ちをかけたのが、次のような支出の増加でした。

  • 変動金利の上昇(毎月+4,000円前後。年間で約5万円の負担増)
  • 保険料や税金の負担増
  • 子育て費用の増加(月3万円以上)

これらが重なった結果、毎月の収支は徐々に赤字へ転落。Cさんは相談時、こう話していました。

「どちらかが働けなくなるなんて、想定していませんでした…」

その後は貯金を取り崩す生活が続き、精神的な余裕も失われていきます。最終的には売却を検討するものの、査定額は購入時より約300万円下落しており、売るに売れない状況に陥りました。

年収800万円という一見余裕のある水準であっても、共働き前提という“条件”が崩れた瞬間、家計のバランスは一気に崩壊します。

なぜ起きたのか?共通する「たった一つの見落とし」

3つの家庭に共通していたのは「現在の収入を前提にしか判断していなかった」という点です。

住宅ローンは、状況が悪化したときでも維持できるかどうかで判断する必要があります。具体的には、次のようなケースを想定することが重要です。

  • 収入が20%減少した場合
  • 支出が10%増加した場合
  • 金利が1%上昇した場合

こうした厳しめの条件でも、返済を継続できるかどうかを事前に確認しておく必要があります。

さらに重要なのが、「可処分所得(手取りベース)」での判断です。年収という表面的な数字ではなく、実際に自由に使えるお金を基準に考えることが欠かせません。

手取り収入から生活費を差し引いた“残るお金”の中で、無理なく返済できるか。この視点を持たないまま住宅ローンを組んでしまうと、想定外の出来事が起きた際に、一気に家計が崩れてしまいます。

「借りられる額」ではなく「耐えられる額」で考える

住宅購入において最も危険なのは「この年収ならこのくらい大丈夫」という思い込みです。今回のケースのように、判断を誤ると次のような状況に陥る可能性があります。

  • 貯金ができなくなる
  • 生活水準を下げざるを得なくなる
  • 最悪の場合、売却時に損失が出る

このような事態を避けるために重要なのは、借入可能額ではなく、安心して返し続けられる額を基準にすることです。判断のポイントは次の3つです。

  • 単独収入でも返済が成立するか
  • ボーナス払いに依存していないか
  • 10年後、20年後も無理なく維持できるか

これらの視点を持つだけで、将来的な家計破綻のリスクは大きく下げられます。

住宅は、人生の基盤となる大きな買い物です。「購入できるかどうか」だけではなく、その先の暮らしを守り続けられるかという視点で判断することが何より重要です。



筆者:合同会社ゆう不動産 代表 岩井佑樹

不動産売買の専門家として仲介・査定・買取に携わりながら、不動産Webライターとして1,000記事以上を執筆。「売る力×伝える力」を軸に、情報発信と販売の両面から不動産の価値を高めている。派手さよりも誠実さを大切にし、地域に寄り添う姿勢で「早く・高く・安心」の取引を支える不動産の専門家。


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