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【田園日記~農と人の物語~ Vol.36】風土が育んだ焼きサバ入り酢の物「きゅうりもみ」

  • 2026.3.17

農にまつわるリアルを伝えるドキュメンタリー連載。情熱をもって地元で「農」を盛り上げる「人」にスポットを当て、いま起こっているコトをお届けします。今回訪れたのは、新潟県長岡市寺泊。この地で、暑い季節になるとよく食べられるのが「きゅうりもみ」です。サバとキュウリを合わせた“夏のハーモニー“を、JAえちご中越女性部さんとう地域のみなさんが次代へとつなぎます。




日本海に面する長岡市寺泊は、由緒ある古刹が多いことから、“日本海の鎌倉“とも呼ばれる港町です。この地の名物として有名なのが、海岸で海産物を焼いて提供する「浜焼き」。昔は自生するヨシを刈り、茎を串にして魚に刺し、炭火であぶっていたそうです。

夏になると寺泊の家庭では、畑でとれたキュウリを薄い輪切りにして、浜焼きのサバと合わせた酢の物「きゅうりもみ」が一般的に食べられてきました。



郷土料理を次代へつなぐ「くらしの匠」

JAえちご中越女性部さんとう地域の「くらしの匠」は、郷土料理を教えることを目的として組織された十一人の匠からなるグループ。寺泊の近隣出身の三鍋秋子さん(70)も、その一人です。

「うちは農家で両親が忙しかったので、子どもの頃はよく祖母が、きゅうりもみを作ってくれました。浜焼きは、一週間に一度ほど、浜の女性たちが自転車やバイクでやって来て売っていました」

一方、市内でも港から車で一時間ほど離れた地域で育った大塚和子さん(73)は、寺泊に嫁いでくるまで、きゅうりもみを食べたことがなかったと言います。

「キュウリの酢の物はもちろん知っていましたが、サバを入れると知って驚きました。最初は正直、サバとキュウリって合うの? と恐る恐る食べたんですが、おいしいので作るようになりました」





レシピだけじゃ伝わらない感覚をたいせつに

きゅうりもみに入れる魚は、基本的にはサバです。しかし、季節や家庭によって、いろいろな海産物が使われるそう。作り方は簡単なので、教えられなくても自然に作れるようになった、と匠たちは声をそろえます。

作り方のコツは、最初にキュウリに塩をまぶし、しっかり板ずりすること。味がしみやすくなります。また、浜焼きのサバは、身をほぐしすぎず、やや大きめのほうがよいそうです。

自身も匠として活動する、JAえちご中越女性部さんとう地域部長の竹内文子さん(68)は、「くらしの匠」の活動についてこう話します。

「ここは海あり山あり、すばらしい食材に恵まれた地域です。土地に根づいた郷土料理の本質は、レシピだけではなかなか伝わりません。もっともたいせつな調理のコツは、感覚的なもの。それは、人から人へ伝えてこそのものだと思います」

先人の知恵を次の世代に、伝えていかなければならない。そんな使命感が、日々を明るく過ごし、笑顔の絶えない匠たちのパワーの源泉です。


「きゅうりもみ」の材料と作り方はこちら



材料(4人分)
キュウリ…3本
焼きサバ(塩焼き)…1尾
砂糖 …大さじ2
塩 …小さじ1/2
酢 …大さじ4

※酢の代わりに「らっきょう酢」大さじ2でもよい。その場合は、砂糖は不要。

作り方
1. キュウリに塩(分量外)を少々ふり、板ずりする。



2. キュウリを水で洗って薄い輪切りにし、分量の塩でもみ、15分ほどおく。



3. 2の水分をよく絞り、酢、砂糖を加えて混ぜる。



4. 骨を取り除いてほぐした焼きサバを混ぜ、できあがり。





※当記事は、JAグループの月刊誌『家の光』2025年7月号に掲載されたものです。

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