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「お前には姉がいる」17歳の少女が知った衝撃の事実。不倫で生まれた自分という存在と、親の罪に向き合う物語【書評】

  • 2026.5.6

【漫画】本編を読む

『不倫の子だなんて知りたくなかった』(URON/KADOKAWA)は、ある日突然「自分は不倫の末に生まれた子どもだった」ことを知ってしまった少女の葛藤を描いたコミックエッセイだ。不倫というテーマは多くの作品で扱われてきたが、本作は裏切られた妻や不倫している当事者ではなく、その結果として生まれた「子ども」の視点から描かれている。

主人公は17歳の少女・はるか。幼いころから母親とふたり暮らしをしており、父親は別の場所で暮らしているものの、会えば優しくしてくれる存在だった。はるかは、両親は離婚しているが、自分はきちんと愛されている「ひとり娘」だと信じて疑わなかった。しかしある日、父親から「お前には姉がいる」と告げられる。父親には別の家庭があり、はるかは両親の不倫の末に生まれた、いわゆる「隠し子」だったのだ。

この事実を知った瞬間、はるかの世界は大きく揺らぐ。今まで信じてきた家族の形が崩れ、母親に対する見方も変わっていく。自分は望まれて生まれた子どもなのか、自分の存在が誰かの家庭を壊したのではないか。そんな疑問と罪悪感が彼女の心を覆う。やがてはるかは、自分の出生の真実を知るため、存在すら知らなかった姉に会いに行く決意をする。

不倫という出来事のその後を、当事者ではない子どもの立場から描いている点が読みどころだろう。不倫の物語は多くの場合、された側、した側が中心に語られるが、実際にはその影響は家族全体、とりわけ子どもに及ぶ。本作は、そんな親の選択によって生まれた複雑な状況の中で、思春期の少女が自分の存在意義を問い直していく過程を描いている。はるかの視点を通して、家族とは何か、血のつながりとは何かという普遍的な問いが浮かび上がってくるのだ。

親の過ちや自身の出生の秘密を知ったとき、揺らぐ自分をどう取り戻すのか。不倫という出来事の隠れた被害者の苦しさを、真正面から描き出す稀有な作品だ。

文=レム・イケダ

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