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母親の暴言、暴力は日常茶飯事。機能不全家族で育った女性の半生を綴った再生の物語『親ガチャにハズれたけど普通に生きてます』【書評】

  • 2026.5.2

【漫画】本編を読む

親は子どもに安心を与え、誰よりも信頼される存在でなくてはならない。逆に「こんな人間になりたくない」と子どもに思わせたら親失格と言っていいだろう。『親ガチャにハズれたけど普通に生きてます』(上村秀子/KADOKAWA)は、著者・上村秀子氏の半生を赤裸々に綴ったコミックエッセイ。気に入らないことがあれば怒鳴り、理由もなく手を上げる母親を、上村氏は幼少期からどんな目で見ていたのか――。

著者の母親はとても美人で、著者は子ども心に誇らしく思っていた。だが同時に、何もしていないのに手を上げる恐ろしい存在でもあった。小学生のころに父親の浮気が原因で両親が離婚。母親はそのとき働いていた職場の同僚と再婚するのだが、義父となった男は親としての役割を端から放棄していたために学費を出すことはせず、姉は奨学金で大学へ行ったが、著者は大学進学を諦め、就職の道を選ぶしかなかった。

どこか一歩引いて親の姿を見てきた著者の目線は小さいころからずっと変わらない。それは「愛されたい」という願いがことごとく叶わなかったため、自然と「親は味方ではない」「親には期待しない」という考え方を持ってしまったからだ。

「親ガチャ」とは多くの場合、経済的な格差を指すことが多いが、本作の言う「親ガチャのハズれ」とは、親として、そして人間としての側面についての「ハズれ」なのである。経済的なことはある程度は仕方がないとしても、大切な進路や仕事についての相談はおろか、日常の会話すら気軽にできない親子関係はとても悲しい。

作品タイトルにあるように、著者はやがて「普通の生活」を手に入れることができるのだが、それは親に教えてもらえなかった自分の価値と生きる意味に気付いたからである。どんな形であれ、子どもにとって親から受ける影響は絶大だ。親と子の関係についてあらためて考えさせられる作品である。

文=nobuo

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