1. トップ
  2. レシピ
  3. 「1日ビール1本」相当のアルコールをウガンダのチンパンジーが摂取していると判明

「1日ビール1本」相当のアルコールをウガンダのチンパンジーが摂取していると判明

  • 2026.3.6
ウガンダのチンパンジーの尿から「アルコールドリンク1杯以上」相当のアルコール代謝物を確認 / Credit:Canva

「毎晩のビールがやめられない」という人は少なくありません。

同じように、あるチンパンジーたちも定期的にアルコールを摂取しているようです。

アメリカのカリフォルニア大学バークレー校(UCB)の研究チームは、ウガンダの野生チンパンジーの尿を分析し、彼らが発酵した果実から相当量のアルコールを取り込んでいることを確認しました。

調査では、人間の標準的なアルコールドリンク1杯強に相当する量のアルコールを、日常的に摂取している可能性が示されました。

この研究は2026年2月25日付の学術誌『Biology Letters』に掲載されています。

目次

  • ウガンダのチンパンジーたちは「自然発酵した果実」を大量に食べている
  • チンパンジーの尿から「アルコール飲料1.4杯分」相当のアルコール代謝物が見つかる

ウガンダのチンパンジーたちは「自然発酵した果実」を大量に食べている

熱帯の森で熟した果実は、動物たちにとって重要なエネルギー源です。

しかし果実は甘いだけではありません。

糖分の多い果実は、野生の酵母によって自然に発酵し、微量のアルコールを生じることがあります。

このため、果実を主に食べる動物は、知らないうちにアルコールを摂取している可能性があるのです。

ただし、これまでの研究の多くは「果実にどれくらいアルコールが含まれているか」を調べたもので、動物が実際にそれを体内に取り込んでいるかどうかまでは、はっきり分かっていませんでした。

そこで今回の研究では、ウガンダのキバレ国立公園に暮らす野生チンパンジーを対象に、果実由来のアルコールが本当に体内に入っているのかが調べられました。

調査地のンゴゴ(Ngogo)では長年にわたってチンパンジーの観察が続けられており、研究者は個体ごとの見分けがつく状態になっています。

調査期間中、チンパンジーたちは主にホワイト・スターアップル(学名:Gambeya albida)という名で知られる果実を食べていました。

この木は熱帯アフリカ全域で広く見られる植物です。

2〜3年に一度ほど大量に実をつけることがあり、今回の調査時にも、チンパンジーたちはこの果実を食事の大部分としていました。

研究者たちは、まず落下直後とみられる傷の少ない果実を集めて分析しました。

その結果、果肉のエタノール濃度は平均約0.09%で、最大では0.40%に達していました。

数値だけを見るとかなり低く感じられますが、チンパンジーは果実を大量に食べるため、積み重なると無視できない量になります。

とはいえ、本当に知りたいのは果実の数字そのものではありません。

大事なのは、チンパンジーがそのアルコールを体内に取り込んでいたかどうかです。

野生のチンパンジーに呼気検査を行うのは現実的ではないため、研究チームは尿を調べる方法を選びました。

森の中でチンパンジーを追い、排尿のタイミングを見計らって、枝分かれした棒の先にビニール袋をかぶせて尿を受け止めたり、木の下の葉の上に落ちた尿をスポイトで集めたりしました。

こうして集められたのは、19頭のチンパンジーから得られた計20サンプルです。

検査の対象になったのは、エチルグルクロニド(EtG)という物質でした。

これはアルコールが体内で分解されたときに生じる代謝物で、尿から見つかれば、実際にアルコールを摂取していた証拠になります。

検査の結果、20サンプルのうち17サンプルでEtGが検出されました。

つまり、多くのチンパンジーが発酵果実に含まれるアルコールを実際に体内へ取り込んでいたことになります。

では、その量はどの程度だったのでしょうか。

チンパンジーの尿から「アルコール飲料1.4杯分」相当のアルコール代謝物が見つかる

研究チームは次に、EtGの濃度をより厳しい基準でも確かめました。

最初の検査では、EtGが300ナノグラム毎ミリリットル以上あるかどうかを調べています。

その結果、20サンプル中17サンプルが陽性でした。

さらにそのうち11サンプルについて、今度は500ナノグラム毎ミリリットル以上という、より高い基準で再検査したところ、10サンプルが陽性でした。

この水準は、人間では実際に飲酒した可能性が高いと判断する際の目安として使われるレベルです。

もちろん、チンパンジーにそのまま人間の基準を当てはめることはできません。

それでも今回の結果は、チンパンジーたちが果実に含まれる微量のアルコールを、尿に代謝物が残るほど継続的に摂取していたことを強く示しています。

研究チームは、果実のアルコール濃度と食事量のデータも合わせて、チンパンジーが1日にどれくらいのアルコールを取り込んでいるかを見積もりました。

その結果は約14グラムで、人間の標準的なアルコールドリンク約1.4杯分に相当します。

なぜ、果実のアルコール濃度がそこまで高くないのに、尿からははっきりした痕跡が出たのでしょうか。

理由は単純で、前述したように、チンパンジーが食べる量そのものが多いからです。

少しだけアルコールを含む果実でも、それを毎日たくさん食べれば、合計の摂取量は大きくなります。

また、陰性だったサンプルは若い個体や発情中のメスにやや多く見られました。

その理由はまだ分かっていませんが、研究チームはオスがよりアルコールの多い果実を多く確保している可能性も一案として挙げています。

今回の研究には限界もあります。

尿サンプル数は多いとは言えず、しかも特定の果実が大量に実っていた時期に行われた調査でした。

そのため、1年を通していつも同じような摂取が起きているかどうかは、今回のデータだけでは判断できません。

さらに、この研究で直接分かったのは、チンパンジーが果実由来のアルコールを体内に取り込んでいたという点です。

それが行動や体の状態にどのような影響を与えているかまでは、まだ調べられていません。

今後は、発酵果実の摂取が攻撃性や縄張り行動、繁殖のタイミングなどに関わるのかどうかを、長期的に追う必要があります。

参考文献

Wild chimpanzees in Uganda are drinking the equivalent of a beer a day
https://www.zmescience.com/ecology/animals-ecology/wild-chimpanzees-in-uganda-are-drinking-the-equivalent-of-a-beer-a-day/

元論文

Urinary concentrations of a direct ethanol metabolite indicate substantial ingestion of fermenting fruit by chimpanzees
https://doi.org/10.1098/rsbl.2025.0740

ライター

矢黒尚人: ロボットやドローンといった未来技術に強い関心あり。材料工学の観点から新しい可能性を探ることが好きです。趣味は筋トレで、日々のトレーニングを通じて心身のバランスを整えています。

編集者

ナゾロジー 編集部

元記事で読む
の記事をもっとみる