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【国際女性デー2026】今日からできる?ジェンダー平等のためにアクティビストたちがとった“はじめの一歩”

  • 2026.3.5
Osamu Yokonami, Aflo, Hearst Owned

3月8日は国際女性デー。2026年、UN Womenが掲げたテーマは「権利、正義。行動。すべての女性と少女のために」。ジェンダーギャップという壁が依然として存在するなか、その課題に取り組むアクティビストたちがいる。

ここでは、教育分野からスポーツやアートまで、さまざまなアプローチで女性と少女のために変革をもたらそうと活動する女性たちにインタビュー! 現在の活動のきっかけとなった、彼女たちの“はじめての一歩”にフォーカスした。

当事者としての葛藤や気づきを情熱に変えてきた彼女たちのストーリーから、勇気をもらって。

早坂シャーニィーさん/DV被害に沈黙しない

モデル、クリエーターとして活動しながら、自身のDV被害経験をメディアや講演で発信し、誰もが安心して声をあげられる社会を目指す

Hearst Owned

活動のきっかけ&はじめてとったアクションは?

「活動のきっかけは、私自身がDVの被害にあったことでした。勇気を持って、その経験を人に打ち明けると、他の人からも話を聞くことが増えました。話を聞けば聞くほど、DV被害がどれほど蔓延し、いかに多くの女性が心身ともに被害を受けているのかに気づきました。DV問題は、“隠すべきこと”や“被害者の責任”と見なされることもありますが、違います。もちろん当事者の心身の安全が最優先ですが、DV問題はもっと注目され、オープンに議論されるべき。そのような想いから、DV被害者が必要なときに支援を求められるように、メディアやDV防止対策協議会などの場で自分の経験を発信するようになりました」

失敗や苦労は?

「世界では3人に1人という高い割合で女性が暴力の被害を経験している一方で、被害当事者はDVであることに気がつかない人が多いのです。だからこそ、他者に打ち明けることが適切なサポートにつながります。私の場合、DV経験について周りに打ち明けると、信じてもらえなかったり、『敏感/感傷的すぎる』『(被害者である)自分の責任』と言われたりすることも。被害者を非難する態度は、再び他者に話すことを躊躇させるものでした。しかし、こうした他者の反応から『DV被害は自分の責任』と感じてしまう人は他にも必ず存在すると思い、そのような人のためにも、発信し続けることは非常に重要だと再確認しました」

―活動後の変化は?

「自分のDV被害経験を発信をすることで、同じ経験を持つ人たちと出会ったり、理解しあえる人とつながったりすることができました。私自身とても勇気づけられ、『ひとりじゃない』と実感できました。こうした心強いコミュニティの存在が、困難に立ち向かう力になります。今後は、DV問題への偏見の解消やDV被害者のサポート充実化に向けて、被害者に対してだけでなく、その他の周囲の人々への発信にも取り組んでいきたいです」

Hearst Owned

【Profile】
仙台生まれ、オーストラリア・ゴールドコースト育ち。子どもの頃に女性問題と環境問題に関心を持ちはじめ、2022年にオーストラリア・クイーンズランド州の弁護士免許を取得。女性のエンパワーメントや多文化共生、環境問題に関する執筆や講演にも参加。自身のファッションやライフスタイルを中心に、地元仙台に住む祖母とのコンテンツを発信し、人気を集めている。

田中沙弥果さん/IT分野のジェンダーギャップ解消

女子&ノンバイナリーの中高生向けのテクノロジー教育プログラム「Waffle Camp」や、国際的なアプリコンテスト「Technovation Girls」などの教育機会をつくる

Hearst Owned
―活動のきっかけ&はじめてとったアクションは?

「前職で小学校のプログラミング授業を見たとき、性別に関係なく子どもたちが楽しそうに学んでいました。ところが中高生向けコンテストでは男女比が20対1。この格差に衝撃を受けて、なんとかしたいと思いました。最初は副業で、平日夜や週末を使って有志のボランティアとIT企業の方々に協力いただきながら、女子中高生向けのプログラミングイベントなどの小さなイベント運営からはじめました」

―失敗や苦労は?

「本業と並行しながらの活動で、時間のやりくりが大変でした。また、この課題への理解を広げることにも苦労。中高生の保護者だけでなく、メディアやイベント参加者、一般の方々など、幅広いステークホルダーから『なぜ女子だけ?』と問われることも多く、テクノロジー分野のジェンダーギャップの深刻さや、中高生への早期アプローチの重要性を丁寧に説明し続ける必要がありました」

世界経済フォーラム ヤング・グローバル・リーダーズ(YGLs)2024に選出され、同フォーラムの年次総会(ダボス会議)にも参加している Hearst Owned
―活動後の変化は?

「これまで1,800人超にテクノロジー教育に関する機会を提供でき、また卒業生が就職後、社内コミュニティを立ち上げるなど、確かな変化を実感しています。国内外の企業からの協力依頼も増え、文部科学省中央教育審議会をはじめとして、日本の義務教育の情報分野にジェンダー視点を提言できるようになりました。小さくはじめた活動が、社会全体を動かす力になりつつあることを感じています」

Hearst Owned

【Profile】
NPO法人Waffle理事長。2019年Waffle設立。文部科学省中央教育審議会 情報・技術ワーキンググループ委員など政府委員を歴任。2024年世界経済フォーラム ヤング・グローバル・リーダーズ(YGLs)2024に選出。

幾田桃子さん/ファッション&アートによる性教育

性教育絵本『ドクターピーチ・セックス・エデュケーション』や、ジェンダー平等ドレスなど、自作のアートやファッションを活用し、性教育を行う

OSAMU YOKONAMI

―活動のきっかけ&はじめてとったアクションは?

「トヨタ自動車と『りぼん号』を共同で制作したことがはじまりでした。『りぼん号』とは、子どもたちが命の大切さや性教育を楽しく学ぶための移動式教室(トレーラー)のこと。その車内で性教育絵本を使いながら、児童養護施設や公立小学校の子どもたち向けに命の大切さと性被害防止を伝える授業を行いました」

失敗や苦労は?

「『りぼん号』のデザインは、学校教育の歴史から現代までの文献を読み解くことからスタート。パートナーの千々松由貴と一緒に、いまの教育に必要な要素を考えたり、子どもたちの笑顔を想像したりしながら、パズルを組み立てるように、納得のいくまで思想を形にしていきました。構想の途中、二人とも高熱を出してしまい、しばらくの間、納得のいくデザインを生み出すのが難しいときも。『子どもたちが感動し、集中力と感性を高めることができるデザインを、期日までに完成させられるのだろうか』と、不安になりました」

子どもたちにアートを活用して社会問題を提起する授業を行なっている幾田さん Hearst Owned

―活動後の変化は?

「社会活動家として、差別や分断が社会の改善を妨げる大きな要因だと実感してきました。『りぼん号』をはじめとする『りぼんプロジェクト』の活動を通して、私も立場や背景の違いを超えて互いに深く理解しあうことや、共感することに注力してきました。その結果、これまで交わることのなかった人々がリボンのようにつながり、前例のない協力体制や仕組みを築くことができています」

OSAMU YOKONAMI

【Profile】
社会活動家・サヴァンCEO。南カリフォルニア大学 国際関係学部 卒業(副専攻:ジェンダー学)。 東京海洋大学 マリンサイエンスミュージアムにて特別展「漁網が抱える問題と循環〜漁網ドレスから考える〜」を4月28日(火)まで開催中。

山下良美さん/業界初の女性ロールモデルに

日本サッカー協会(JFA)のプロフェッショナルレフェリーとしてサッカーの審判員を務め、国内のみならず、国際試合の審判も行う

Kenichiro Ogane / Aflo
―活動のきっかけ&はじめてとったアクションは?

「男子の試合を担当する『1級審判員』の資格取得に挑戦するお話をいただいたときに『YES』と答えたことが、私にとっては大きなアクションでした。1級では、男性と同じ基準の体力テストに常に合格し、女性審判員として信頼を積み上げていくという厳しい環境と重圧のなかで活動しなければならないので、勇気と覚悟が詰まった『YES』でした」

―失敗や苦労は?

「毎日の厳しい体力トレーニングや試合映像を振り返り、自身の動きを分析するなど、試合に向けた日々の準備は、苦しいと思うことも多くあります。また、どうしても女性というバイアスは拭いきれず、試合で信頼を得ることの難しさや、継続することの厳しさも日々感じています」

2022年にカタールで行われたFIFAワールドカップで女性審判員として名を連ねた山下さん Kenichiro Ogane / Aflo
―活動後の変化は?

「厳しい環境に身を置くことで目標が見つけやすく、達成していくことで成長を実感できます。さらにそれで、自身の可能性を信じられるようにもなりました。他にも、応援の声が届いてきて、日々の活動への大きな糧となるとともに周囲への影響も感じられ、その喜びも知ることができるようになりました」

JFA

【Profile】
2013年に日本サッカー協会(JFA)認定の「1級審判員」資格取得。2015年に国際サッカー連盟(FIFA)の「国際審判員」に登録。2021年にJリーグ史上初の女性審判員として主審を務め、2022年にはFIFAワールドカップ、2024年ではパリオリンピックなどの国際大会の審判員に選出された。現在はプロフェッショナルレフェリー(PR)として自身のレベルアップを図りながら、日本の審判界全体のレベル向上に日々励んでいる。

福田和子さん/性と生殖に関する権利の実現

日本国内で性と生殖に関する権利(SRHR)を実現するため、「#なんでもないプロジェクト」をスタート

KAZUKO FUKUDA
―活動のきっかけ&はじめてとったアクションは?

「活動のきっかけは、大学時代のスウェーデンへの交換留学。緊急避妊薬が薬局で安く売られていること、女性が使える避妊法がさまざまあること、公的な補助で避妊も中絶も安価/無料なこと、そもそも性について正しい知識やケアを得られることなど、日本との違いに驚きました。そこで、留学中にブログをはじめ、帰国後は夜な夜な『#なんでないのプロジェクト』のウェブサイトを一人でつくることからはじめました」

失敗や苦労は?

「性教育、避妊、中絶、性暴力、ジェンダー平等―。こうした話をすると『普通は必要ない』『よっぽど酷い目にあったかセックスが好きなんだ』と勝手に決めつける人がいます。でも、私が話していることは、“健康と人権”。世間から投げつけられる“恥を見るような”視線や口を塞ごうとするプレッシャーは、思いっきり跳ね返し、これからも笑って生きていきたいです!」

女性が安心して、適切かつ安全に緊急避妊薬にアクセスできることを求める署名を集め、政府に届ける活動も実施 KAZUKO FUKUDA

―活動後の変化は?

「『実は私も同じこと思っていて…』と、性教育や避妊・中絶へのアクセスに関して、友人や見知らぬ方まで想いや経験を打ち明け、改善のために、ともに声をあげてくれるように。そのたびに『やっぱり、自分が心から思ったことを話すのは大事だ』と実感します。あなたが抱える悩みや疑問、その“もやもや”は、きっとあなただけのものじゃない。まずは素直な気持ちを言葉にしてみてください。本音を口にすれば、深く想いを共有できる仲間に出会えるはずです」

KAZUKO FUKUDA

【Profile】
#なんでないのプロジェクト代表/東京大学特任研究員。ヨーテボリ大学公衆衛生学修士。SRHR実現や政治分野のジェンダー平等実現に取り組む。Forbes Japan 30 under 30 2023選出。

吉江尚子さん/アカデミアの女性リーダー育成

大学構成員全員の意識改革や、院生からシニアまでのシームレスな女性研究者キャリアアップ、女性教員の加速的増加を同時に推し進める

Hearst Owned

―活動のきっかけ&はじめてとったアクションは?

「ずいぶん前に、学年が上がるにつれて理科好きの女子の割合が減っていくことを知り、その原因の一つである社会的なバイアスを取り除きたいと考えるようになりました。はじめは、中高生、特に女子生徒に対する理工系分野への進路選択支援や学会でのダイバーシティセミナーの企画などの活動からスタートし、今では東京大学での女性リーダー育成を目的とした『UTokyo男女+協働改革#WeChange(通称#WeChange)』に関わっています。このプロジェクトは、広い意味で、進路選択に影響を及ぼすような無意識のバイアスを取り除くための活動です」

―失敗や苦労は?

「東京大学は学生と教職員を合わせると4万人を超える巨大組織。そのため、ときには想定外の出来事が起こります。起きた瞬間には慌てることも多いですが、『#WeChange』には専門分野も特技も異なる多数のメンバーが関わっており、その知恵を持ち寄ることで困難を乗り越えてきました」

―活動後の変化は?

「『#WeChange』で実施した『言葉の逆風』キャンペーンをはじめとする意識改革のための活動に対して、女性やマイノリティの方からは共感の声を、マジョリティの方からは気づきを得たという感想を多くいただいています。小さな気づきの積み重ねが、かすかなさざ波程度には育ってきた気もしています」

Hearst Owned

【Profile】
東京大学副学⾧(担当:ダイバーシティ研究環境実現、ハラスメント防止)、同大学生産技術研究所教授。
専門は高分子科学。

関まりかさん/妊娠・育児期の男女をサポート

妊娠・育児期の女性・男性を対象に、助産師によるオンライン相談と、健康・行動データに基づく個別支援を提供する

Hearst Owned

―活動のきっかけ&はじめてとったアクションは?

「博士課程で研究を続けるなかで、論文を書くだけでは社会は変わらないと痛感しました。より早く課題を解決するために、“起業”という選択肢があると気づき、所属していた大学院のアントレプレナー育成プログラムに参加したことが最初の一歩です」

―失敗や苦労は?

「自治体や企業では『妊娠は個人の問題』と受け取られることが多いこともあり、妊娠・育児期の女性や男性のために使う予算もあまりないという現実の壁に、何度も立ち止まりました。それでも少しずつ成果を積み上げることで、妊娠期支援は社会で行うべきものだ、という認識が広がってきています」

創業した株式会社MamaWellによる妊娠・育児サポート内容をプレゼンする関さん Hearst Owned

―活動後の変化は?

「多くの応援を受け仲間が集まり、起業してサービスをローンチして以降、現在にいたるまでに、140社以上の健康保険組合・企業にご利用いただいています。自治体では、品川区だけで300組以上が利用中。妊娠を理由になにかを諦めなくてよいというメッセージが、確実に広がりはじめています」

Hearst Owned

【Profile】
助産師、大学院での研究を経て株式会社MamaWellを創業。文部科学省アントレプレナーシップ推進大使、子ども家庭庁「伴走型相談支援事業」有識者検討委員を拝命。一児の母。

みょうじなまえさん/女性の身体を巡るアート表現

アーティストとして、女性の身体、性、アイデンティティとその消費をめぐる問題をテーマに作品を発表する

インスタレーション《人形の家》(2022) Hearst Owned


―活動のきっかけ&はじめてとったアクションは?

「活動のきっかけは、過去の妊娠と堕胎の経験による自身の苦しい記憶を個人的な手記にしたためたことでした。出来事を文字に起こしてみると、自分がなにに囚われているのかを改めて、冷静に理解することができます。それを主に映像インスタレーション作品という形で作品化(共有)していくことが、私にとってはそのままアーティストとしての活動につながっていますが、日記をつけたり、家族や恋人、友人など、身近な人々と話をして相互理解を深めてみることでもいいと思います 」

―失敗や苦労は?

「過去に、学業や仕事と子を産み育てることを両立することができなかった経験から、女性の人生における社会的な障壁を強く感じました。そこから、女性という存在の社会的な位置付けの不平等さに焦点を当てた作品制作を続けていますが、こうした問いを美術で表現したり、どれだけ言葉を尽くしても、すべての人がお互いに分かりあえるとは限りません。“分かりあえなさを分かりあうことの難しさ”を常々感じています 」

―活動後の変化は?

「他者との対話のなかで、互いに傷つけあったり許しあったりを繰り返すことは、ときにはとても辛いことです。しかし、その過程のなかで、相手を変えるのではなく、自分自身が強くしなやかになっていることをポジティブに実感しています。誰かのその人らしさを認めながら、自分らしく生きていくことに真摯に向き合うのであれば、どうしても他者との摩擦や衝突は生じてしまいます。それらの問題を、これからも美術で表現していくことで、自分1人ではなく、より多くの人と考え続けていければと思っています 」

Hearst Owned

【Profile】
1987年、兵庫県出身。東京藝術大学を卒業後、自身の体験を契機として、女性の身体、性、アイデンティティとその消費をめぐる問題をテーマに制作を行う。さまざまなメディアを通してアーティストとして活動中。

杉本亜美菜さん/フェムテックで女性の健康啓発

女性の健康領域に特化したfermata株式会社を創業し、フェムテックの普及と市場形成に取り組む

Hearst Owned

―活動のきっかけ&はじめてとったアクションは?

「公衆衛生を学ぶなかで、日本では月経や更年期などの健康課題が『個人の我慢』として扱われ、語られにくい社会構造になっていることに気づき、違和感を持ちました。最初の一歩は、30名規模の小さなイベントを開催し、そこで自ら輸入した海外のフェムテック製品を紹介したことでした」

―失敗や苦労は?

「フェムテック製品を適切に販売するための国内規制の壁は想像以上に厚かったです。その製品が医療機器に当てはまるのか、フェムテック製品に対する広告規制をどう理解したらよいのかなど、前例がないなかで悩み、省庁や企業から流通や協業を断られることもありました。資金も人材も不足し、遠回りを重ねましたが、そのプロセスで制度への理解が深まり、志をともにする仲間も少しずつ増えていきました」

―活動後の変化は?

「フェムテック製品の展示会の開催や販売のための政策提言を重ねるなかで、女性の健康を公に語る企業や行政が増え、『社内で安心して話せた』という声も届くようになりました。社会の空気が少しずつ変わるのを実感し、私自身も企業や行政などの間で橋渡し役を担う責任と覚悟が、より明確になりました」

Hearst Owned

【Profile】

ロンドン大学衛生熱帯医学大学院博士(公衆衛生)。2019年にfermata創業。女性の健康領域で規制・流通・政策を横断し社会実装を推進。


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