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14年前、広瀬すずと共に選ばれた“ミスセブンティーン”。トップモデル→ヒロインとして輝く女優とは

  • 2026.6.14
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2022年11月、六本木ヒルズ「けやき坂イルミネーション点灯式」に登場した岡崎紗絵(C)SANKEI

岡崎紗絵には、ずっと「隙のない人」という印象がついて回ってきた。ファッション誌の表紙で見せる、清潔に整った佇まい。その完璧な見え方は、彼女が長い時間をかけて自分で作り上げたものだ。

岡崎はファッション誌『Ray』の専属モデルを2025年2月号(2024年12月発売)で卒業した。約9年、単独で幾度となく表紙を飾り、誌面の看板を彼女は自分の意志で降りている。完璧な外殻を作り上げた人が、なぜそれを手放すのか。岡崎紗絵のキャリアは、与えられた「見られる側」の完璧さを、一枚ずつ自分で脱いでいく物語として読める。

隙のない表紙顔ができるまで

岡崎のキャリアは、徹底して「見られる側」から始まっている。2012年、雑誌『Seventeen』のオーディションで「ミスセブンティーン」に選ばれた。同じ年に選ばれた一人に、広瀬すずがいる。10代の早い時期から、彼女は「選ばれる人」の中心にいた。その後は『Ray』へ移り、約9年にわたって専属モデルを務める。東京ガールズコレクションのランウェイにも立ち続けてきた。

表紙とランウェイで磨いたのは、隙を見せない完璧な見え方の技術だ。10代から積んだこの長い蓄積が、のちの女優・岡崎紗絵の土台になっている。整っていることが、まず彼女の出発点だった。

きれいな役を重ねた日々

モデルと並行して、岡崎は早くから演技の場にも立っていた。2015年の映画『脳漿炸裂ガール』で映画デビューし、同年のフジテレビ系ドラマ『サイレーン 刑事×彼女×完全悪女』でキー局のドラマにも出演。2019年にはフジテレビ系ドラマ『トレース〜科捜研の男〜』で月9出演し、着実に名を連ねていく。

ただ、この時期の役の多くは、整った見た目を生かした「きれいな子」の枠のなかにあったようにも思う。モデルの延長線上で、画面を彩る存在。演技の経験は積み上がっていたが、外殻はまだ脱げていなかった。

殻を脱いだ一本『mellow』

その殻を本格的に脱いだと感じさせたのが、2020年の映画『mellow』だった。今泉力哉監督が描く恋愛群像のなかで、岡崎が演じたのは花屋に出入りするラーメン店の女性・古川木帆。きれいに作り込まれたモデルの像ではなく、生活の手触りを持つ等身大の人物だ。ここで彼女は、装飾としての美しさを一度脱いでみせた。表紙の顔ではなく、画面のなかで息をする一人の女として立つ。

モデル出身という看板は、ときに女優の足かせにもなる。岡崎はその看板を、人に外されるのではなく、自分から外しにいった。何年もきれいな役を重ねた先で、彼女が自分から踏み出した一歩だった。

内側の揺れを映す女優

岡崎が選んできた役には一本の筋が通っている。外側は整っているのに、内側に揺らぎや痛みを抱えた女性たちだ。

2022年のテレビ東京系『花嫁未満エスケープ』では、結婚という枠の前で揺れる女性・柏崎ゆうを演じ、連続ドラマで初主演を務めた。医師や専門職の役が多いのも、岡崎の特徴だ。2018年のTBS系『ブラックペアン』の研修医・島津塔子、2021年のフジテレビ系『ナイト・ドクター』の救急医・高岡幸保、2024年のフジテレビ系『マウンテンドクター』の麻酔科医・村松典子。白衣と知性をまとった役のなかで、彼女は完璧に見える人の奥にある迷いや弱さを、そっと差し込んでみせる。

2026年のフジテレビ系『プロフェッショナル 保険調査員・天音蓮』では、玉木宏演じる主人公の相棒・栗田凛として画面に立った。おっちょこちょいで、融通が効かないが、誰よりも人間味がある。ふとした拍子に内側がのぞく。表紙で培った見え方の技術が、内面を持つ役の説得力へとそのまま裏返っている。

考えてみれば、長く人に見られ続けた経験そのものが、岡崎の演技の財産になっている。視線を浴びる緊張も、見られる側の心細さも、彼女は誰よりも知っているはずだ。だからこそ、見られる立場の人物を演じると、表面の華やかさの下にある小さな揺れまでが画面ににじむ。

モデルとして積んだ長い時間は、捨て去った過去ではなく、役を深くするための大切な引き出しになった。表紙の上で完璧であろうとした日々が、皮肉なことに、不完全な人間を演じる土台を彼女に与えたのだ。

見られることの内側へ

2026年、日本テレビ系土曜ドラマ『告白−25年目の秘密−』では、岡崎はヒロイン・野瀬麻里子を演じる。

名家の化粧品会社の役員であり、主人公に25年ものあいだ片思いされ続けてきた女性だ。長い年月、誰かの想いを一身に受け止めてきた「見られる側」そのものの役どころと言っていい。表紙の上で見られることを極めた人が、今度は見られることの内側にある記憶や感情を演じる。完璧な外殻を作り、その殻を自分の手で脱いできた岡崎だからこそ届く役だ。

整った外側を手放した先で、岡崎紗絵は人の内側を映す女優になった。表紙を降りた彼女がこれから何を見せるのか、その一歩一歩を見届けたい。


※記事は執筆時点の情報です

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