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【ドゥカティ Desmo450MX】450モトクロス新時代、ここに到来

  • 2026.3.5

MotoGPやWSBKで勝ち続けてきたドゥカティが、ついに本気の450モトクロッサーを投入した。その名はDesmo450MX。デスモドロミックDOHCエンジン、独自設計のアルミフレーム、そして最新の電子制御。ロードレースで培われた“勝つための哲学”は、果たしてモトクロスという過酷な舞台で通用するのか?

TEST RIDER/Y.Atsuta 熱田孝高 PHOTO/H.Inoue 井上演

TEXT/D.Miyazaki 宮﨑大吾

試乗コース/宮城県スポーツランドSUGO

MotoGP王者のDNAは、土の上でどう化ける?

満を持してデビューしたDesmo450MXの真価を確かめるべく、試乗したのは本誌インプレッションライダー熱田孝高。全日本モトクロス王者、MXGPレギュラー、そして現在もJNCCの第一線で走り続ける男が、ドゥカティ初の450MXを徹底的に味わった。

「たとえアマチュアライダーであっても、このバイクの良さはすぐに体で分かるはず。走り出して最初に感じたのは、450とは思えない懐の深さでした。アクセルを全開にできなくても、高回転まで回し切れなくても、マシンは確実に前へ進んでいく。恐怖感を覚える前にスピードが乗り、自然な加速へとつながる。この“おいしい領域の広さ”こそが、Desmo450MX最大の武器だと思えました。

特筆すべきは、回転が曖昧な領域からの伸びです。デスモドロミック機構の恩恵は単なる高回転パワーではなく、豊かなトルクが地面を押し出し、ライダーを助けてくれる感覚があります。扱いやすさと楽しさが極めて高い次元で両立しているのです。

ジャンプでも同様です。『この回転じゃ届かない』と感じた瞬間から、そこからグッと伸びて“飛んでしまう”。クラッチ操作すら必要ない場面が多く、ライダーの技量を補完してくれます。単なるパワーではなく、使える出力を徹底的に追求したエンジンなのでしょう。このエンジンの第一印象は、とにかく「強い」こと。スポーツランドSUGOではほぼ3速だけで走れてしまうほどです。

ドゥカティ Desmo450MX
ドゥカティ Desmo450MX

通常なら回転が落ち込むシーンでも、ギヤを落とさずにそのまま登っていきます。壁ジャンプ後のヨーロピアン6連でも同様。着地でクラッチを当てたくなる場面でも3速のまま前へ進む。『クラッチ、いらないんじゃないか?』と思うほどでした。高回転まで回せばもちろん伸びますが、それ以上に印象的なのが中間域の圧倒的な厚みです。

同じくSUGOで試乗したヤマハYZ450F(2026)が高回転型だとすれば、Desmo450MXは中間域で勝負するエンジン。中間が太すぎるがゆえに、高速域の主張が控えめに感じられるほどです。総じて、余計な操作を必要としないエンジンでしたが、一方でアクセルを開けた瞬間に顔を出すアグレッシブさは、確かにドゥカティらしさを感じました。

車体、サスペンションに関しては新車状態でも極端な硬さは感じませんが、やはりセッティングは欧米ライダー基準。体重85kgの自分がレーススピードで走ってもやや硬め。一般ライダーであれば、減衰を抜く方向での調整が前提になるでしょう。リアはスプリングレートがやや強め。前後バランスを取るなら、フロント側ももう一段下げたいですね。ただし調整幅は広く、合わせ込めば非常に良いフィーリングになると思います。旋回性も高く、よく曲がる450に仕上がるポテンシャルを感じました。

ハンドリングは軽快で、旋回性も高いです。新車特有のフレームの硬さはありましたが、溶接を極力排したアルミフレームはギャップの当たりが柔らかく自然。これは国産車とは明確に異なるフィーリングです。車体は非常にスリムで、シート前方のホールド感も良好。ただし日本人体型には足つきはやや高め。サスで沈めたくなる印象はあります。

トラクションコントロールは、個人的にはやや介入感が強く感じられたため、基本的にはオフで走行。ただし滑りやすい路面や中級以下のライダーにとっては大きな武器になるはず。ブレンボ製ブレーキはタッチこそ国産と異なりますが、制動力・安心感ともに十分。全体として尖っているのはパワーのみで、それ以外は非常に“すんなり乗れる”仕上がりでした。

総括すれば、1年目でよくここまで作ったという印象でした。『デスモ=高回転』という先入観を良い意味で裏切り、実際に主役となっているのは中間域のトルクと扱いやすさ。速さをひけらかさず、結果として速い。レベルを問わず、ライダーに新しい可能性を提示してくれる450MXです。」

● シート高:970mm ● 装備重量:104.8kg ● エンジン型式:水冷4サイクル単気筒DOHC4バルブ ● 総排気量:449.6cc ● 内径×行程:96.0mm×62.1mm ● 圧縮比:13.5:1 ● 最高出力:63.5ps(46.7kW)/9,400rpm ● 最大トルク:53.5Nm(5.46kgm)/7,500rpm ● 燃料供給装置:フューエルインジェクション ● 始動方式:セルフ式 ● 燃料タンク容量:7.2L ● 変速機形式:常時噛合式5段リターン ● フレーム形式:アルミニウム製ペリメター ● タイヤサイズ:前 80/100-21/後 110/90-19
● シート高:970mm ● 装備重量:104.8kg ● エンジン型式:水冷4サイクル単気筒DOHC4バルブ ● 総排気量:449.6cc ● 内径×行程:96.0mm×62.1mm ● 圧縮比:13.5:1 ● 最高出力:63.5ps(46.7kW)/9,400rpm ● 最大トルク:53.5Nm(5.46kgm)/7,500rpm ● 燃料供給装置:フューエルインジェクション ● 始動方式:セルフ式 ● 燃料タンク容量:7.2L ● 変速機形式:常時噛合式5段リターン ● フレーム形式:アルミニウム製ペリメター ● タイヤサイズ:前 80/100-21/後 110/90-19
ドゥカティの象徴とも言えるデスモドロミック・バルブ駆動。MotoGPやスーパーバイク世界選手権で磨き上げられてきたこの独自機構が、Desmo450MXにも惜しみなく投入された。一般的なエンジンではバルブの開閉はスプリングによって行われるのに対し、デスモドロミックはカムによってバルブを強制的に開閉する独自方式。バルブの動きの正確性を高め、高回転時に起こりがちなバルブジャンプを根本から排除する。スプリングを使わない構造は低回転域での摩擦抵抗低減にも貢献するため、アクセルに対する反応が鋭くなり、回転が落ち込みやすいモトクロス特有のシチュエーションでもエンジンは素直にトルクを発生する。レブリミットは11,900rpmと、450MXとしては異例の高回転設定を実現。回せるエンジンであると同時に、ギヤシフト回数を減らせるというレースに直結するメリットも生まれている。ヘッドカバー、クラッチカバー、オルタネーターカバーにはマグネシウムを採用し、乾燥重量は26.8kg。アップ専用クイックシフター(4,000rpm以上で作動)も標準装備する。メンテナンスサイクルは、ピストン交換およびバルブクリアランス点検が45時間、メインエンジンサービスは90時間と、実戦使用を前提とした設定だ。
ドゥカティの象徴とも言えるデスモドロミック・バルブ駆動。MotoGPやスーパーバイク世界選手権で磨き上げられてきたこの独自機構が、Desmo450MXにも惜しみなく投入された。一般的なエンジンではバルブの開閉はスプリングによって行われるのに対し、デスモドロミックはカムによってバルブを強制的に開閉する独自方式。バルブの動きの正確性を高め、高回転時に起こりがちなバルブジャンプを根本から排除する。スプリングを使わない構造は低回転域での摩擦抵抗低減にも貢献するため、アクセルに対する反応が鋭くなり、回転が落ち込みやすいモトクロス特有のシチュエーションでもエンジンは素直にトルクを発生する。レブリミットは11,900rpmと、450MXとしては異例の高回転設定を実現。回せるエンジンであると同時に、ギヤシフト回数を減らせるというレースに直結するメリットも生まれている。ヘッドカバー、クラッチカバー、オルタネーターカバーにはマグネシウムを採用し、乾燥重量は26.8kg。アップ専用クイックシフター(4,000rpm以上で作動)も標準装備する。メンテナンスサイクルは、ピストン交換およびバルブクリアランス点検が45時間、メインエンジンサービスは90時間と、実戦使用を前提とした設定だ。
フレームの弱点とされる溶接ラインを削減した、一体構造のアルミペリメターフレームは、11のエレメント(鋳造、鍛造、押し出しコンポーネント)から構成。壁厚を薄くし複雑な形状を実現する鋳造効果で、9kg未満の軽量タイプとした
フレームの弱点とされる溶接ラインを削減した、一体構造のアルミペリメターフレームは、11のエレメント(鋳造、鍛造、押し出しコンポーネント)から構成。壁厚を薄くし複雑な形状を実現する鋳造効果で、9kg未満の軽量タイプとした
ライディングモード、スロットルレスポンス(スムーズ/ダイナミック)を設定するコンビネーションスイッチ。リアホイールに伝達されるパワーを制限するローンチコントロールやエンジンブレーキのレベルも選択可能。トラクションコントロールは4段階に設定できる。またスマホ専用アプリでのセットアップ&モニタリングも可能
ライディングモード、スロットルレスポンス(スムーズ/ダイナミック)を設定するコンビネーションスイッチ。リアホイールに伝達されるパワーを制限するローンチコントロールやエンジンブレーキのレベルも選択可能。トラクションコントロールは4段階に設定できる。またスマホ専用アプリでのセットアップ&モニタリングも可能
工具不要で開閉が可能なエアクリーナーカバーを装備。エレメントは近年多くなった薄型ではなく一般的な形状だ
工具不要で開閉が可能なエアクリーナーカバーを装備。エレメントは近年多くなった薄型ではなく一般的な形状だ
エルゴノミクスと美的外観を両立しているシュラウド~サイドカバー。ラジエター形状も斜めの配置で独自のフォルムを形成
エルゴノミクスと美的外観を両立しているシュラウド~サイドカバー。ラジエター形状も斜めの配置で独自のフォルムを形成
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