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【ルームツアー】パリ16区で実現した大家族の「カントリーハウス」

  • 2026.2.27
Vincent Leroux

建築家のステファニー・モンテイルとティボー・ポワリエは6人の子どもと暮らす一家のために、シャンパンゴールドに包まれた、都会の「カントリーハウス」を設計した。『エル・デコ』12月号より。

Vincent Leroux

緑あふれるラグジュアリーなアウトドアリビング

パリ16区の静かな路地に一軒の邸宅がひっそりと佇んでいる。ステファニー・モンテイルとティボー・ポワリエが率いる建築設計事務所、ディストが手掛けたこの住まいは、洗練の中にも田園の雰囲気を感じさせる、都会のオアシスだ。

<写真>メインのテラスは「CFOC」の特大ポットと、さまざまな低木や竹が植えられた自然が息づく空間。ソファはヴィンセント・ヴァン・ドゥイセンがデザインした「ケタル」の“ジロ”。「ホーランド&シェリー」のファブリック“デイア”と“カルヴァリ”で仕立てたクッションと共にくつろぎへと誘う。

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壁面と家具の色が響き合うダイニング

ここに暮らすのは6人の子どもを育てる大家族。家族が心からくつろぎ、友人を気軽に招くことのできる、カントリーハウスのような邸宅を切望していた。650㎡の広さを誇る空間は5層からなり、子どもたちのフロアや3つのテラスを備えている。途中、隣家のデュプレックスを購入するというサプライズも発生したが、設計の核となるのは一貫して「コンヴィヴィアリテ=人が自然に集う心地よさ」だった。

<写真>抑制のきいたシンプルなコーディネートをベースに、繊細な色使いで個性を際立たせたダイニング。オーク材の彫刻的なテーブル“バティーヌ”はピーテル・マースのデザイン。クラフト感が漂うダイニングチェアは、ニールス・コフォードによって1960年代に製作された“リズ”。

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同系色のレイヤーが居心地の良さを育む

「とにかく全てを開放的に、時には思いきり大胆に。まずは何より家が“生きている”こと。それが施主のたっての願いでした」と建築家のポワリエは振り返る。

リビングには12台のスピーカーが目立たぬように仕込まれ、夜はさながらプライベートクラブのような空間に。半地下のエリアにはプール、サウナ、ワインセラーがレイアウトされ、さまざまに暮らしを楽しむ余白が用意されている。

<写真>ラウンジのように居心地のいいリビング。特注のソファに、「ル・マナック」のジャカード織りのクッション“ベハンザン”を組み合わせた。真ちゅう製のフロアランプはシュティムング・ギャラリーで見つけた“スタブレ”、アームチェアはフリーマーケットで購入したもの。

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家主の思い入れが詰まった大人のホビースペース

「夫妻の寛大な人柄がそのまま空間に反映されています」そう語るのはモンテイル。英国のパブを思わせるビリヤードルームは、主人のお気に入りの一角だ。黄色のラッカーで塗られた壁にブロンズの照明が温かな光を落とし、バーカウンターが夜の語らいを誘う。

<写真>趣のあるバーカウンターを併設し、まるで英国のパブのように演出されたビリヤードルーム。ヴォルカー・ハウク・スタジオのブロンズ製のシーリングライト“アントン”が上品な光を放つ。奥の壁には、「ラルフ ローレン ホーム」のウォールライト“ラドフォード”が設置されている。ビリヤードルームは、主人のお気に入りの一角だ。黄色のラッカーで塗られた壁にブロンズの照明が温かな光を落とし、バーカウンターが夜の語らいを誘う。

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明るいサンルームにレトロなエレガンスが漂う

建築的なハイライトは、オーダーメイドのガラス屋根を持つサンルーム。リサイクルの石材を敷き詰めた床が柔らかく光を反射し、20世紀初頭の雰囲気を醸成する。アンジェロ・マンジャロッティがデザインした大理石製のテーブルやトーネットのクラシックなチェアなど、タイムレスな名作が点在している。

<写真>20世紀初頭のエレガンスを漂わせるサンルーム。、アンジェロ・マンジャロッティの大理石のテーブル“エロス”に「ノビリス」のファブリック“オイア”を張ったソファが寄り添う。チェアはマルセル・カンメラーがゲブルダー・トーネット・ヴィエナのためにデザインしたもの。

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グリーンと呼応する陽光に満ちたキッチン

サンルームとつながるキッチンには、明るいトップのアイランドユニットを選択。ヘルナン・バスの絵画と真ちゅうのペンダントランプがこの空間にしか響き渡ることのないアンサンブルを奏でている。

<写真>魅惑的なサンルームにつながるキッチン。中央の天然石で仕立てられたカウンターは“イエロー・ローマ”。カウンターの上に置かれた陶器はジャック・ラシュニーの作品。真ちゅうのペンダントライトはオーショー・ベリスニングの“テル”。壁の絵画はヘルナン・バスの作品。

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リビング同様にくつろげるテラスとつながる寝室

最上階の主寝室は、あえて梁を見せた小屋のような天井と緑に包まれたテラスとの相乗効果によって、都会のツリーハウスのような印象だ。ホーランド&シェリーのウールをあしらったヘッドボードやメゾンドバカンスの寝具が温もりを与えている。

<写真>46㎡の広さを確保した主寝室は、大型のドレッシングルームを備えた静寂の隠れ家。テラスにも直接つながっている。ヘッドボードには「ホーランド&シェリー」のウールジャカード“グレンコー”を採用。無垢材を彫刻したサイドテーブルはグルスティン・ギャラリーで見つけた。

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赤い大理石が物語る妥協のない空間づくり

圧巻は、ディストが設計したトラバーチン製の洗面台。これは70
点ものパーツをレゴのように組み上げた技術の結晶だ。「機能を超えた、感情の居場所を設けたかったのです」とモンテイルは添える。

<写真>この家のクライマックスの一つが、70ものパーツで構成されたトラバーチン製の洗面台。建築的な精密さと優美な鉱物の輝きが融合し、静かな迫力を放つ。壁に並ぶ照明は、ミゲル・ミラが「サンタ&コール」のためにデザインしたオパリンガラス製のウォールライト“セスティタ”。

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ゲストを迎えるのはブロンズ彫刻の「金庫番」

開放感と温もり、素朴と洗練。相反する要素が見事に溶け合ったこの邸宅は、きわめて貴重な家族の幸福をかたちにした空間だ。

<写真>玄関ホールの主は、フィリップ・イキリィによるブロンズの彫刻作品『ラ・バンキエール』。まるで番人のように空間を見守りながら、実は金庫としての機能も備えるというユニークな作品だ。壁面にはアデール・コレクションズによる、装飾的な左官仕上げが施されている。

Realization:LISA SICIGNANO

Photo:VINCENT LEROUX

Original Text:MURIELLE BACHELIER

Hearst Owned

『エル・デコ』2025年12月号



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