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建築もインテリアも楽しめる、日本の美しい映画館10

  • 2026.2.26
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扉を開けた瞬間、スクリーンの中の物語に呼応するような独特の空気が流れる。歴史を刻む情緒豊かな建物や、最新鋭の音響を誇るラグジュアリーな空間、そしてカフェのように親密なシアター。日本各地には、"映画を観る"という行為をより濃密な体験へと変えてくれる場所が点在している。空間そのものが持つ個性も楽しめる、10のシネマスポットを案内する。

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109シネマズプレミアム新宿/東京

建築家・永山祐子が手掛けた、水をモチーフにした美しい外装が目を引く「東急歌舞伎町タワー」。その上層階に位置する「109シネマズプレミアム新宿」は、シネコンの常識を覆す、圧倒的な没入感へと誘う特別な場所。全席がプレミアムシートで構成された贅沢な環境は、映画そのものと真っ向から向き合うためのしつらえ。電動リクライニングを備えた「CLASS S」など、プライベート感あふれる座席で、自分だけの映画体験に浸ることができる。

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シアターの核となる音響システムは、音楽家・坂本龍一氏が監修。独自設計の「SAION -SR EDITION-」は、スクリーンの存在を忘れさせるほど曇りのない、リアルで自然なサウンドを追求している。さらに特筆すべきは、かつての「新宿ミラノ座」の文化を継承し、坂本氏の提案によって35mmフィルム映写機が設置された点。プレミアムシートという快適さに身を委ね、最新の3面ワイドビューシアター「SCREENX」から歴史を刻むフィルム上映まで。映画への深い愛が生んだ極上の環境で、作品の息遣いまでを五感で堪能したい。

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エントランスを抜けると広がるのは、「とき」と「おと」を楽しむ“TIMELESS MODERN”をテーマに掲げた鑑賞者専用ラウンジ。都会の喧騒を離れ、落ち着いたトーンの中にアート作品が点在する空間は、映画の世界へ旅立つ前の心を静かに整えてくれる。鑑賞料金にはウェルカムコンセッションのポップコーンやドリンクが含まれており、上映前のひとときを贅沢な余白として楽しむことができる。

109シネマズプレミアム新宿
住所/東京都新宿区歌舞伎町一丁目29番1号 東急歌舞伎町タワー9F、10F

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高田世界館/新潟

明治44年に芝居小屋として産声を上げ、大正5年から常設映画館となった「高田世界館」。現役で営業を続ける映画館としては日本最古級を誇り、国の登録有形文化財や近代化産業遺産にも指定されている歴史的遺産。2007年には老朽化により取り壊しの危機に瀕したが、地域の財産を守ろうとする有志やファンの熱意により「街なか映画館再生委員会」が発足。市民からの募金や支援に支えられ、今もこの地で文化の灯を灯し続けている。

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シアター内に足を踏み入れれば、当時の趣を今に伝えるノスタルジックな空間が広がる。かつての面影を残す意匠は、市民プロジェクトによる地道な修繕を経て息を吹き返したものだ。2009年から始まった再生への歩みでは、椅子の改修を皮切りに、ひとつひとつの座席が丁寧に手入れされてきた。冬場の防寒や耐震補強といった課題は今なお残るが、歴史の重みを感じさせる椅子に腰掛け、劇場の息遣いを感じながら映画を見る体験は、何物にも代えがたい贅沢といえる。

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ただ建物を保存するだけでなく、血の通った「生きた施設」として活用すること。それが高田世界館の目指す再生の形。瓦の吹き替えや外壁工事、トイレの改修といった大規模な修繕は、多くの市民からの寄付によって実現した。物心両面で寄せられた深い愛が宿る施設は、現在、上映活動に加え、街に賑わいを生む文化施設・コミュニティスペースとしても定着。100年以上の歴史が日常の風景に溶け込み、今も温かな交流を育み続けている。

高田世界館
住所/新潟県上越市本町6丁目4-21

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上田映劇/長野

明治時代の芝居小屋を前身に、大正6年に映画館としての歩みを始めた「上田映劇」。一歩足を踏み入れれば、そこには大正、昭和、そして現代へと続く映画の記憶が重層的に重なっている。当時、花道や回り舞台を備えた歌舞伎座のようなしつらえで誕生したこの場所は、古くからこの街の娯楽の拠点だった。

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昭和の全盛期には2階席でメイドがコーヒーを給仕していたという、映画が最も輝いていた時代の華やかな記憶。時代の波に押され、一時は定期上映を終了する苦境に立たされたが、劇場の存続を願う人々の熱意が「上田映劇再起動プロジェクト」を動かした。現在は「映画の街・上田」を象徴するコミュニティシネマとして再生。館内には劇団ひとり監督の作品『青天の霹靂』をはじめ様々な映画や映像作品のセットが残り、映画の世界と現実が交差する不思議な情景を味わえる。

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一際目を奪われるのは、震災前の帝国劇場と同じ造りと言われる豪華な格天井。オープン当時に帝国劇場の専務取締役から贈られた祝辞の書面も今に残り、往時の格調高さを静かに物語っている。

上田映劇
住所/長野県上田市中央2-12-30

画像提供:国立映画アーカイブ

国立映画アーカイブ/東京

日本で唯一の国立映画専門機関「国立映画アーカイブ」。1952年の創設から幾多の変遷を経て、現在は独立した美術館として映画文化の振興を担っている。フィルムの収集や復元に心血を注ぐ国内唯一の機関として、これまでに1万作品を超える貴重な映画を上映してきた。

画像提供:国立映画アーカイブ

館内は、洗練された趣の中に映画の歴史が幾層にも重なる。「長瀬記念ホール OZU」と「小ホール」の2つの上映ホールでは、歴史的な傑作から発掘・復元されたフィルムまでが日々スクリーンを彩り、常に新たな発見を届けてくれる。

展示室 画像提供:国立映画アーカイブ

4階の図書室には明治以降の日本で刊行された映画図書の約7割をカバーする膨大なコレクションが所蔵され、7階の展示室ではポスターや機材から日本映画の豊かな歩みを辿る楽しみも尽きない。歴史的な知の蓄積と、現在進行形の映画体験が交差するこの空間は、私たちの感性を心地よく刺激し、映画という表現の豊かさを改めて実感させてくれるはず。

国立映画アーカイブ
住所/東京都中央区京橋 3-7-6

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シアター・イメージフォーラム/東京

2000年にオープンした「シアター・イメージフォーラム」。まだ個人による映像製作が一般的ではなかった1972年に表現の発信拠点として誕生した上映会がその源流。渋谷の喧騒を離れた街角に建つその姿は、打放しコンクリートの質感と曲線を描くガラスの外壁が、独創的な建築美を放っている。このコンパクトな複合施設は、開放性や明朗性をテーマに設計され、上映ホールのみならず教育や研究、出版といった多様な機能を内包。都市に開かれた、映像アートの多面的な拠点としての存在感を確立している。

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館内には、色彩の対比が鮮やかな2つのシアターが備わっている。ブルーで統一された1階の「1」と、イタリアンレッドが印象的な地下の「2」。最大のこだわりは、建物の規模に対して驚くほど大きく設定されたスクリーン。高い位置に配置されたスクリーンと、充分な傾斜を持つ床設計により、前列を気にすることなく純粋に映像の世界へ没入できる。新作からクラシックス、アバンギャルドまで、ここでしか出会えない表現と深く対峙するための理想的な環境が整っている。

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空間の随所に息づくコンセプトは“階段”。なかでも名物となっているのは、天井で行き止まりになるフェイクの階段で、天井で行き止まりになるチラシ置き場として親しまれている。映画を“観る”だけでなく、ワークショップでの制作や前衛的な映像表現に特化した国際映画祭の主催など、関わり方は驚くほど多彩だ。会員になれば1,300円で鑑賞できるといったサービスも充実。訪れるたびに、これまで知らなかった映像の面白さを教えてくれる、刺激に満ちた場所となっている。

シアター・イメージフォーラム
住所/東京都渋谷区渋谷2-10-2

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Bunkamuraル・シネマ 渋谷宮下/東京

渋谷のランドマーク、宮益坂下に位置する「Bunkamuraル・シネマ 渋谷宮下」。長年ミニシアター文化を牽引してきたル・シネマのアイデンティティと、歴史ある旧渋谷TOEIの記憶が交錯する場所だ。チケットカウンターを経てエレベーターを降りれば、都会の喧騒は一瞬にして遠ざかる。以前の建物の構造を活かしつつ、足を踏み入れた瞬間に一気に見知らぬ物語の中へと誘われるような、静かで刺激的なエネルギーに満ちた空間が広がる。

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2つのスクリーンは、かつての劇場の内装をあえて変えず、古き良き意匠を活かしている。7階シアターは4K上映対応し、さらにル・シネマより貴重なフィルム映写機を移設することで、近年需要が高まる35mm上映も可能に。渋谷の映画文化が息づくシックで美しい空間とゆったりとした座席で、フィルム特有の情緒や高精細な映像をじっくりと堪能できるのは、映画ファンにとってこの上ない贅沢といえるだろう。

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ロビーの空間設計を担当した建築家・中山英之が提示したのは、主役である観客を迎えるためのレッドカーペットならぬ“シャドウ”カーペット。床や壁、テーブルまでも影色が包み込み、音を吸収することで落ち着いた心地よさを創出する。ロビーには「ドゥ マゴ パリ プチカフェ」やアートショップ兼ギャラリーを運営するNADiffによる選りすぐりのブックストアが並び、“行くだけでなにかある”という期待感を抱かせ得てくれるスポットだ。

Bunkamuraル・シネマ 渋谷宮下
住所/東京都渋谷区渋谷1-24-12

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Stranger/東京

多くの映画ファンの賛同を得たクラウドファンディングを経て開業した「Stranger」。建築設計事務所SNARK Inc.による空間は、街に開かれた軒下空間から、奥に潜む劇場へと自然に誘われるような構成が美しい。“現代的にアップデートされた映画鑑賞体験を生み出すこと”をテーマに、映画を観るだけでなく、人々が視点を共有し語り合える空間として設計されている。

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49席のマイクロミニシアターながら、その中身に妥協はない。ハイスペックな音響映写装置とハイグレードなシートを備えた本格的な上映環境は、この規模だからこそ味わえる親密で贅沢な没入体験を叶えてくれる。

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鑑賞後は、シームレスにつながるカフェ空間へ。“モダン・フロンティア・スピリット”をコンセプトに、北米中西部や南米の空気感をモダンに解釈した空間で、ウィットの効いたフードやドリンクを楽しみつつ作品の余韻に浸りたい。こうした自由な空気感を支えるのが、館内を貫く広めの通路や家具の配置。ゲストの能動的なコミュニケーションをごく自然に引き出してくれる設計は、新しい文化が生まれる“場”としての可能性に満ちている。今後、ポップアップや地域コミュニティの拠点としての役割も期待されるこの場所は、映画館という枠を越えた存在となっていくに違いない。

Stranger
住所/東京都墨田区菊川3-7-1 菊川会館ビル1F

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熊本ピカデリー/熊本

JR熊本駅ビルの「アミュプラザくまもと」7階に位置する「熊本ピカデリー」。ブランドカラーの「ピュアホワイト」と、熊本城を象徴する「マットブラック」のモノトーンで統一された館内は、まるで美術館のような静謐さを湛えている。コロナ禍という“集い”が制限された時代に誕生したこの場所は、巨大な梁や柱といった建築躯体をあえてデザインの一部として取り込み、来館者が自然に寄り添える居心地の良さを追求。広告物さえも文化的な尺度で制御された、知的好奇心を満たすに相応しい空間だ。

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全10スクリーン、1316席を備える館内は、すべてのシアターの最前列にリクライニングシートを完備。なかでもスクリーン2に導入された日本初の「3面ライブスクリーン」と迫力の音響により、ライブ会場さながらの熱気と臨場感を生み出している。通常の映画鑑賞に留まらず、スポーツやミュージカルなど多彩なジャンルを楽しめるのもこの館の醍醐味。

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サービス面でも九州初の試みが光る。スマホやセルフオーダー機から注文できる「シネマスマートオーダー」や、当日はおかわり自由となるドリンクバーを提供。館内2か所に設けられたドリンクバーは、上映中だけでなく、広いホワイエでくつろぐ上映前後の時間にも寄り添ってくれる。純白の空間が余白のように浮かび上がる洗練されたロビーで、お気に入りのドリンクを手に映像の世界へと思いを馳せたい。

熊本ピカデリー
住所/熊本県熊本市西区春日3丁目15番26号 アミュプラザくまもと7階

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YEBISU GARDEN CINEMA/東京

1994年、ビール工場跡地に誕生した複合施設「恵比寿ガーデンプレイス」。その一角に佇む「YEBISU GARDEN CINEMA」は、世界中から選りすぐられた文化の香り高い作品を届ける、次世代のアート系シネマ。大人の女性がスマートに、そして心地よく過ごせる場所をテーマに据えたこの館は、映画にとどまらず演劇やコンサートといった芸術文化が有機的に結びつく情報発信の拠点でもある。周辺施設や街のアートイベントとも連動し、日常の中に特別な感性をもたらす場所として、恵比寿の地に深く根を下ろしている。

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シアター内は187席と93席の2スクリーン構成。デジタル映写機を完備し、世界から選りすぐられた映画のみならず演劇やコンサートなどのコンテンツも上映する。五感で楽しむことをテーマに、シネコンの利便性と上品な高品位さをカジュアルに体験できるのが魅力。恵比寿ガーデンプレイス内の各施設とも有機的に連動し、恵比寿の街そのものと響き合う文化芸術の発信拠点として機能している。

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ホワイエでは、スパークリングワインやオーガニックドリンクを、こだわりの軽食と共に愉しめるカフェカウンターが迎え入れる。パウダールームやラウンジの設置など、“訪れて過ごす”価値を付加したホスピタリティが随所に光る。ネット予約決済の便利さを享受しながら、インテリアの触覚までも要素に取り込んだ五感に響く演出。世界最高水準の映画体験をカジュアルに味わえるこの場所は、訪れる人の感性をスマートに満たしてくれる。

YEBISU GARDEN CINEMA
住所/東京都渋谷区恵比寿4-20-2 恵比寿ガーデンプレイス 内

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グランドシネマサンシャイン 池袋/東京

池袋のサンシャイン通りに立地する「グランドスケープ池袋」。その核となる「グランドシネマサンシャイン 池袋」は、“映画の殿堂”をコンセプトに掲げた、都内最大級のシネマコンプレックス。日本最大のIMAX®シアターがある12階フロアの天井には、全面デジタルディスプレイが広がり、新しい副都心の空中夜景を創出。12スクリーン、約2,500席という巨大なスケール感でありながら、単なる映画館の枠を超え、街のシンボルとして圧倒的な存在感を放っている。

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シアター内には、全スクリーンへのRGBレーザープロジェクター導入など、最高峰のスペックが揃う。国内最大サイズのスクリーンを擁するIMAXシアターをはじめ、体感型アトラクションシアター「4DX」と視野270度の3面ワイドスクリーン「ScreenX」が融合した「ULTRA 4DX」、独自の劇場規格「BESTIA」など、作品を“体験”するための選択肢が豊富だ。シートにもこだわり、パリのオペラ座と同じキネット社製のスタンダード席から、電動リクライニングを備えたプレミアムな席まで完備。一部シアターの最前列にはオットマンも設置され、あらゆる利用シーンに応えるスマートなホスピタリティが貫かれている。

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空間をアートへと昇華させる演出も見逃せない。4階ロビーの『Lumière』は、トラフ建築設計事務所が意匠設計を、クリエイティブスタジオWOWが映像演出を担当した光のシャンデリア。球体の表面をボロノイ分割した鏡面が、複雑な反射を繰り返す万華鏡のような美しさを見せる。また、12階ホワイエの巨大LEDディスプレイ『Motion Ceiling』には幻想的な天井画が映し出され、レストラン「バール パノーラマ」から望む街の景色と鮮やかに呼応する。圧倒的なスケール感と繊細な美意識が共存するこの場所は、最新テクノロジーと現代のアート表現が心地よく融合した、次世代のカルチャー拠点といえるだろう。

グランドシネマサンシャイン 池袋
住所/東京都豊島区東池袋一丁目30番3号 グランドスケープ池袋

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