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ガソリン価格「1L200円」が現実に…1年でどのくらい影響が出る?→お金のプロがズバリ回答。家計を襲う“想定外のシナリオ”

  • 2026.3.20
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出典元:photoAC(※画像はイメージです)

「ガソリンスタンドの看板を見るたび、ため息が出る……」そんな経験はありませんか?

ガソリン価格が1リットル200円に近づく今、車を通勤や買い物、子どもの送迎などで日常的に使う家庭にとっては、無視できない深刻な問題となっています。

「なぜここまで高くなっているのか?」「少しでも安く済ませるにはどうすればいいの?」と疑問や悩みを抱える方も多いはずです。

今回は、ガソリン価格高騰の背景から、やってしまいがちな「NGな節約法」、そして今日から始められる本当に効果的な対策まで、マネーシップス代表の石坂貴史さんに詳しく解説していただきました。

なぜここまで高い?ガソリン価格高騰の背景と家計への影響

---ガソリン価格が1リットル200円に迫る勢いですが、なぜここまで高騰しているのでしょうか?また、私たちの家計にはどれくらいの影響があるのか教えてください。

石坂貴史さん:

「ガソリン価格が1リットル200円に近づく背景には、さまざまな経済的な要因があります。

まず大きいのは原油価格です。ガソリンは原油から作られており、日本はその原油のほとんどを海外から輸入しています。原油価格は国際市場で決まり、たとえば、1バレル70ドル前後だった原油が90ドル(3月16日時点で1バレル95ドルまで上昇)近くまで上昇すると、国内の燃料価格にも影響が出やすくなります。

最近では、中東情勢の緊張も市場で意識されています。特にホルムズ海峡は、中東から世界へ原油を輸送する重要な航路です。世界で海上輸送される原油の約2割がこの海峡を通るとされ、日本の場合は、輸入原油の約8割がここを通過しています。そのため、中東情勢が不安定になると、原油の供給が滞る可能性があると市場が判断し、原油価格が上昇しやすくなります。

もう一つの要因は為替です。日本は原油をドルで購入するため、円安になると輸入コストが増えます。たとえば、為替が1ドル130円から160円に動くと、同じ原油でも円での支払い額は2割以上増える計算になります。この影響はガソリン価格にも反映されます。

家計への影響も小さくありません。月に80リットル給油する家庭で、ガソリン価格が170円から200円に上昇すると、月の負担は約2,400円増えます。年間では約2万9,000円の負担増になります。

さらに車をよく使う家庭では影響が大きくなります。たとえば、片道10キロの車通勤をしている場合、1日20キロ、月に約400キロ走ることになります。燃費が1リットル15キロの車では、月に約27リットルのガソリンを使います。ガソリン価格が30円上がると、それだけで月に約800円、年間では約1万円ほど負担が増える計算です。

また、子どもの送迎や週末の買い物などで車を使う家庭では、月に100リットル近く使うケースもあります。その場合、ガソリン価格が30円上がると月3,000円、年間では3万6,000円ほど負担が増えることになります。

さらにガソリン価格の上昇は物流費にも影響するため、食品や日用品など生活全体の物価にも波及します。つまり、ガソリン価格の上昇は、燃料費だけでなく家計全体の支出を押し上げる要因になる可能性があります。」

遠くの安いスタンドは逆効果?注意すべき「NGな節約法」

---ガソリンが高くなると「1円でも安いスタンドを探す」「携行缶で買い溜めする」といった行動を取りがちですが、こうした節約法は本当に効果的なのでしょうか?

石坂貴史さん:

「ガソリン価格が上がると、少しでも安いスタンドを探したり、まとめて購入したりする人が増えます。しかしこうした節約方法には注意点もあります。

まず遠くの安いスタンドに行く場合です。たとえば、1リットル10円安いスタンドで40リットル給油すると、節約額は400円になります。しかし、そのスタンドまで往復10キロ走るとしましょう。車の燃費が1リットル15キロの場合、移動だけで約0.7リットルのガソリンを消費します。ガソリン価格が180円の場合、移動の燃料代は約120円です。結果として実際の節約額は約280円になります。さらに移動時間や行列に並ぶ時間も考えると、必ずしも効率的とは言えない場合があります。

次に携行缶での買い溜めです。ガソリンは揮発性が高く、取り扱いを誤ると火災の危険があります。消防法ではガソリンの保管量に制限があり、家庭で保管できる量は40リットル未満とされています。またガソリンスタンドで携行缶に給油する場合は、本人確認や使用目的の確認が行われることがあります。

さらに、ガソリンは長期間保管すると品質が劣化する可能性があります。数か月程度で燃焼性能が落ちることもあるため、大量に保管する方法は節約策としては現実的とは言えません。家計の観点では、安く買うことだけを考えるよりも、使用量そのものを減らす工夫の方が、効果が出やすい場合が多いといえます。」

年間で数万円の差に!今日からできる正しいガソリン対策

---では、ガソリン価格の高騰から家計を守るために、私たちが日常生活の中でできる具体的な対策を教えてください。

石坂貴史さん:

「ガソリン価格の上昇に備えるためには、日常生活の中でできる対策を少しずつ積み重ねることが大切です。まず取り組みやすいのは、車の使い方を見直すことです。

たとえば、買い物や用事をまとめて行うことで、車の利用回数を減らすことができます。仮に1週間で20キロの移動を減らせるとしましょう。車の燃費が1リットル15キロの場合、約1.3リットルのガソリンを節約できます。ガソリン価格が180円の場合、週で約230円、年間では1万2,000円程度の節約になります。

次に効果があるのが運転方法です。急発進や急加速を減らすことで燃費が5%から10%改善する場合があります。月に80リットル給油する家庭で燃費が10%改善すると、約8リットルの節約になります。ガソリン価格が180円の場合、月で約1,400円、年間では約1万7,000円ほどの差になります。

また車の状態を整えることも重要です。タイヤの空気圧が低いと燃費が2%から5%ほど悪化することがあります。定期的に空気圧を確認するだけでも、燃料効率の改善につながります。

ガソリン価格そのものは家庭で変えることはできませんが、使う量を減らすことは可能です。移動の仕方や運転方法を見直すだけでも、年間で数万円の差が生まれることがあります。まずは、日常生活の中で無理なく続けられる行動から始めることが、ガソリン急騰のなかで家計を守る第一歩になります。」

ガソリン高騰に負けない!「使う量を減らす」工夫で家計を防衛

ガソリン価格は国際情勢や為替の影響を大きく受けるため、私たち消費者にはコントロールできない部分がほとんどです。しかし、今回の解説にもあったように、「遠くの安いスタンドを探す」ことよりも、「車の使い方や運転方法を見直す」方が、結果的に確実な節約へとつながります。

買い物をまとめる、急発進を控える、タイヤの空気圧をチェックするなど、どれも明日からすぐに実践できるものばかりです。ガソリン1リットル200円時代が現実味を帯びる中、まずは無理なく続けられる小さな工夫を積み重ねて、家計を賢く守っていきましょう。


監修者:石坂貴史
証券会社IFA(独立系ファイナンシャルアドバイザー・証券外務員)、日本証券アナリスト協会認定資産形成コンサルタント、2級FP技能士、AFP、NISA取引アドバイザー、マネーシップス代表。累計1,200件以上のご相談、金融関連の記事制作、校正・監修を手掛けています。「金融・経済、不動産、保険、相続、税制」の6つの分野が専門。各種メディアにて毎朝金・プラチナ相場の解説を担当。お金の運用やライフプランの相談において、ポートフォリオ理論と行動経済学を基盤にサポート。