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“死亡保険3000万”を残して亡くなった50代男性→葬儀後、遺された家族が絶句した“たった1つの手続き漏れ”【お金のプロは見た】

  • 2026.5.23
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出典元:photoAC(※画像はイメージです)

現役商社マンのたるみくまおです。

家族のために入っていた死亡保険。しかし、たった一つの手続き漏れで、遺された家族の手元に保険金が入ってこないケースが存在します。自分の死後、家族に迷惑をかけてしまう。これほどやるせないことはありません。

私は数年前、その事例を勤め先の同僚を通じて間近で目にしました。今回は、その経験をお話しします。

社内回覧で届いた、突然の訃報

数年前のことです。ある朝、社内のメールで一通の訃報が回ってきました。

亡くなったのは、別部署で長く勤めていた男性Aさん。私が入社したばかりの頃、業務の進め方からビジネスマナーまで、何かと気にかけて教えてくれた先輩格の存在でした。

持病があり、最近体調がすぐれないという話は聞いていました。けれど、まだ50代の半ば。こんなに早く別れが来ようとは。

数日後、ご家族と関係者だけのささやかな葬儀に参列しました。受付には、奥様と、まだ若いお子さんの姿がありました。再婚されてから生まれたお子さんだと、後から人づてに知ったのです。

葬儀の場で、奥様にひと言だけお悔やみを伝えました。返ってきた声は静かで、毅然としていて、それがかえって、いまも胸に残っています。

家族の手に渡らなかった死亡保険金

葬儀から少し時間が経った頃、Aさんと同じ部署の同僚から、思いがけない話を聞かされました。四十九日の場で、奥様がぽつりと打ち明けたといいます。「実は、保険金が元の奥様に渡ることが分かって……」と。

Aさんの離婚は、もう20年以上も前のことでした。生命保険の契約自体は若い頃から続けていたもので、受取人の欄には、当時の奥様、つまり元の奥様の名前が記されたままだったのです。死亡保険金は3,000万円。再婚後の家族には、一円も渡らない。そう聞かされた瞬間、私は言葉を失いました。

伝えてくれた同僚も、深刻な顔をしていました。
「あいつの家族、これからどうなるんだろうな」
専業主婦の奥様と、まだ若いお子さん。これからお金がかかる時期だということを、彼も知っていたのだと思います。

Aさんが受取人変更を忘れていたことは、生前、誰にも語られていませんでした。書類一枚の手続きなど、頭の片隅にもなかったのかもしれません。

受取人が元妻になっていた理由

生命保険の死亡保険金は、原則として契約書に記載された受取人に支払われます。血縁関係ではなく、契約書の記載が優先されるのです。そのため、離婚後に受取人を変更しないまま再婚し、亡くなった場合は、元の配偶者に保険金が渡るケースが起こり得ます。

さらに、生命保険金は受取人固有の財産とされ、原則として相続財産には含まれないと判示されています(最高裁平成16年10月29日判決)。

そのため、遺留分侵害額請求の対象にも、原則としてなりません。ただし、保険金額が著しく大きいなど特段の事情がある場合には、例外も認められます。

つまり、現在の家族が「自分たちが受け取るはずだった」と訴えても、法的に取り戻すのは極めて困難。たった一行の書類が、残された家族の人生を大きく揺るがすのです。

あらためて、契約内容を確認してみてください

Aさんのケースは、特別な人にだけ起こる悲劇ではありません。誰にでも起こり得る、ほんの小さな「うっかり」が原因です。だからこそ、対策もまたシンプルです。

ご自宅の引き出しから保険証券を取り出し、受取人欄に目を通してみてください。複数の生命保険に加入している方は、契約ごとに確認することが大切です。離婚や再婚、出産といったライフイベントがあった方は特に、いま一度ご確認をおすすめします。

「自分が死んだあとに、家族に迷惑をかけたくない」
そう願う気持ちに応えてくれるのは、数分で終わる、たった一度の見直しなのです。


※生命保険金の受取人変更手続きや、未変更のまま発生した死亡保険金の法的な取り扱い・税務上の判定は、加入している保険会社の商品規定や個人の相続状況によって細かく異なります。受取人の変更や遺産に関する確認を行いたい場合は、自己判断せず、必ず加入中の保険会社や、相続税務に強い税理士などの専門家へ直接ご相談ください。

執筆・監修:たるみくまお
リユース業界での買取窓口業務を経て、現在は技術商社に勤務する現役ビジネスマン兼Webライター。古物商許可証を保有し、ブランド品・高級時計の査定現場で数多くのお客様と向き合ってきた経験を持つ。現職では技術商社の最前線に身を置き、ITをはじめとする幅広い分野の知見を日々積み重ねている。また、過去に借金を抱えた経験から、マネーリテラシーの重要性を痛感し、現在も金融知識の習得を続けている。二次流通市場の裏側から、お金のリアルな話まで、現場で得た実体験をもとに等身大の言葉で発信中。

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