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「老後のために」iDeCoを満額で積み立て続けた50代会社員…→ある日、男性を襲った“想定外の悲劇”【お金のプロは見た】

  • 2026.3.19
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出典元:photoAC(※画像はイメージです)

iDeCoは老後の資産形成に効果的な手段のひとつです。

掛金の全額が所得控除の対象になるなど、税制面でのメリットも大きいでしょう。

そんなiDeCoのメリットを最大限に生かし、長年にわたって満額で積み立てを続けている知人の50代後半男性・Aさん(仮名)がいます。NISAの制度拡充が話題になった際も「やっぱりiDeCoを優先すべきだよ」と語るほど、iDeCoに信頼を寄せていました。

しかし、Aさんがある日突然リストラに直面したのです。

急なリストラで貯金が底をつく事態に

Aさんがリストラを告げられたのは、50代前半のときでした。すぐに転職活動を始めたものの、年齢がネックとなり思うように進みません。

老後資金づくりを優先してiDeCoの掛金を高めに設定していたこともあり、手元の貯金にはあまり余裕がなかったそうです。収入が途絶えた状態で生活費がかさみ、やがて貯金は底をつきました。やむを得ずカードローンで借入をして、日々の生活をしのぐ事態に陥ったのです。

iDeCoは原則として、60歳以降の受給年齢に到達するまで引き出せません。通算加入者等期間が短い場合は、受給開始が61歳以降になることもあります。

知人の手元に残っている資産は、これまでコツコツ積み立ててきたiDeCoだけ。目の前にまとまった資産があるにもかかわらず、使えないもどかしさを痛感したといいます。

転職には成功したが、老後資金の使い道が変わった

その後、知人はなんとか転職に成功しました。しかし、カードローンの返済が重くのしかかっています。完済のめどが立つのは定年後になるそうです。

老後の生活を豊かにするために積み立てていたはずのiDeCo。ところが60歳以降に受け取れるようになったら、その資金をカードローンの返済に充てる予定だと話していました。

「やっぱり背伸びして積み立てるものじゃなかったよ」と知人は漏らしています。老後資金として育てた資産が、借金の返済に消えてしまうことになってしまったのです。

自分の状況に見合った積み立てが大切

iDeCoの節税メリットは魅力的ですが、60歳まで引き出せないという特性を軽視してはいけません。急な失業や病気など、想定外の出来事はいつ起こるかわからないものです。

満額で積み立てること自体は悪いことではありません。ただし、手元にある程度の生活防衛資金を確保したうえで取り組むべきでしょう。働きながら資産形成をする場合は、目安として半年から1年程度の生活費に相当する手元資金を確保したうえで取り組むと安心です。

iDeCoの活用を検討する際は、節税効果だけに目を向けるのではなく、自分の収入や家計の状況に見合った金額で無理なく続けていくことが大切です。


ライター:中野こうき

名古屋市出身。岐阜大学大学院自然科学技術研究科を卒業したあと、2021年にWebライターとして独立。理系ならではの「根拠を大切にする姿勢」と、FP1級取得を通じて培ったお金の知識を組み合わせ、金融・FP分野を中心に100本以上の記事を執筆してきた。「難しいお金の話を、身近に感じてもらえる記事に」をモットーに活動中。