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4800万円でマンション購入→不動産価格の上昇で“売却”するも…2年後、40代夫婦を襲った“思わぬ落とし穴”【お金のプロは見た】

  • 2026.3.27
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出典元:photoAC(※画像はイメージです)

こんにちは、マネーシップス代表の石坂です。

不動産価格の上昇を背景に、「今が売り時ではないか」と考える方が増えています。実際に、購入時より高く売却できるケースもあり、大きな利益につながることもあります。

一方で、売却後の生活まで含めて検討しないと、結果的に住環境や家計に大きな影響が出ることもあります。

今回は、実際の相談事例をもとに、不動産売却で見落とされやすいポイントを整理しましょう。

「高く売れたのに戻れない」自宅売却の話

相談に来られたのは、40代前半の会社員のご夫婦です。

子どもは小学生が1人で、世帯年収は約900万円です。

6年前に都内近郊でマンションを購入し、購入価格は4,800万円。住宅ローンは35年、金利0.6%で、毎月の返済額は約12万円でした。

その後、不動産価格の上昇により、同じマンションの成約事例は6,200万円前後まで上昇。「今なら利益が出る」と判断し、売却を決断します。

住宅ローンの残債は約4,000万円だったため、売却によって約2,000万円(諸費用差引後で約1,700万円)の資金が手元に残りました。

ここまでは順調に見えますが、問題はその後でした。同じエリアで賃貸に住み替えたところ、同程度の広さ(70㎡前後)の物件は月16万〜18万円が相場となっており、選んだ物件は家賃17万円でした。

結果として、住居費は

  • 売却前:住宅ローン 約12万円
  • 売却後:家賃 約17万円

となり、毎月5万円の負担増となりました。年間では約60万円の増加です。

さらに2年後、再度購入を検討した際には、同じエリアの同水準のマンション価格は6,800万円前後まで上昇しており、「売却前と同じ条件では買い戻せない」状態になっていました。

「売却価格だけ」で判断すると見落とす現実

今回のケースでは、「1,000万円以上の利益が出る」という点に判断が引っ張られていました。

しかし本来は、「売った後にどうなるか」を含めて考える必要があります。

まず、賃貸に移行した場合の住居費です。不動産価格が上がっている局面では、家賃も連動して上がる傾向があります。今回のように、毎月5万円の差が出ると、5年で300万円の負担増になります。

また、一度売却すると「同じエリアに戻るハードル」が大きく上がります。価格が上昇している局面では、売却益以上に物件価格が上がることも珍しくありません。

相談の現場でも、「売却は成功したが、その後の選択肢が狭くなった」というケースは一定数あります。

つまり、「売ること」自体が目的になり、その後の生活設計が十分に検討されていない点が問題です。

後悔しないために考えておきたい不動産の売却

不動産の売却は、単なる資産の売買ではなく、生活基盤の見直しです。

まず重要なのは、「売却後の住まいを先に決める」ことです。賃貸にする場合は家賃水準を、購入する場合は再取得価格を具体的に確認しておく必要があります。

次に、「同じ条件で戻れるか」という視点です。価格が上昇している局面では、売却後に同じエリア・同じ広さの物件を再取得できるかを事前に検証することが重要です。

また、売却によって得た資金の使い方も重要です。今回のケースでは約1,700万円の手元資金ができましたが、住居費の増加によって長期的には取り崩される可能性もあります。

不動産は価格だけでなく、「住み続ける価値」も含めて判断する必要があります。


監修者:石坂貴史
証券会社IFA(独立系ファイナンシャルアドバイザー・証券外務員)、日本証券アナリスト協会認定資産形成コンサルタント、2級FP技能士、AFP、NISA取引アドバイザー、マネーシップス代表。累計1,200件以上のご相談、金融関連の記事制作、校正・監修を手掛けています。「金融・経済、不動産、保険、相続、税制」的6つの分野が専門。各種メディアにて毎朝金・プラチナ相場の解説を担当。お金の運用やライフプランの相談において、ポートフォリオ理論と行動経済学を基盤にサポート。