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「どうして目の前でドアを閉めるんだ!」春のダイヤ改正で生じた“1分のズレ”…同じホーム乗り換えで起きた思わぬ誤算

  • 2026.3.12
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出典:photoAC ※

こんにちは。元鉄道駅員の川里です。

今回は、私が駅員時代に経験した「ダイヤ改正のトラブル」をご紹介します。

ダイヤ改正直後に新しい時刻表をチェックする際、駅員やダイヤ改正担当者の苦労にも思いをはせていただけたら幸いです。

春はダイヤ改正の季節

春はダイヤ改正の季節です。JR各社をはじめ、全国の鉄道会社が一斉に時刻表を新しくします。

ダイヤ改正に関する駅員の大きな仕事は、本社から送られてきた掲示用の時刻表に誤りがないか確認することです。私がいた鉄道会社では万全を期すためにチェックは人を変えて3回行われます。

また、駅員が使う案内用の時刻表も新しく作り変えます。こちらは本社が作ってくれるわけではないので、駅員たちの手作りです。

案内用の時刻表には、自駅での乗り換えに関する情報を盛り込んでいます。

これは列車到着時の構内放送で「〇〇行きをご利用のお客さまは1番乗り場へお越しください」などと案内するときに必要なためです。

乗り換え案内の罠

乗り換えは通常、同じホームの向かい側なら1分以内、ホームが変わるなら3分以内にできるものと想定してダイヤが作られています。時刻表の上で乗り換え可能とされている列車が接続列車です。

列車が数分遅れたとき、多くの場合、接続列車は出発を待っていてくれます。

ところがあるとき、このようなダイヤがありました。

3番乗り場に列車Aが朝7時45分到着、同じホームの4番乗り場から別路線の列車Bが7時46分出発というものです。一見すると同じホームで到着から出発までに1分あり、列車Aから列車Bには接続できるように感じられます。

しかし、列車Bは列車Aの接続列車ではありません。というのも、一般的に掲示されている時刻表では秒を切り捨てていますが、実際には両列車の到着と出発の間隔は15秒しかなかったのです。

意地悪ダイヤ

朝のラッシュ時間帯ということもあり、列車Aはしばしば数秒遅れて駅に到着します。

一方で列車Bは当駅始発。その結果、列車Aが入線してくるまさにその目の前で、列車Bはドアを閉め、ホームに取り残されたお客さまを尻目に出発するという光景が生まれました。

当然、お客さまからは「どうして客の目の前でドアを閉めるんだ!」とご意見の嵐です。

「聞きたいのはこっちも同じです」

という言葉を何度も飲み込みました。

それでも駅員は鉄道会社の顔なのです。

「お客さまにとって会社の代表は社長じゃない。接客するあなたたちが会社の代表だ」

という言葉は、きっとどこの会社でも言われていることでしょう。

1分ずらすだけなのに…

多くのご意見が寄せられたはずですが、それでもこの意地悪なダイヤは変更されませんでした。

ダイヤの設定管理部門から駅に直接「このような理由でダイヤの変更はしません」とわざわざ説明があるわけでもありません。ただ、理由を推測することならできます。

列車のダイヤが分単位なら、それを運転する乗務員の勤務ダイヤも分単位で刻まれています。出勤時刻も毎日分単位で決まっているそうです。

また、始発駅の出発時刻を遅らせるということは以降の駅すべてでダイヤの変更が発生することになり、時刻表を最初から新しく作り直さなければいけません。他の列車との接続や単線区間の行き違いにも影響するかもしれません。

これらを考慮した結果、列車Aと列車Bで接続が取れなくても現状を維持する他に方法はないと考えたのではないでしょうか。

運転士不足も問題?

これは私の被害妄想かもしれませんが、ダイヤ改正のたびに

「こんなの改正じゃなくて改悪だ」

とSNSで言われているように感じます。鉄道会社によっては「ダイヤ改正」ではなく「ダイヤの見直し」「ダイヤ変更」などと表現しており、「改正」でないことを自ら発信しているようです。

実際、コロナ禍で大幅な減便や車両数の削減が行われました。

まったく閑散としてしまった改札口に立ち、列車が着いても数えるほどしかお客さまが通らない光景を見ると、減便もやむなしと思えました。

そのコロナ禍では収入と列車の数だけでなく、新入社員の採用人数も大幅に減っていました。

コロナ禍から数年が経ったいまも列車本数が以前ほど戻っていないのには、乗務員の人数不足という問題があるのかもしれません。


ライター:川里隼生

鉄道会社の駅係員として8年間、4つの駅を経験しました。コロナ禍やデジタル化を通して移り変わってきた、会社としての鉄道サービスの未来像と、お客様それぞれが求めている鉄道サービスのあり方の両方から学んだことを記事にしていきます。


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