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「固定にした方が安心」住宅ローンを“変動0.6%→固定1.9%”に借り換え→5年後、30代夫婦を直撃した“思わぬ損失”

  • 2026.4.2
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出典元:photoAC(※画像はイメージです)

こんにちは。家計や資産形成の相談を日々お受けしている、マネーシップス代表の石坂です。

住宅ローンは多くの家庭にとって最大の固定費であり、見直しの判断が家計に与える影響は小さくありません。特に近年は金利上昇への関心が高まり、固定金利への切り替えを検討する方が増えています。

ただし、見直しの判断によっては、将来の不安を減らすどころか、目の前の家計を圧迫してしまうケースもあります。今回は、実際の相談現場でよく見られる事例をもとに、住宅ローン見直しの注意点を整理します。

「安心のつもり」が負担に変わる見直し事例

相談に来られたのは、30代後半の会社員ご夫婦です。

小学生と保育園児のお子さんがいる、世帯年収約750万円の共働き世帯です。

5年前に住宅を購入し、借入4,000万円・返済期間35年・変動金利0.6%でスタートしました。 元利均等・ボーナス返済なしで試算すると、毎月の返済額は約10万5,000円台となり、当初は無理なく返済できていました。

ところが、金利上昇のニュースをきっかけに「今のうちに固定にした方が安心ではないか」と不安を感じ、見直しを検討するようになりました。 このように「将来の不安」から相談に来られる方は、実務でも少なくありません。

実際には、変動金利0.6%で5年間返済を続けた時点の残高は、約3,480万円前後になります。 このタイミングで、残期間30年・固定金利1.9%に借り換えたとすると、毎月返済額は約12万7,000円前後となります。 当初の毎月約10万5,000円と比べると、毎月の負担はおよそ2万円強増えるイメージです。

さらに、借り換えに伴う事務手数料や保証料、登記費用などで約100万円の諸費用も発生していました。もともと毎月7万円ほどあった貯蓄余力は、約5万円弱へと圧縮され、教育費の準備や突発的な支出への対応力にも影響が出る状態となっていました。

「不安で動く」と起こる構造的な落とし穴

このケースで問題なのは、固定金利を選んだことそのものではなく、「何を基準に判断するか」が整理されていなかった点です。

変動金利0.6%から固定金利1.9%への変更は、金利差にして1.3%です。

残高約3,480万円に対して単純に掛ければ、年間の利息負担はざっくり40万〜50万円程度増えるイメージになります。 今回のように、毎月の返済額が約2万円強増えているのも、この金利差を「今」確定させたことによるものです。

ここで起きているのは、「将来上がるかもしれない金利リスク」を避けるために、「今この瞬間から確実に増える支出」を選んでいるという構造です。

また、返済額が増えたことで貯蓄余力が減れば、教育費や急な出費への対応力が落ち、かえって家計の脆弱性が高まることもあります。

住宅ローンは「払えるかどうか」ではなく、「余裕を残せるかどうか」で判断することが重要です。

さらに、借り換えには約100万円の諸費用がかかっています。 今後の金利上昇が想定ほど進まなかった場合、その費用を回収できないまま、支出だけが増えて終わる可能性もあります。

後悔しない住宅ローン見直しのポイント

住宅ローンの見直しは、金利タイプを選ぶ話ではなく、「家計全体の設計」の一部です。

まず押さえたいのは、「どの水準まで金利が上がると家計に影響が出るのか」という自分なりの基準を持つことです。

今回のように、変動金利が1.9%近くまで上昇しない限り、固定に切り替えたメリットが出にくいケースもあります。 この基準がないまま判断すると、不安に引っ張られて動きやすくなります。

次に、借り換え以外の選択肢も検討することです。 たとえば、繰上返済で元本を減らし、利息負担を抑えながらリスクをコントロールする方法もあります。 見直しは一つの手段に絞らず、複数の選択肢を比較検討することが欠かせません。

そして、「安心」にどれだけのコストを払うのかを明確にしておくことも重要です。 今回のケースでは、毎月の返済額が約2万円強増え、さらに諸費用約100万円という負担が発生しています。

このコストを払ってでも心理的な安心を優先するのか、それとも家計の余裕や将来の選択肢を優先するのか。 この軸がクリアになっていると、見直しの判断はぶれにくくなります。

住宅ローンは数十年にわたる長期の支出です。 金利の動きだけに振り回されず、自分たちの家計にとって無理のない水準やリスクの取り方を見極めることが、結果的に「安心」と「余裕」の両方を守ることにつながります。

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