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「家の購入で500万円、結婚式で200万円」子どもにお金の援助を続けた結果…→10年後、70代女性を待ち受けていた“残酷な現実”

  • 2026.3.18
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出典元:photoAC(※画像はイメージです)

こんにちは。FPとして家計相談や金融記事の制作などを行っている。柴田です。

今回は、74歳女性・Aさん(仮名)の実体験をご紹介。

「まさか70代でお金に困るとは思っていなかった」と語るAさん。

この10年で積み重なった家族への援助です。息子の住宅購入に500万円、孫の大学費用に300万円、娘の結婚式に200万円、さらに2人目の孫の学費に150万円。

一つひとつは「家族のために当然のこと」という気持ちでした。しかし、気づいたときには老後のためにと貯めてきた預金残高は500万円を切っていました。「断れなかったんじゃなくて、断るという発想がなかった」とAさんは話します。

「善意の積み重ね」が老後資金を溶かす

子や孫への援助は、一度きりであれば問題にならないことがほとんどです。

危険なのは、それが「前例」になることです。

一度援助すると、次に頼まれたとき断りにくくなります。私の経験上、「あのときは助けてもらえたのに」という空気が生まれ、援助が家族内の暗黙のルールになってしまっているケースは少なくありません。

Aさんは贈与税の非課税枠(年間110万円)を活用しながら渡していたため、「節税しながら家族の役に立てている」という満足感もありました。しかし非課税であることと、自分の老後資金を削ることは別の話です。税制の枠を「渡してよい上限」と混同してしまうことが、計画を狂わせる大きな落とし穴です。

子からの経済的な依存を避けつつ良好な関係を維持するためには、「最初から断る」というよりも、「資産の総額を見て余力を判断する」ことが大切です。

70代での資金枯渇が「共倒れ」を招く

老後に必要な資金は、一般的に夫婦2人で月22〜25万円程度とされています。公的年金だけでは不足する場合、その差額を預貯金で補う必要があります。仮に月5万円の不足が20年続けば、単純計算で1,200万円が必要です。

Aさんの手元には500万円しか残っていません。当面の生活は支えられそうなものの、大きな病気や介護が必要になったとき、自己負担できる余力があるかどうかは怪しい状況です。

子たちに頼ろうとしても、子自身も住宅ローンや子育てで余裕がありません。直接口にはしなくても、子は「いざとなれば親を頼ればいい」と考えているかもしれません。こうして、結果的に親子が「共倒れ」になるリスクが生まれます。

このように、「家族のため」という善意が、家族全員を苦しめる構造を作ってしまう。これがAさんのケースが示す最大の教訓です。

「あのとき計画していれば」——今日からできる立て直し方

Aさんのような状況に心当たりがある方に、今からできることをお伝えします。

まず、自分の老後に必要な金額を「見える化」することです。 月々の生活費×12ヶ月×余命年数(80代まで生きると仮定して)に、医療・介護の予備費として200〜300万円を加えた金額が最低限の目安になります。この金額を下回るようであれば、新たな援助は原則として断るべきです。子どもを支援する前に、自分の生活を守ってください。

次に、家族との「お金の話し合い」を早めに始めることです。 切り出し方に迷う方は、「最近、老後のお金を整理してみたんだけど」という一言が自然な入口になります。「これからは援助が難しい」と伝えるのではなく、「一緒に家族全体のお金を考えたい」という姿勢で話すと、関係を壊さずに方針を変えやすくなります。

すでに渡しすぎてしまった場合も、今から援助をやめることは遅くありません。感情的な断り方ではなく、「自分の老後資金が想定より少ないことがわかった」という事実ベースの説明が、相手にも受け入れられやすいでしょう。

まとめ

子や孫へのお金の援助は、愛情の表現である一方で、計画なしに続けると自分の老後を危うくします。

まず自分の老後に必要な資金を確保し、そこから余った分を家族に渡す。この順番を守ることが、家族全員を守ることにつながります。

「家族のために」という気持ちは大切にしながら、自分自身の生活を守ることも、家族への責任のひとつです。


監修者:柴田 充輝

厚生労働省や保険業界・不動産業界での勤務を通じて、社会保険や保険、不動産投資の実務を担当。FP1級と社会保険労務士資格を活かして、多くの家庭の家計見直しや資産運用に関するアドバイスを行っている。金融メディアを中心に、これまで1200記事以上の執筆実績あり。保有資格は1級ファイナンシャル・プランニング技能士(FP1級)、社会保険労務士、行政書士、宅地建物取引主任士など。