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退職金でFXを始め、2ヶ月で15万円の利益→「思ったより簡単」と300万円投入すると…半年後、60代男性を襲った“思わぬ悲劇”

  • 2026.4.4
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出典元:photoAC(※画像はイメージです)

こんにちは。FPとして家計相談や金融記事の制作などを行っている柴田です。

先日、知人の紹介で老後の資産運用について相談を受けました。

相談者の61歳男性・Aさん(仮名)から「退職後にFXを始めた」という言葉が出てきて、思わず聞き返してしまいました。

「なぜFXを?」と尋ねると、「為替って毎日ニュースで聞くし、なんとなく始めやすいかなと思って」という答えが返ってきました。

「最初に勝つこと」が最大の罠

私はAさんがFXを始めた理由を聞いて「なんでやねん!」と思いました。

FXは為替を用いた投資手法であるものの、素人が手を出すべきものではないからです。

私の感覚では、FXで資産を失う人の多くが、最初は少額で始めています。そして、ここに大きな落とし穴があります。

Aさんも最初の2ヶ月で約15万円の利益を出しました。「思ったより簡単だ」という感覚が生まれ、投入額を300万円に引き上げました。その矢先、米国の経済指標発表をきっかけに相場が急変し、1日で証拠金の約60%が消えてしまったようです。

「取り返したい」という気持ちから、残った資金を追加投入する「リベンジトレード」を繰り返した結果、半年後には300万円がほぼゼロになっていました。

ギャンブル依存症と同じように、「最初の成功体験」は最も危険なパターンです。脳が「勝てる」と学習してしまい、損失が出ても「次こそ」と冷静な判断ができなくなります。

FXは「投資」ではなく「投機」

そもそもFXは、老後資産の運用にまったく向いていません。その理由は構造にあります。

FXにはレバレッジという仕組みがあり、手元の資金の最大25倍の取引ができます。例えば10万円の証拠金で250万円分の取引が可能です。これは利益も25倍になる一方、損失も25倍になることを意味します。価格変動が1日で2〜3%動くことも珍しくない為替市場では、レバレッジをかけた状態で急変動が起きると、元本を超える損失が発生することもあります。

株式や投資信託による「投資」は、企業の成長や経済の拡大という実態に基づいた長期的な値上がりを期待するものです。一方FXは、相手の損失が自分の利益になるゼロサムゲームの側面が強く、プロのトレーダーや金融機関と同じ土俵で戦う構造です。初心者や中高年が「老後資金を増やしたい」という動機で参入しても、勝ち続けることは極めて困難です。

「この金額なら」という現実的な線引き

では、FXは絶対にやってはいけないのでしょうか。

答えは「老後資金でやるべきではない」です。どうしてもやりたい場合は、「失っても生活に一切影響しない金額」だけにとどめることが絶対条件です。 具体的には、月の自由に使えるお金の範囲内、多くても数万円程度が目安です。退職金・年金・預貯金には絶対に手をつけてはいけません。

SNSやYouTubeの投資情報については、「簡単に儲かる」「勝率90%のメソッド」といった表現が出てきた時点で疑うべきです。本当に安定して利益を出せる手法があれば、他人に無料で教える動機はありません。多くの場合、有料セミナーや情報商材への誘導が目的です。

老後資金の運用には、長期・分散・積立を基本とした投資信託やETFが適しています(リスクを取りすぎないために、資産の一部にとどめる)。「増やしたい」という気持ちは理解できますが、老後に取り返しのつかない損失を出さないことが、何より優先されるべき原則です。

まとめ

「為替は身近だから始めやすい」という感覚は、FXの本当のリスクを見えにくくします。レバレッジ・価格変動の激しさ・ゼロサムの構造という3つの特性を理解すれば、老後資金の運用手段として選ぶべきでないことは明らかです。

FXを試みるなら、失っても後悔しない金額の範囲で行いましょう(そもそもおすすめはしません)。老後資金は、地味でも着実な方法で守ることが、長い目で見た最善の選択です。

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