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「月25万円の年金」で暮らす70代夫婦→夫の死後、“振込額”を見て絶句…70代妻を待ち受けていた“想定外の大誤算”

  • 2026.5.15
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出典元:photoAC(※画像はイメージです)

こんにちは、マネーシップス代表の石坂です。

老後の生活設計では、「夫婦で月25万円の年金があるから大丈夫」と考える方も少なくありません。

しかし、公的年金は世帯単位ではなく、個人単位で支給されます。夫婦のどちらかが亡くなると、亡くなった方の年金は原則として止まります。残された配偶者が遺族年金を受け取れる場合でも、夫婦で受け取っていた合計額がそのまま続くわけではありません。

今回は、夫婦合算の年金額を前提に生活費を組んでいた70代夫婦の事例をもとに、配偶者の死亡後に年金がどう変わるのかを見ていきます。

月25万円の年金で暮らしていた70代夫婦の事例

相談者は70代の夫婦です。夫は会社員として約40年働き、現役時代の年収はおおむね650万円前後でした。退職後は、老齢基礎年金と老齢厚生年金を合わせて、月約18万円を受け取っていました。

一方、妻は結婚後に専業主婦の期間が長く、ご自身の年金については老齢基礎年金が中心です。妻の受給額は月7万円ほどでした。夫婦合計では月25万円ほどです。

住宅ローンは完済済みで、家賃負担もありません。食費・水道光熱費・通信費・医療費・交際費などを合わせても、毎月の支出はおおむね24万円前後でした。そのため、夫婦は「年金だけで安心して暮らせる」と考えていました。

ところが、夫が亡くなったことで状況は大きく変わります。夫の老齢基礎年金と老齢厚生年金は、夫本人に支給される年金です。そのため、夫が亡くなった後は、夫本人の老齢年金としての支給は止まります。

妻には遺族厚生年金が支給される可能性があります。ただし、夫が受け取っていた年金18万円が、そのまま妻に引き継がれるわけではありません。

仮に夫の年金18万円の内訳が、老齢基礎年金約7万円、老齢厚生年金の報酬比例部分約11万円だったとします。この場合、妻が受け取れる遺族厚生年金の目安については、夫の老齢厚生年金の報酬比例部分をもとに計算されます。原則として、その4分の3が遺族厚生年金の目安です。

この事例では、月約8万2,500円です。妻自身の老齢基礎年金約7万円と合わせると、夫の死亡後の年金収入は月約15万2,500円になります。夫婦で受け取っていた月25万円から見ると、毎月約9万7,500円の減少です。

減少率は約39%で、4割近く年金収入が減る計算です。年額では約117万円の差になります。

夫婦合算で考えると生活費の見通しを誤りやすい

この事例で注意したいのは、夫婦2人の生活費が、1人になったからといって半分になるわけではない点です。

食費や日用品費はある程度減ります。しかし、固定資産税、火災保険料、通信費、電気・ガス・水道の基本料金、住宅の修繕費などは大きく変わりません。医療費や介護費が増える可能性もあります。

仮に夫婦2人の生活費が月24万円だったとしても、妻1人になった後の生活費が月12万円になるとは限りません。実際には、月18万円から20万円程度かかる家庭もあります。
この場合、年金収入が月約15万円まで減ると、毎月3万円から5万円の赤字が出ます。年間では36万円から60万円です。10年続けば、360万円から600万円の取り崩しになります。

「夫婦で月25万円ある」という安心感だけで老後資金を判断すると、配偶者の死亡後に生活設計が大きく崩れるおそれがあります。

特に専業主婦期間が長い妻の場合、自分名義の厚生年金が少ないこともあります。そのため、夫の死亡後は、妻自身の老齢基礎年金と遺族厚生年金が生活の柱になります。夫の年金額をそのまま前提にしていると、実際の収入との差に気づきにくくなります。

FPが重視する「一人になった後」の年金と生活費

老後資金は「夫婦で元気な期間」と「どちらか1人になる期間」を分けて考える必要があります。

夫婦で暮らしている間は、2人分の年金を合算して生活費を考えます。しかし、配偶者が亡くなった後は、年金の形が組み替わります。
夫の老齢基礎年金は止まり、老齢厚生年金もそのまま全額が残るわけではありません。遺族厚生年金については、原則として夫の老齢厚生年金の報酬比例部分の4分の3をもとに計算されます。そのため、夫が会社員として長く働いていた世帯でも、夫婦合計の年金額より少なくなるケースが多くなります。

事前に確認したいのは、現在の年金額だけではありません。夫が亡くなった後、妻がいくら受け取れるのかです。ねんきん定期便や年金事務所で、夫婦それぞれの老齢基礎年金、老齢厚生年金の内訳を確認しておくことが大切です。そのうえで、残された配偶者の生活費を試算しましょう。

毎月の固定費、医療費、介護費、住まいの修繕費を見込むと、必要額が見えやすくなります。不足が見込まれる場合は、預貯金の確保、生命保険の見直し、住居費の圧縮、働けるうちの収入確保などを検討する必要があります。

老後の年金は、夫婦合算の金額だけで判断すると危険です。本当に確認すべきなのは、「一人になった後も生活を維持できるか」です。配偶者の死亡後の年金額を早めに把握しておくことが、老後の大きな誤算を防ぐ第一歩になります。


※本記事で示す金額は、制度の仕組みを説明するための一例です。実際の受給額は、夫の厚生年金加入期間、現役時代の報酬、妻自身の年金額などによって変わります。また、妻自身に老齢厚生年金がある場合は、受給額の調整が行われることがあります。

執筆・監修:石坂貴史
証券会社IFA(独立系ファイナンシャルアドバイザー・証券外務員)、マネーシップス代表。累計1,200件以上の相談対応に加え、金融記事の制作・校正・監修の対応を行っています。専門は「金融・経済、不動産、保険、相続、税制」。資産運用やライフプラン設計では、分散投資の考え方と人の心理を踏まえた行動設計をもとにサポートしています。

保有資格:証券外務員一種、2級FP技能士、AFP、NISA取引アドバイザー、日本証券アナリスト協会認定 資産形成コンサルタント、金融リテラシー検定

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