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退職金2,500万円で「プロに任せれば安心」全額を株に投資→3ヶ月後、60代男性を待ち受けていた“悲惨な結末”【お金のプロは見た】

  • 2026.3.8
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出典元:photoAC(※画像はイメージです)

2025年春、トランプ大統領の関税政策をきっかけに世界の株式市場が急落しました。日経平均株価は数日で数千円単位で値を下げ、「老後のために投資を始めたばかりだった」という悲鳴がSNSに溢れました。

66歳男性・Aさん(仮名)が経験したのも、まさにこうした暴落でした。退職金2,500万円を受け取った翌週、「プロに任せれば安心だ」と証券会社の担当者に全額の運用を一任。しかし3ヶ月後、画面に映し出された含み損は800万円。パニックになったAさんはすべてを売却し、損失は現実のものになりました。

今回は、厚生労働省や保険業界・不動産業界での勤務を通じて、社会保険や保険、不動産投資の実務を担当している柴田が、「退職金を全額投資に回した人の失敗談」を通して、退職金を使った投資で気を付けるべきポイントを解説します。

なぜ退職金は「暴落の餌食」になりやすいのか

そもそも退職金とは、多くの会社員にとって人生で唯一、まとまったお金を手にできる機会といっても過言ではありません。

給料は毎月少しずつ受け取るもの。しかし、退職金は一度に数百万〜数千万円が口座に入ります。こんな経験は後にも先にもないからこそ、「うまく運用しなければもったいない」という気分の高揚や焦りが生まれやすく、冷静な判断ができなくなるのです。

さらに退職後の収入は年金のみ。生活費を株の売却で賄わなければならない状況では、含み損を持ち続ける精神的・経済的な余裕がありません。Aさんが「もう少し待てば戻ったかもしれない」とわかっていながら売却せざるを得なかったのは、生活資金まで投資に回してしまっていたからです。もし500万円を手元に残していたら、パニック売りは防げていたかもしれません。

「分散」が退職金を守る、2つの考え方

Aさんの失敗から学べることは、時間の分散と資産の分散という2つの原則です。

時間の分散とは、まとまったお金を一度に投資せず、複数回に分けて買い付けることです。たとえば2,500万円を半年かけて毎月400万円ずつ投資していれば、暴落のダメージは大幅に抑えられていました。

資産の分散は、株式だけでなく債券・現金など値動きの異なる資産に分けて持つことです。そして何より重要なのが、「生活防衛資金」を投資に回さないこと。退職後は最低でも2〜3年分の生活費を現金で確保したうえで、残りを段階的に運用するのが鉄則です。

60代からの投資で、最初にすべき3つのこと

退職金を運用に回すにあたって、絶対に意識すべき点があります。

1.生活防衛資金を先に確保する

年金収入だけでは足りない月々の不足分×24〜36ヶ月分を現金で別口座に確保してから、初めて投資の話を始めてください。

2.一括投資ではなく、半年〜1年かけて段階的に買い付ける

「今が買い時かどうか」を判断できる人はプロでもいません。時間を分散することで、タイミングリスクを大きく減らせます。

3.担当者に「全額一任」しない

運用方針・商品・手数料を自分で理解してから契約することが大原則です。「よくわからないまま署名しない」を徹底してください。

暴落が起きても「すぐに売らない」ために、投資前にルールを決めておきましょう。 たとえば「含み損が20%を超えたら見直す」など、冷静なときに決めたルールが、パニック時の誤った判断を防いでくれます。また、一般的には高齢になるほどリスク許容度が小さくなる点を踏まえたうえで、無理なく投資をすることが大切です。

まとめ

Aさんの後悔は、欲張ったわけでも無知だったわけでもありません。「早く運用しなければ」という真面目な焦りが、判断を狂わせました。

退職金は増やすことより、減らさないことを最優先に考えるべきお金です。分散・防衛資金の確保・段階的な投資、という3つを守るだけで、同じ失敗の大半は防げます。


監修者:柴田 充輝

厚生労働省や保険業界・不動産業界での勤務を通じて、社会保険や保険、不動産投資の実務を担当。FP1級と社会保険労務士資格を活かして、多くの家庭の家計見直しや資産運用に関するアドバイスを行っている。金融メディアを中心に、これまで1200記事以上の執筆実績あり。保有資格は1級ファイナンシャル・プランニング技能士(FP1級)、社会保険労務士、行政書士、宅地建物取引主任士など。