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「ARTISTS’ FAIR KYOTO 2026」京都の名建築に気鋭アーティストの作品が集う

  • 2026.2.23
Kenryou Gu

"アーティスト主導のアートフェア"として誕生し、今年で9回目となる「ARTISTS’ FAIR KYOTO 2026」が2月21日より開催されるている。京都国立博物館 明治古都院や東福寺という歴史的な建造物にフレッシュなアーティストの作品が展示され、その場でアーティストと対話しながら購入することもできる。さらにアドバイザリーボードを務める著名アーティストの作品も多数展示。若手と第一線で活躍するアーティストの作品が一度に堪能できる、京都発のアートフェアをレポート。

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若手作家が集うメイン会場は「京都国立博物館 明治古都院」

「ARTISTS’ FAIR KYOTO」は"シンギュラリティ・オブ・アート"をテーマに、出品作家が直接来場者と対話し、販売するという新たなアートフェアの形をつくり上げた体験型のフェアだ。ディレクターを務める現代美術家の椿昇は日本のアートシーンにおいて、「作家がご飯を食べていけない状況が長いこと続いている」と語り、この課題へのアプローチとして次世代のアーティストが直接作品を販売し、しっかりと利益を受け取るというシステムを整え、実践してきた。

9回目を迎える今年は京都国立博物館をメイン会場とし、公募やアドバイザリーボードによる推薦で選出された40組のアーティストの作品が集結。片山東熊が設計を手掛けた、荘厳な建築に多彩な作品が並んでいる。

Kenryou Gu

会場構成はドットアーキテクツが手掛け、建築の既存の装飾を生かしながら平面作品や彫刻、インスタレーションをじっくりと鑑賞できるように設計。これまでは会場が数か所に分かれていたが、今年から京都国立博物館に集約されたことで鑑賞者はより回遊しやすい構成となっていた。

<写真>メイン会場の展示風景。

Yamagami Mikoto

「ARTISTS’ FAIR KYOTO(以下AFK)」のもう一つの特徴がアワード「マイナビ ART AWARD」の実施だ。出品作品を対象に、特に優れたアーティストを選出するアワードで審査委員による審査を通じて、次世代の表現者を奨励するとともに、最優秀賞受賞者には個展の開催を支援するなど、新たな表現に挑むアーティストを後押ししている。2026年のアワードでは、最優秀賞に中西凜、優秀賞に伊地知七絵、白簱花呼、髙橋凜、リベッカ・ドローレンが選出された。

最優秀賞を受賞した中西凛は、可食素材で制作する彫刻「eat sculpture」を展示。羊や鳩の姿をした彫刻を崩し、内部のチョコレートなどの洋菓子素材が露になっていく過程を記録した映像作品も共に見ることができる。作品には独自の儚さがありながら食と命の循環に関する作家の視点が際立ち、鑑賞者も自分事として捉えられるパワーのある作品だった。

Kenryou Gu

優秀賞を受賞した髙橋凛は会場内のトイレに作品を展示。移動を規定する指標と、そこからこぼれ落ちる存在について考察する作品で、折りたたみ傘の柄に渡り鳥を組み合わせた彫刻や工場の温度記録表と星座表を重ねたシルクスクリーン、傘が回転する映像などを展開している。偶然的にこの場所での展示となったそうだが、トイレというごく日常的な空間と作家の作品性が調和しており、没入感のある鑑賞体験となった。

Tokui Aoto

<写真>展示風景より、優秀賞を受賞した白簱花呼の作品。古くから用いられる女性を被写体とする絵画だが、フレッシュですがすがしさのある表現が審査員に評価された。

Kenryou Gu

AFK Resonance Exhibition会場は「臨済宗大本山 東福寺」

臨済宗大本山 東福寺では2月21日から3月1日まで、ディレクター・アドバイザリーボードとAFKゆかりのアーティストによる展覧会「AFK Resonance Exhibition」を開催。AFKはこれまで継続的に若手アーティストの育成支援に取り組み、その成果として参加したアーティストが国内外で活躍の幅を広げている。この流れを受け、過去の出品アーティストの中から本展の趣旨に共鳴する5組を選定。ディレクターの椿昇をはじめ、アドバイザリーボードの大巻伸嗣、加藤泉など、第一線で活躍するアーティストとともに代表作や新作を披露する。

<写真>展示風景より。Yottaとヤノベケンジの作品が東福寺の空間と呼応している。

Kenryou Gu

<写真>展示風景より、大巻伸嗣の作品。本年度は天橋の周辺庭園、日本画家・堂本印象の蒼龍図が天井を飾る本堂前、静謐な大慧殿周辺など、屋外空間へも展示エリアを拡張している。

Kenryou Gu

過去にAFKに出品したセレクテッドアーティストの中で印象的だったのが、木田洋子の陶芸作品。浮かびあがる文字の形を手びねりで表現した柔らかさと力強さが同居する陶芸作品は、現在拠点としているイギリスで提案された素材、テラコッタを使用している。焼成温度の変化や磨きによって、一つひとつに独特の表情が生まれている。

Yamagami Mikoto

<写真>屋外での展示風景より、京都を拠点とする韓国出身の作家リュ・ジュユンの陶芸作品。

Yamagami Mikoto

昨年のアワードで最優秀賞を受賞した本岡景太は、東福寺で個展を開催。直接的な絵と彫刻の関係性に着目し、コミックを用いた作品や写真のビニールプールを用いた作品など、既製品の中にある絵を彫刻作品に取り入れた最新作を披露した。



Kenryou Gu

過去にAFKに参加し、現在国内外で注目を集める品川亮は京都国立博物館の茶室 堪庵で個展「ひとの多い方へ」を開催。 数寄屋造りの茶室の構造を生かしながら、墨絵を中心に展示を構成した。絵画の中だけでなく、茶室の空間全体を使って「旅」を表現した展示は必見だ。

Yamagami Mikoto

ディレクターの椿昇が「江戸時代は一般家庭でもアートを所有していた」と語るように、アートは本来市民の身近に存在するもの。若い作家の作品に目を向けてほしいと始まった京都発のアートフェアは、来年の10回目に向けてより拡大し、多層的なプログラムに進化していた。

アーティストと直接会話しながら購入できるという、ライブ感のあるアートフェアは、新たな作家や作品との出会いにあふれている。

<写真>展示風景より、セレクテッドアーティスト広瀬奈々&永谷一馬の作品。

ARTISTS’ FAIR KYOTO 2026メイン会場
会場/京都国立博物館 明治古都館(京都市東山区茶屋町527)
日程/2026年2月21日(土)〜2月23日(月・祝)
時間/9:30~17:00(最終入場16:30)

AFK Resonance Exhibition会場
会場/臨済宗大本山 東福寺(京都市東山区本町15丁目778)
日程/2026年2月21日(土)〜3月1日(日)
時間/9:00~16:00(最終入場15:30)

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