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【上野双子パンダの旅立ち】1頭の観覧に5時間待ち、2頭をのせた航空機の追跡者数が世界1位に!《中国現地の人とSNSでの交流も》

  • 2026.2.14
上野動物園でのシャオシャオ。(2025年12月26日、筆者撮影)

双子のジャイアントパンダ、シャオシャオ(暁暁)とレイレイ(蕾蕾)が中国へ旅立つまでの約2カ月間は、この双子を好きな人たちにとって、寂しさが募る一方で、観覧列に長時間並んだり、観覧のための先着予約や抽選に挑んだり、抽選結果や双子関連の情報に一喜一憂したりと激動の日々でした。


上野動物園の屋外放飼場で過ごすレイレイ。(2025年12月16日、筆者撮影)

シャオシャオとレイレイの中国行きが2026年1月下旬になることを東京都と上野動物園が発表したのは、休園日の2025年12月15日。期限の2026年2月20日(金)より1カ月ほど早いが、珍しいことではない。今回は中国の春節が間接的に影響した可能性がある。中国国外からパンダを受け入れて検疫を始めるには、さまざまな準備が必要だ。この準備を春節前に終えて、「春節に伴う中国の大型連休に職員がなるべく休めるようにしたのかもしれません」(関係者)。

残り1カ月ほどで、他のパンダの来日が決まって、来日することは不可能だ。およそ半世紀ぶりに日本にパンダがいなくなることが決定的となり、報道は過熱していった。

レイレイ。(2025年12月16日、筆者撮影)
シャオシャオとレイレイの中国行きが2026年1月下旬になると発表された翌日。(2025年12月16日、筆者撮影)

発表の翌日の2025年12月16日、上野動物園のオリジナルグッズとして、「シャオシャオ&レイレイありがとう商品」8種類が園内と公式通販で発売された。購入制限が設けられたものの、このうち1万2000円の「ぬいぐるみセット」、2200円の「ブック型ボックス」、1430円の「リサイクルセラミックマグ」は早々に完売。

330円の「A4クリアファイル」、1500円の「てぬぐい」は再販されたが、ほどなく完売した。2026年1月6日(火)には「大きな缶バッジ」(750円)が発売され、こちらも完売している。

これまで上野動物園にあまり来ていなかった人たちが訪れたこともあってか、「シャオシャオ&レイレイありがとう商品」ではない、以前から販売されていた双子の商品も飛ぶように売れた。パンダのお菓子が店頭にほとんどない時期もあった。上野動物園は双子の渡航後、双子の名前が入った商品は入荷しない方針だ。

また、12月19日にはカップ入りデザートが園内で発売され、1月中に完売した。これは、上野動物園のパンダたちの誕生日や渡航などの節目に、カップのパンダのデザインを変えて販売されてきた。カップは持ち帰ることができて人気が高かった。

「ぬいぐるみセット」(左)は、シャオシャオとレイレイが同じ竹を一緒に持っていたシーンを再現。しっぽを前に出す座り方もリアル。「ブック型ボックス」(右)の表紙は、シャオシャオとレイレイが赤ちゃんの頃の写真。(2025年12月16日、筆者撮影)

日の出前から行列

観覧列に並べば誰でも双子を観覧できたのは、12月21日の日曜日が最後。前日で土曜日の12月20日と共に、長蛇の列となることが予想された。

筆者は両日とも午前5時過ぎから上野動物園の入口(弁天門)前に並んだ。日の出前で暗い中、すでに数十人が列をつくっていた。ほとんどの人がレジャーシートや折り畳み式の椅子を持参している。筆者の近くに並んでいた女性は、首都圏に住んでいるけれど始発電車では遅いと考え、上野のホテルに泊まったと話していた。12月21日は、並んでいる最中に大雨となったが、列はどんどん延びる。近くの女性用トイレにも長い列ができた。

上野動物園によると、開園前に並んだ人数(正門前と弁天門前の合計)は、12月20日が約3600人、12月21日が約4000人だった。

シャオシャオとレイレイの観覧列は分かれているので、どちらも観覧したければ、2回並ぶ必要がある。筆者は両日とも、1頭目の観覧を午前10時頃に終え、その足でもう1頭の観覧に向かった。パンダの観覧受付は午前10時30分頃に終了したので、あと少し遅ければ2頭目を観覧できなかっただろう。2頭目の観覧には、両日とも4時間以上並んだ。上野動物園がXで発信した最長待ち時間は、12月20日が300分(5時間)、12月21日が270分(4時間30分)だった。

屋外のシャオシャオ。(2025年12月26日、筆者撮影)
観覧者は、前から順に10~20人ほど(混雑具合で異なる)のグループに分けられ、グループごとに移動。観覧時間は1か所につき約1分間だった。(2025年12月26日、筆者撮影)
屋内に入ったシャオシャオ。(2025年12月26日、筆者撮影)

先着予約に四苦八苦

2025年12月22日は休園日で、12月23日~2026年1月12日(月)はウェブでの申し込みによる先着制。受け付けは、観覧日の1週間前の正午に始まる。筆者はパソコンとスマートフォンを使い、ほぼ毎日挑んだが、希望者が殺到しているので、なかなか接続できなかった。後日、来園者に取材したところ、「操作に集中したいので、話しかけないでと家族にお願いしました」「お正月も気が休まりませんでした(笑)」との声が聞かれた。

1月14日(水)~1月25日(日)の観覧は抽選制で、全期間を4回に分けて抽選が行われた。1日当たりの枠は4400人。筆者は4回とも応募して、1回当選した。

抽選倍率は、最低の日が1.7倍、最高が1月25日(日)の24.6倍だった。申込者数は延べ約31万1500人で、平均倍率は6.4倍。応募できる日時が細かく分かれていて、応募先が分散したためか、日時によっては低倍率だった。なお、上野動物園がこれらの数値を報道関係者に開示したのは、抽選の全申し込み期間が過ぎてからだ。

当選者のみ観覧。英語でも案内。(2026年1月25日、筆者撮影)
検疫中のため、屋外(写真の左側)に出ないで過ごすレイレイ。(2026年1月20日、筆者撮影)

観覧最終日の1月25日(日)は、当選できず観覧できない人も含め、多くの人がパンダの飼育施設の周りに集まった。最後の観覧が終わり、警備員が飼育施設から出てくると、これまでの感謝やねぎらいの気持ちを込めた大きな拍手が来園者から送られ、警備員が涙ぐむ場面もあった。

報道関係者も知らない航空機の情報を入手

東京都と上野動物園は、双子の渡航日が1月27日(火)に決まったと1月19日(月)に発表した。なかなか発表されないので、「渡航は延期されるのかも」と淡い期待を抱いたファンもいたが、打ち砕かれてしまった。

そして迎えた1月27日(火)。都と上野動物園は、双子をのせたトラックが同園を出発する時刻を公表していなかったにもかかわらず、お昼には多くの人が詰めかけた。同園は「安全な輸送路を確保するため、沿道でのお見送りなどはご遠慮ください」と公式サイトや公式SNSで事前に伝えていたので、沿道に行くのを控え、トラックが上野動物園から出て行くのを園内から垣間見た人も多かった。

パンダの飼育施設を出る、双子をのせたトラック。手を振りながら見送る職員も。開園時間中の出発だったので、園路の一部が一時的に通行止めとなった。(2026年1月27日、園内の報道関係者用のエリアから筆者撮影)

双子をのせる航空機について事前に開示されていた情報は、1月27日(火)夜に成田空港を発ち、翌日に成都に到着して、中国ジャイアントパンダ保護研究センターの雅安碧峰峡基地(雅安基地)へ向かうということだけ。離発着時刻や航空会社名、成都に2カ所ある空港のどちらを使うかなどは、報道関係者にも非開示だった。だが、双子の渡航の数日前に、中国の人たちが動画やSNSで、航空会社名、中国から双子を迎えに行く便名と双子をのせて中国へ戻る便名、離発着時刻、空港の情報を発信したので、日本でも拡散された。

ただし、対象の航空機がよく見える成田空港の第1ターミナルの展望デッキは、工事のため閉鎖中。そのため見送るには、空港の外へ行く必要がある。複数の候補地があり、筆者は直前まで迷ったが、成田空港からタクシーで「ひこうきの丘」へ。行き先を告げると、運転手から「パンダですか?」と聞かれた。すでに何人も乗せたそうだ。片道2700円の料金を支払い、午後7時30分ごろに到着すると、すでに50人以上が集まっていた。

双子をのせた航空機の追跡者数が世界1位に

日没後で暗い「ひこうきの丘」から滑走路にカメラを向けると、双子をのせる航空機がぼんやりと分かった。肉眼では見えない。同機は午後8時過ぎに離陸。空を見上げたら、暗闇の中、機体のランプが光るのが分かり、見えなくなるまで見送った。

シャオシャオとレイレイをのせて飛び立った。(提供:(公財)東京動物園協会)

その後は、スマートフォンに目を落として、世界中の航空機の位置を表示する「フライトレーダー24」を使い、双子をのせた「3U9678」便を追跡。無事に到着することを願いながら見守った。すると、同便の追跡者数は世界1位になった。「フライトレーダー24」のXの公式アカウント(英語)が「なぜなのか分からない」と午後10時過ぎに投稿すると、双子パンダをのせていると教える投稿が相次いだ。

「3U9678」便は午前2時頃(現地時間で午前1時頃)成都天府空港に着陸。双子の姉のシャンシャン(香香)の渡航時はコロナ禍だったため、日本人の観光客は中国に入国できなかったが(観光ビザは2023年3月15日から申請可能になった)、現在は入国できるうえ、短期間の滞在ならビザも不要。そのため先回りして雅安基地の近くで双子の到着を待った日本のファンもいた。

双子のパネル展は3月1日(日)まで

上野動物園内の飼育施設「パンダのもり」のジャイアントパンダがいた場所は、当面、他の動物を入れず、現状のままとする予定。2月10日(火)~3月1日(日)はジャイアントパンダの観覧通路が開放され、エリア内を散策できるようになっている。

園内では、双子の成長や思い出を写真とともに振り返るパネル展の開催、双子を背景に撮影できるフォトスポットの設置、双子の成長を見守ってきた職員から双子へのメッセージを載せた横断幕の展示を実施。2月8日(日)までの予定だったが、パネル展のみ期間を延長し、3月1日(日)まで開催している。

上野動物園でのパネル展。(2025年12月26日、筆者撮影)

中川 美帆 (なかがわ みほ)

パンダジャーナリスト。早稲田大学教育学部卒。毎日新聞出版「週刊エコノミスト」などの記者を経て、ジャイアントパンダに関わる各分野の専門家に取材している。訪れたパンダの飼育地は、日本(4カ所)、中国本土(12カ所)、香港、マカオ、台湾、韓国、インドネシア、シンガポール、マレーシア、タイ、カナダ(2カ所)、アメリカ(4カ所)、メキシコ、ベルギー、スペイン、オーストリア、ドイツ、フランス、オランダ、イギリス、フィンランド、デンマーク、ロシア。近著に『パンダワールド We love PANDA』(大和書房)がある。
@nakagawamihoo

パンダワールド We love PANDA

定価 1,650円(税込)
大和書房

文・撮影=中川美帆

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