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「駅前の路上で倒れている人がいる」と通報→現場に急行すると誰もおらず…元救急隊員が下した決断

  • 2026.3.4
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出典:photoAC(※画像はイメージです)

こんにちは、ライターのとしです。

元救急隊員として17年、救急救命士として現場に立ってきました。

救急要請そのものに「間違い」はありません。しかし、現場に到着した際、傷病者も通報者もいないと、救急隊はすぐに「帰る」という判断ができず、捜索に時間を要することになります。

今回は、ある夜の「駅前での通報」を例に、現場の裏側をお話しします。

到着した現場に、誰もいない。

指令は「駅前の路上で人が倒れている」という通行人からの通報でした。 駅前は範囲が広いため、私たちは「どのあたりか」「まだその場にいるか」を意識しながら急行します。

しかし、現場に到着して目に入ったのは、静まり返った駅前でした。

  • 倒れている人が見当たらない
  • 人だかりもできていない
  • 通報者らしき人もいない

通報が入っている以上、安易に引き揚げることはできません。通報者に折り返し電話をかけると、返ってきたのは「もう立ち去ったので分かりません」という言葉でした。

警察と連携した数十分の捜索

手がかりが少ない中、私たちは警察官に協力を要請し、周辺の捜索を開始しました。 駅前は地下通路やロータリーなど移動ルートが多く、少し場所がずれるだけで死角になります。

「単に本人が移動しただけなのか、それとも別の場所で意識を失っているのか……」

最悪の事態を見逃すわけにはいきません。捜索開始から数十分後、ようやく路上で倒れ込んでいる40〜50代の男性を発見しました。

「通報者が残る」だけで、救急の動きは劇的に変わる

男性は強い飲酒の影響が疑われる状態でしたが、救急現場では「ただの酔っ払い」と決めつけるのは禁物です。

  • 転倒による頭部打撲はないか
  • 寒さによる低体温症のリスクはないか
  • 持病による体調不良が隠れていないか

車内で意識、呼吸、脈拍などを詳しく観察しましたが、会話が噛み合わず転倒の有無も不明だったため、安全を期して医療機関へ搬送。警察の協力でご家族への連絡も行い、ようやく事態は落ち着きました。

この夜の現場で痛感したのは、「通報者が到着まで現場にいてくれるかどうか」、救助のスピードが大きく変わるという事実です。

通報した方にも事情があるのは重々承知しています。ですが、もし可能であれば、次のような行動を意識していただけると非常に助かります。

救急隊を迷わせないための3つのポイント

  1. 可能な限り、救急車が到着するまで現場に残る (隊員が直接状況を聞けるのがベストです)
  2. 離れる場合は、近くの人に見守りを引き継ぐ (「今、救急車を呼んだのでお願いします」と一言添えるだけで見守り役が生まれます)
  3. 119番の際、「目印」と「特徴」を具体的に伝える (出口番号、交差点名、服装、持ち物、倒れ方など)

「倒れている人に気づき、通報する」という行動は、命を救うための尊い第一歩です。 その一歩を確実な「救助」につなげるために、あともう少しだけ、現場の情報共有にご協力いただければ幸いです。


ライター:とし

元救急隊員。消防で17年勤務し、救急救命士資格を取得。現場経験をもとに、救急の仕組みを一般の方向けに分かりやすく発信しています。


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