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新郎新婦「牧師と聖歌隊は知り合いにお願いしたい」異例の契約条件…プランナーが思わず冷や汗をかいた本番で起きた『珍事件』

  • 2026.3.5
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出典:photoAC(※画像はイメージです)

こんにちは、ウェディングプランナーの佐藤ちなつです。

結婚式は究極のチームプレーです。「どんなことが起きようと、最高の一日にする」という決意のもと、私たちスタッフは一丸となって新郎新婦様をお迎えしています。

時に、ご親族やご友人に同業者の方がいらっしゃる場合、「ぜひその方にお願いしたい」というご相談をいただくことがあります。しかし、似た仕事であっても会場ごとの細かなルールや動線は異なるため、基本的にはお断りさせていただくのが通例です。

今回は、そんな「持ち込み」が発端となった、チャペル挙式での少し変わったトラブル……いえ、まさに珍事件と呼ぶべきエピソードをご紹介します。

異例の契約条件「持ち込みの牧師と聖歌隊」

通常、私がお手伝いしていた会場のキリスト教挙式は、入退場を含めて30分という構成です。牧師先生のお説教も、一番大切なことを簡潔に伝えるシンプルなスタイルを基本としていました。

しかし今回は、ご契約時からの条件として「持ち込みの牧師と聖歌隊による挙式」が組まれていました。

私たちは通常よりも挙式時間が長くなることを想定し、余裕を持ってチャペルのスケジュールを押さえて準備を整えていたのですが、当日は私たちの想像をはるかに超える展開が待っていたのです。

ランニング姿の牧師先生と、冷や汗のリハーサル

「ハジメマシテ、オハヨウゴザイマス」と現れた牧師先生は、なぜか軽快なランニング姿でした。

いざリハーサルを始めようとすると、「神聖な言葉は本番の一回のみ伝えたい」とのご意向で、肝心のお説教部分は省略。
私たちは立ち位置の確認やカメラマンの動線、マイクの音量調整など、ぶっつけ本番に近い緊張感の中で打ち合わせを進めました。

また、持ち込みの牧師先生はゲストではなくあくまで「スタッフ」の一員です。挙式後、ゲストと鉢合わせないように裏通路を通っていただく導線や、控室での着替えのタイミングなど、細心の注意を払ってご説明しました。

初めての会場で多くのことをお願いするため、私たちスタッフも影ながら全力でサポートする構えで本番を迎えました。

聖歌隊の影と、チャペルに響き渡る謎のテナー

いよいよ本番。大きな拍手に包まれて新郎様が入場し、続いて新婦様がお母様によるベールダウンを受け、バージンロードを歩まれます。

この一瞬のセレモニーを逃すまいと、カメラマンたちは互いに譲り合いながら、あうんの呼吸でベストポジションを探ります。

ところが、持ち込みの聖歌隊の一人が、なんとベールダウンの真後ろに重なって立ってしまい、撮影チームが冷や汗をかく事態となりました。

挙式は進み、事前に危惧していた通り、時間は予定を大幅に超過していきます。私たちはインカムでキッチンチームと連携し、料理の仕上げタイミングを調整しながら、なんとか巻き返そうと奔走していました。

そんな時です。混声4部の合唱であるはずの聖歌隊から、なぜか「テナー」の声しか聞こえてきません。

慌てて隠し窓から中を覗くと、気持ちが高ぶったのか、テナー歌手の方が高性能の集音マイクの真下に移動して歌い上げていたのです。新婦の小さな声を拾うためのマイクが、朗々としたテナー独唱をチャペル中に響き渡らせるという、前代未聞の賛美歌となってしまいました。

主賓挨拶に現れた、一瞬の「神隠しイリュージョン」

波乱の挙式もなんとか結び、私たちは披露宴の運営へと向かいました。その裏側で、お着替えを終えた牧師先生をスタッフが裏通路からお見送りしていた際のことです。

先生が途中でトイレに寄られた隙に、一瞬だけ目を離したのが運命の分かれ道でした。

聖歌隊を先にご案内して戻ると、そこにはすでにランニング姿に戻った牧師先生の姿がありません。代わりに開いていたのは、披露宴会場へと繋がる扉でした。

主賓挨拶が厳かに行われている真っ最中の会場に、突如としてマジックのように現れたランニング姿の牧師先生。いち早く異変に気づいた会場スタッフが、目にも留まらぬ速さで別の扉から先生を外へとエスコートし、事なきを得ました。

まさに「神隠し」のような一瞬の出来事でしたが、こうして持ち込みによる珍事件は幕を閉じました。

一瞬の特別な時間を守るために

今回は少し笑えるエピソードとして終わりましたが、持ち込み案件は時に、取り返しのつかない大きなトラブルにつながる可能性も秘めています。

一生に一度の、二度と戻らない特別な時間だからこそ、どうか私たち「式場スタッフ」を信頼してお任せください。私たちはプロとして、あらゆる事態を想定し、非日常の感動を完璧な形でお届けすることをお約束します。


ライター:佐藤 ちなつ

初めてのアルバイトが結婚式場のサービススタッフでした。みんなで創り上げる特別な時間が本当に大好きでした。一般企業に就職中に、結婚式の新規会場がオープンすることを知り、この好機を逃すまいと勢いに任せて転職。その後ウェディングプランナーを努め、延べ9年間800組近くの結婚式に携わらせていただきました。笑いあり、涙ありの結婚式、また普段なかなか見えてこない珍エピソードなどをお伝えします。


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