1. トップ
  2. 恋愛
  3. 黄砂の飛来やPM2.5上昇の目安になる!?「視程」のポイントを解説

黄砂の飛来やPM2.5上昇の目安になる!?「視程」のポイントを解説

  • 2026.2.4

黄砂や霧が発生すると、景色がぼやけて遠くが見えにくくなります。

この見通せる距離を数値化したものが視程です。あまり聞き慣れない言葉かもしれませんが、交通機関の安全運行や生活への影響、さらには大気汚染の監視などに欠かせない情報です。

特に春は黄砂やPM2.5、霧の影響で視程が悪化しやすい季節です。

今回は、黄砂やPM2.5、霧の発生時に知っておきたい視程の知識や悪化した場合の注意点などを紹介します。

視程とは

視程とは、観測場所から肉眼で見通すことができる最大距離を指す気象用語です。

地表付近の空気の濁り具合を距離で表したもので、航空機・船舶など交通機関の安全運行、大気汚染の監視などに欠かせない情報です。

定義として、昼間は「背景に対して黒い目標物を肉眼で識別できる最大距離」とされます。観測は屋上など見晴らしの良い場所で行うのが原則ですが、高さによって視程が異なる場合は、地上における目の高さの視程を優先します。

夜間も大気の濁り具合が同じなら昼間と同条件と仮定して判断されます。

方向によって異なる場合は、全方位で最も短い距離をその時の視程とします。

黄砂と視程

黄砂は、中国大陸の乾燥地帯から吹き上げられた微細な砂塵(さじん)が、偏西風に乗って日本まで運ばれてくる現象です。

これが空気中に浮遊すると、太陽光を遮ったり散乱させたりするため、視程が低下します。

黄砂の濃度と視程には大まかな関係性があり、1㎥あたりに含まれる黄砂の量と視程の関係は以下の通りです。

・100μg~200μg/㎥=視程10~5km程度:風景がぼんやりとかすむ
・200μg~400μg/㎥=視程5~2km程度:車や洗濯物などへの砂の付着が目立つ
・400μg~900μg/㎥=視程2~1km程度:航空機の離着陸など交通への影響が出る
※1μgは1gの100万分の1

また、気象庁は黄砂を観測した地点の視程や、黄砂によってどの程度視程が悪化したかを公開しています。

例えば、赤が観測された地点は視程が2km未満で交通機関に影響が出ると判断できます。黄色が観測された地点は視程が2km~5kmであるため、車や洗濯物に黄砂が付着して汚れる可能性があることがわかります。

また、黄砂は視程だけでなく健康への配慮も欠かせません。特に黄砂で視程が悪化している場合は黄砂の濃度が濃くなっているため、呼吸器や目、皮膚などのアレルギー症状が出やすくなります。

黄砂が予想されている際は、黄砂の有無だけでなく、その濃度や視程に着目することも大切です。

PM2.5と視程

PM2.5とは、粒子の大きさが2.5μm以下の小さな微小粒子状物質の総称です。

髪の毛の太さの30分の1程度という微細な粒子であるため、空気中に長時間浮遊しやすく、肺の奥深くまで入り込みやすいという特徴があります。

主な発生源は、工場の排煙や自動車の排気ガスといった人為的なもののほか、火山の噴煙などの自然由来のものも含まれます。PM2.5の粒子が空気中に高濃度で滞留すると、太陽光を散乱させるため、景色が白く霞んで見えるようになります。

また、PM2.5は季節を問わず一年中浮遊していますが、特に注意したいのが春先です。

この時期は大陸からの偏西風に乗って黄砂とともに大量のPM2.5が飛来しやすく、視程の悪化をもたらすことがあります。

なお、乾いた微粒子により視程が10km未満となっている状態を煙霧といいますが、PM2.5も乾いた微粒子であり、煙霧をもたらす要因の一つです。

霧と視程

霧は、空気中の水蒸気が微小な水滴となって地表付近に浮遊する現象です。

黄砂に比べて視界を遮る力が強く、発生すると急激に視程を悪化させるのが特徴です。

気象学の定義では、霧と視程の関係は以下のように定義されています。

・霧:視程が1km未満
・濃霧:視程が陸上でおよそ100m以下、海上で500m以下

気象注意報に「濃霧注意報」がありますが、濃霧については基本的に濃霧注意報と同一基準で用いています。

なお、濃霧注意報の基準は地方によって異なる場合もあります。

霧ともやの違い

霧ともやは、どちらも空気中の微小な水滴によって視界が悪くなる現象ですが、気象庁では視程によって明確に区別しています。

・霧:視程が1km未満の状態
・もや:視程が1km以上、10km未満の状態

より濃くて見通しが悪いのが「霧」、それよりも薄く、遠くがぼんやりと霞んで見える程度なのが「もや」です。

視程の悪化で起こりうる影響

視程が極端に悪化すると、社会活動や安全に多大な影響を及ぼします。

航空機や船舶は、安全に離着陸・航行できる視程の基準が定められているため、欠航や条件付き運航が相次ぎます。陸上でも、高速道路の通行止めや鉄道の徐行運転が発生し、物流や通勤・通学に大きな遅れが生じます。

また、視程が100mを下回るような濃霧では、視界が遮られることで、前方の車両や歩行者、信号機の発見が遅れるだけでなく、景色がぼやけることで速度感覚や車間距離の判断が狂いやすくなります。

視程の悪化で気をつけること

視程が悪化した際は、まず「自分の存在を周囲に知らせること」と「視程悪化の原因や今後の見通しに関する情報の入手」を徹底しましょう。

霧によって車の運転中に視界が悪くなった場合は、昼間でも早めにヘッドライトを点灯します。霧の際は、ハイビームにすると光が水滴に反射して真っ白になり、かえって視界を妨げるため、ロービームやフォグランプ(霧を照らすための専用灯)を使用するのが基本です。

距離感が掴みにくくなるため、速度を十分に落とし、普段の2倍以上の車間距離を保つことが事故防止に繋がります。

また、黄砂やPM2.5によって視程が悪化している場合は、健康管理にも気をつけましょう。

黄砂は単なる砂だけでなく、飛来する過程で大気汚染物質や細菌・カビを吸着して運んでくることが分かっています。これらの影響により、呼吸器や目、皮膚などのアレルギー症状を引き起こすリスクが高まります。

また、PM2.5に関しても粒子の大きさが小さいため、肺の奥深くまで入りやすく、喘息や気管支炎などの呼吸器系疾患への影響のほか、肺がんのリスクの上昇や循環器系への影響も懸念されています。

不要不急の外出を控え、外出時には性能の高いマスクやメガネを着用しましょう。洗濯物の外干しも避けるのが賢明です。

交通機関に乱れが出る可能性もあるため、出発前に運行情報をこまめにチェックし、時間に余裕を持った行動を心がけてください。

<プロフィール>
田頭 孝志
防災アドバイザー/気象予報士
田頭気象予報士事務所。愛媛の気象予報士・防災士。不動産会社の会員向けの防災記事、釣り雑誌にコラムの連載・特集記事の執筆、BS釣り番組でお天気コーナーを担当したほか、自治体、教育機関、企業向けに講演を多数、防災マニュアルの作成に参画。

元記事で読む
の記事をもっとみる