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「間違えたらエンジン破損も…」年間1200件を診るプロが警告、ディーゼル車の寿命を縮める“オイルの勘違い”

  • 2026.2.22
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出典:PhotoAC ※画像はイメージです

みなさま、こんにちは。元自動車整備技術アドバイザーの松尾です。

日々、ディーゼル車に関するご相談を受ける中でとても多いのが、「このトラックにはDL-1とDH-2、どちらのオイルを使えばいいの?」というご質問です。同じディーゼル用エンジンオイルでも、役割や成分は大きく異なります。

今回はDL-1・DH-2・DL-2の違いと注意点、そしてディーゼル車特有のオイル量の変化についてご紹介します。

DL-1とDH-2の意味と違い

DL-1は「ディーゼルライト(Diesel Light)」、DH-2は「ディーゼルヘビー(Diesel Heavy)」の略です。

DL-1は主に小型トラック向けの低灰分オイルで、DPF(排ガス中に含まれる有害物質を除去し、大気汚染を防ぐ装置)装着車に適した設計です。DPFを詰まらせる原因となる硫酸灰分量は0.6%以内に抑えられています。

一方、DH-2は大型トラック向けで、高負荷・長時間運転に耐える耐久性と清浄性能を重視した規格です。DH-2もDPFへの配慮がされており、硫酸灰分量は1.0%以内に管理されています。

低灰分オイルが生まれた理由

従来の一般的なディーゼルオイルをDPF装着車に使用すると、灰分が多いためDPF内部に燃え残りが蓄積し、フィルターを詰まらせてしまいます。DPFが詰まると警告灯点灯、出力低下、燃費悪化、最悪の場合は高額修理につながります。こうした問題を防ぐために開発されたのが、低灰分設計のDL-1やDH-2です。

DL-1とDH-2は互換ではない

DL-1とDH-2は成分設計が異なるため互換ではありません。

・DH-2指定車にDL-1を入れる→清浄性が不足し、エンジン内部に汚れやスラッジが溜まりやすくなる
・DL-1指定車にDH-2を入れる→灰分が多く、DPFが詰まりやすくなる

必ず車両指定の規格を使用することが重要です。

灰分とは何か?

ここで出てくる「灰分」とは、オイルが燃えた後に残る「燃えカス」のことです。主に清浄剤(エンジン内部の汚れを除去する)や添加剤(品質維持のためにオイルに含まれる物質)に含まれる金属成分が燃焼後に灰として残ります。

この灰分には重要な役割があります。

・灰分が多い → エンジン内部をキレイに保つ力(清浄性)が高い
・灰分が少ない → DPFや触媒が詰まりにくい

どちらかを極端に重視すると、もう一方に影響が出るため、規格ごとに最適なバランスが設定されています。

新しい規格DL-2とは?

DL-2は欧州車用規格「ACEA(アセア)」のC規格相当の硫酸灰分範囲を採用した、新しいJASO規格の新世代オイルです。

灰分は多すぎるとDPFや触媒の詰まりを早め、少なすぎるとエンジン内部の汚れが進みやすくなります。これまでのDL-1はDPF・触媒保護を重視していましたが、DL-2ではエンジン保護とのバランスも重視したものとなっています。

オイル点検時の注意

実際に点検する際にガソリン車と基本は同じですが、ディーゼル車ならではの注意点があります。

DIYで作業される方は参考にしてみてください。

レベルゲージの×印の意味

ディーゼル車のオイルレベルゲージ(オイル量を見るための目盛り)にある×印は、「ここまでオイルが増えると危険」という警告です。ディーゼル車ではオイルが減るだけでなく増えることもあるためです。

そのため、×印までオイル量が増えている場合は、即交換をおすすめします。

なぜオイル量が増えるのか

主な原因はDPF再生時の燃料混入です。未燃焼燃料がオイルに混ざることで量が増え、粘度低下や潤滑不良を引き起こします。増えすぎるとエンジン破損につながる恐れもあります。

小さな違いが大きな故障に

エンジンオイルは車の血液です。種類や量の管理を誤ると、大きなトラブルにつながります。特にディーゼル車は「減り」だけでなく「増え」も確認することが重要です。

正しいオイル選びと定期点検が、エンジンとDPFを長持ちさせる最大のポイントです。

ぜひ一度、愛車のオイル規格と量をチェックしてみてください。


筆者:松尾佑人(二級ガソリン・ジーゼル自動車整備士資格保有)
新卒で自動車整備業界に入り、約8年にわたり技術分野に従事。メーカーを問わず、主に現役メカニック向けの自動車整備・故障診断アドバイザーとして活動し、新機構研修、故障診断勉強会、検査員教習、自動車整備士資格講習の講師を歴任。年間約1,200件の技術相談に対応し、電気回路の理解や配線図の読解を基盤に、電子制御システムの解説を得意とする。
現在は自動車専門ライターとして、トラブル診断、車両構造・電子制御の解説、DIYによる整備・カスタムなど幅広い分野で執筆。専門性の高い内容を一般ユーザーにも分かりやすく伝える実践的な解説に定評がある。自身でも日常的にマイカーの整備・改造を行っており、ユーザー目線に立ったリアルな情報発信を行っている。


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