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高速80キロで走行中、突然の警告音!?「タイヤサイズは合っているのに…」整備士が指摘した“思わぬ落とし穴”

  • 2026.2.18
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出典:photoAC(※画像はイメージです)

みなさま、こんにちは。元自動車整備技術アドバイザーの松尾です。

クルマのトラブルというと、バッテリー上がりやパンクなどを思い浮かべる方が多いかもしれません。しかし現場では、ときに「そんなことで?」と思うような意外な原因で警告灯が点灯するケースも少なくありません。

そこで今回は、実際に相談を受けた事例の中から、「タイヤの銘柄違い」が原因で起きたABS(急ブレーキ時にタイヤのロックを防ぐシステム)警告灯トラブルについてご紹介します。

高速道路で突然点灯したABS警告灯

ある日、「高速道路を走行中にABSの警告灯が点灯した」という相談が入りました。

速度はおよそ80km/h以上。一般道では何も問題がなかったのに、高速域に入った途端に警告灯が点灯したとのことです。

ABS警告灯が点灯すると、「ブレーキが効かなくなるのでは?」と不安になる方も多いでしょう。実際には通常のブレーキ自体は効きますが、ABSが作動しなくなる可能性があるため、放置はできません。

センサー不良や配線トラブルなどを疑い点検を進めましたが、機械的な異常は見つかりません。そこで車両をよく確認していくと、ひとつ気になる点がありました。

原因は「前後で違う銘柄のタイヤ」

装着されていたタイヤは、前後ともサイズは同じ。しかし、よく見ると前後でメーカー(銘柄)が異なっていたのです。

「サイズが同じなら問題ないのでは?」と思われるかもしれません。実際、多くの方がそう考えます。ところが、ここに落とし穴があります。

サイズが同じでも不具合が出る理由

タイヤには「205/55R16」のようなサイズ表記があります。

実際にはメーカーごとに設計が異なるため、

  • タイヤの外径(直径)
  • トレッド(実際にタイヤが路面に接している部分)形状
  • 剛性やたわみ方
    といった細かい寸法や特性にわずかな違いがあります。

通常走行ではほとんど問題になりませんが、高速域に入るとこの差がはっきり現れます。

外径がわずかに違うと、同じ速度で走っていてもタイヤの回転数が前後で変わります。すると、クルマのABSコンピューターは、車輪速センサー(タイヤの回転速度を見ているセンサー)からの情報をもとに、「前輪と後輪で車輪速がズレている=異常があるのでは?」と判断し、結果としてABS警告灯を点灯させてしまうのです。

タイヤの外径はカタログに記載されている

この外径差は目で見ても分からないレベルですが、各メーカーのタイヤカタログには外径寸法がしっかり記載されています。

実際に比較してみると、同サイズでも数ミリ単位で違うことは珍しくありません。

応急処置のつもりが思わぬトラブルに

最近は国産・海外問わず多くのタイヤメーカーがあり、価格や入手性の都合で、

  • とりあえず1本だけ交換
  • 応急的に別銘柄を装着
  • 前後で違うメーカーを使用

というケースも少なくありません。

もちろん必ずトラブルになるわけではありませんが、今回のように電子制御に影響が出る可能性があります。

トラブルを防ぐためのポイント

今回のケースから学べるポイントはシンプルです。

  • 前後でタイヤサイズだけでなく銘柄も揃えるのが理想
  • 特に電子制御付き車両では混在使用に注意
  • 応急交換後は早めに4本同一銘柄へ

タイヤは「同じサイズ=同じ性能」ではありません。

小さな違いが大きな安心につながる

今回のトラブルは、タイヤを同一銘柄に揃えることで無事解決しました。大きな故障ではありませんでしたが、高速走行中の警告灯点灯はやはり不安になるものです。

クルマは多くの電子制御によって安全が保たれています。だからこそ、「たかがタイヤ、されどタイヤ」。ちょっとした違いを軽く見ず、基本を守ることが安全への近道です。

みなさまもタイヤ交換の際には、ぜひ「サイズだけでなく銘柄も揃える」ことを意識してみてください。思わぬトラブルの予防につながります。


筆者:松尾佑人(二級ガソリン・ジーゼル自動車整備士資格保有)
新卒で自動車整備業界に入り、約8年にわたり技術分野に従事。メーカーを問わず、主に現役メカニック向けの自動車整備・故障診断アドバイザーとして活動し、新機構研修、故障診断勉強会、検査員教習、自動車整備士資格講習の講師を歴任。年間約1,200件の技術相談に対応し、電気回路の理解や配線図の読解を基盤に、電子制御システムの解説を得意とする。
現在は自動車専門ライターとして、トラブル診断、車両構造・電子制御の解説、DIYによる整備・カスタムなど幅広い分野で執筆。専門性の高い内容を一般ユーザーにも分かりやすく伝える実践的な解説に定評がある。自身でも日常的にマイカーの整備・改造を行っており、ユーザー目線に立ったリアルな情報発信を行っている。


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