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新築で100万かけて絨毯のような庭を…数ヶ月後、30代夫婦を襲った大誤算【一級建築士は見た】

  • 2026.2.21
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出典:photoAC(※画像はイメージです)

「せっかくの注文住宅だから、コンクリートを固めるだけでは味気ない。子どものために天然芝を敷いて、季節の花を楽しめる花壇も作ろう」

新築時、Sさん(夫+子ども2人の4人家族)は100万円以上の予算をかけて、美しい緑の絨毯のような庭を完成させました。入居した春には、親戚を招いてバーベキューを楽しみ、「やっぱり庭を作ってよかった」と感じていました。

しかし、その状況がずっと続くわけではありませんでした。梅雨が明け、本格的な夏が到来したとき、庭の主役は芝生から「雑草」へと入れ替わってしまったのです。

雑草は「驚くべき速さ」で成長することも

Sさんの誤算は、「雑草の成長スピード」と「自身の忙しさ」のバランスを十分に考慮できていなかったことにありました。

・週末の時間が削られる
平日は共働きで忙しく、庭に目が向くのは週末だけ。しかし、週末に雨が降れば手入れは翌週に持ち越しとなります。その2週間の間に、雑草はスネの高さまで成長してしまうこともあります。

・身体的な負担
真夏の草むしりは、わずか30分で熱中症の危険を感じるほどの重労働になりかねません。せっかくの休日が「庭の維持」だけで消えていくことに、夫婦は次第にストレスを感じるようになりました。

放置した庭が招く近隣トラブル

庭の手入れが届かなくなることは、単に「見た目が悪い」だけでは済みません。放置された庭は、建物や人間関係に深刻な影響を及ぼすこともあります。

・害虫や害獣が発生しやすくなる
伸び放題の草むらは、蚊やムカデ、さらにはヘビなどの住処になる可能性があります。窓を開けるだけで虫が侵入するため、結局「庭があるのに窓を開けられない」という状況になりかねません。

・近隣トラブルの懸念
雑草の種は風に乗って隣家へと飛び散ることがあります。「あそこの家のせいで、うちの庭まで草が生える」といった懸念を持たれることは、精神的な負担につながります。

・防犯上のリスク
外観の管理が行き届いていないと、周囲から「不在がち」あるいは「管理がなされていない家」と見なされ、防犯面でのリスクが高まるといわれています。

「土を見せない」庭づくり

ライフスタイルによっては、「庭に土を残しすぎない」というのも有効な選択肢の一つです。もし今の庭の管理に限界を感じているなら、以下のようなリフォームによる解決を検討してみるのもよいでしょう。

・高機能防草シート+防犯砂利
厚手のシートを敷き、その上に砂利を敷き詰めます。歩くと音が鳴るため防犯対策にもなり、メンテナンスの負担を大幅に軽減できる可能性があります。

・人工芝への転換
最近の人工芝は非常にリアルで、冬でも緑を楽しめるのが魅力です。水抜き穴からの雑草対策を適切に行えば、長期間、手入れの負担を抑えて緑を楽しめるでしょう。

・タイルデッキ・ウッドデッキ
庭の面積を物理的に削り、メンテナンス負担の少ない床を作る方法です。初期費用はかかりますが、将来的な維持の手間を考えれば、選択肢の一つといえるのではないでしょうか。

庭は「面積」ではなく「管理できるかどうか」で考える

Sさんは結局、数年間の苦労の末、数十万円をかけて庭の半分をタイル張りにリフォームしました。Sさんは当時を振り返り、「最初からこうしておけば、あんなに週末の時間を費やさなくて済んだのに」と語ります。

庭を作る際は、管理にかかる「時間」や、プロに依頼するための「予算」をあらかじめ想定しておくことが大切です。

「なんとなく緑が欲しい」というイメージだけで土の部分を広く残すのではなく、自分のライフスタイルに合った「引き算の庭づくり」を検討することが、心地よい住まいへの第一歩といえるかもしれません。


ライター:yukiasobi(一級建築士・建築基準適合判定資格者)
地方自治体で住宅政策・都市計画・建築確認審査など10年以上の実務経験を持つ。現在は住宅・不動産分野に特化したライターとして活動し、空間設計や住宅性能、都市開発に関する知見をもとに、高い専門性と信頼性を兼ね備えた記事を多数執筆している。


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