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築40年戸建てを購入も→185万円を追加支払い!?30代夫妻を襲った“大誤算”【不動産のプロは見た】

  • 2026.2.20
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出典:photoAC(※画像はイメージです)

皆さま、こんにちは。現役の不動産会社社長として、日々さまざまな土地や建物のご相談に向き合っている岩井です。

マイホームを中古にするか、新築にするか。この選択で迷っている方は少なくありません。

「中古を買ってリフォームすれば、新築より安く理想の家が手に入る」

そんな言葉を、一度は耳にしたことがあるのではないでしょうか。予算的に新築は厳しいけど、中古物件を買ってリフォームする方法なら何とかなると考える人は増えています。実際、物件価格だけを見ると、割安に感じられるケースも多いのが現実です。

しかし、法律や制度が変わった瞬間、その計算が成り立たなくなることがあります。

今日ご紹介するのは、法改正をきっかけに想定していなかった追加費用が発生し、資金計画が大きく狂ってしまったご夫婦の話です。

「柱を残せば確認申請はいらない」はずだった

30代後半のAさんご夫妻は、築40年の戸建てを購入しました。

計画していたのは、間取りの大幅変更に加え、耐震補強や水回りの全面移設まで含むフルリフォーム。予算は約1,000万円を見込んでいました。購入前の段階では、建築確認が必要になるとは想定していませんでした。

ところが、購入後に設計を進める中で状況が変わります。設計士から告げられたのは「2025年の法改正により、一定規模以上の大規模リフォームでは建築確認が必要になる」という説明でした。

その話を聞いた打ち合わせの場で、Aさんは戸惑いを隠せない様子でこう言いました。

「昔、宅建を少しかじったことがあって…。柱を残すリフォームなら、建築確認(建築基準法に適合しているかを行政がチェックする手続き)はいらないんじゃないんですか?」

Aさんが前提にしていた「柱を残せば大丈夫」という知識は、すでに通用しない時代に変わっていたのです。

追加100万円。図面と構造検討という“見えない出費”

法改正の影響でAさんご夫妻のリフォームは、確認申請が必要な計画へと変わりました。そして、想定していなかった作業が一気に増えます。

追加で必要になったのは、次のような内容です。

  • 構造計算(建物の強さを数値で確認する作業)
  • 既存図面の描き直しや、細かな詳細図の作成
  • 行政へ提出する申請書類の作成と手数料

追加でかかった金額は、およそ100万円。Aさんは顔を曇らせながら、ぽつりとこぼしました。

「その100万円で、断熱をグレードアップできたのに…」

しかし、問題は、この100万円だけでは終わらなかったのです。

3ヶ月遅れの引越し。仮住まい地獄

建築確認申請の審査に時間がかかり、工期は当初予定より2〜3ヶ月延びました。完成を待つあいだ、Aさん一家は急きょ仮住まいを探すことになります。

発生した出費は、想像以上でした。

  • 仮住まいの家賃:月15万円×3ヶ月=45万円
  • 引越し2回分(仮住まいへ・新居へ):約30万円
  • 家具や荷物の保管費用:約10万円

合計で約85万円。リフォームとは直接関係のない費用が、家計を圧迫します。

さらに、住宅ローンの実行時期も予定通りにいかず、資金のやりくりに追われる日々。貯金はみるみる減り、「予備費」として取っておいたお金も消えていきました。

予算オーバーで削られた“理想”

追加で発生した費用は、設計や確認申請関連で約100万円。さらに仮住まいと引越し費用で約85万円。合計すると約185万円の想定外の出費です。

当初1,000万円で組んでいたリフォーム予算は、完全にオーバー。見直しの対象になったのは、暮らしの快適さに直結する部分でした。

  • 高性能の断熱材を断念
  • キッチンや浴室のグレードを一段階下げる
  • 家族が楽しみにしていた吹き抜けプランを中止

目に見えない手続き費用のために、目に見える理想が削られていきました。

工事自体は無事に完了。しかし、完成した家に対する気持ちは当初のワクワクとは明らかに違います。

「中古+リフォームならお得」という考えは、あっけなく崩れたのです。

ルールが変われば、計画は崩れる

Aさんご夫妻の誤算は、物件価格とリフォーム費用だけを見て「予算内に収まる」と考えていたことです。そこに、法改正という視点が抜けていたのです。

本来、購入前に確認しておきたかったのは、次の3つです。

  • 設計士や行政機関に、法改正の影響があるかどうかを事前に確認する
  • 総予算に10〜20%ほどの余裕を持たせておく
  • もし確認申請が必要になった場合、いくら増えるのか試算しておく

不動産の購入は、建物や価格だけで決まるものではありません。法律や制度に大きく左右されます。

「前は問題なかった」
「ネットには不要と書いてあった」

その感覚のまま進めてしまうと、後になって計画が失敗します。

法律や制度の変更をすべて自分で追い続けるのは、現実的には簡単ではありません。少しでも不安を感じたら、設計士や不動産会社など、制度に詳しい専門家に早めに相談することをおすすめします。

思い込みよりも、確認。それが、想定外の出費を防ぐ一番の近道です。



筆者:合同会社ゆう不動産 代表 岩井佑樹

不動産売買の専門家として仲介・査定・買取に携わりながら、不動産Webライターとして1,000記事以上を執筆。「売る力×伝える力」を軸に、情報発信と販売の両面から不動産の価値を高めている。派手さよりも誠実さを大切にし、地域に寄り添う姿勢で「早く・高く・安心」の取引を支える不動産の専門家。


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