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駅近好立地を契約も「この土地は準防火地域に…」30代夫妻を襲った追加費用100万円の“落とし穴”【一級建築士は見た】

  • 2026.2.20
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出典:photoAC(※画像はイメージです)

「ようやく見つけました。駅から近くて、将来の資産価値にも配慮できる。ここなら理想の暮らしが送れそうです」

Sさん(30代)夫妻が契約したのは、多くの方が関心を持つような好立地でした。土地の価格は相場通りでしたが、建物はハウスメーカーの標準仕様をベースにコストを抑えれば、十分に予算内に収まる計算だったのです。

重要事項説明では、不動産会社から「このエリアは準防火地域に指定されています」という説明を確かに受けていました。しかし、当時の2人にとって、それは「火災に強い街にするためのルール」という程度の認識でした。

その言葉が、のちに100万円ほどの追加費用につながる可能性があるとは、想像もしていなかったのです。

標準仕様からの変更が必要になることも

ハウスメーカーとの打ち合わせの時、担当者からこのような話がありました。

「Sさん、この土地は準防火地域なので、今のプランのままだと見積もりが100万円ほど上がる可能性があります」

原因は、法規制により「延焼のおそれのある部分」にかかる窓やドアでは、網入りガラスや防火シャッターなどの防火設備の採用が求められることにあります。

Sさんが選んでいたメーカーの標準仕様のサッシや玄関ドアの多くがその基準を満たしておらず、基準に適合した認定品への変更が必要になったのです。

デザインと性能のバランス

コスト面以外でも、Sさん夫妻は計画の調整を迫られることになりました。開放感のあるリビングを実現するために計画していた大きな窓。

しかし、防火規制をクリアするためには、ガラスの中に金属製の網が入った「網入りガラス」にするか、あるいは「防火シャッター」を設置するなどの対応が必要になります。

「網があることで、外の景色が少し見えにくく感じてしまうかもしれません…」

憧れていた透明感のあるリビングのイメージを維持するために、網のない「耐熱強化ガラス」への変更も検討しましたが、さらなる追加費用がかかることが分かり、夫妻は慎重に検討を重ねることになりました。

「立地とコスト」の関係

利便性の高い土地には、建築費の面でもあらかじめ考慮しておくべきポイントがあるといえます。

・規制の厳しさと立地
人が集まりやすい駅前や商業地ほど、火災のリスクを抑えるために「防火地域」や「準防火地域」に指定される傾向があります。

・建てるためのコスト
不動産会社は「家が建てられるかどうか」という事実を伝えますが、その規制下で「具体的にいくらかかるか」は、建物のプランによって変わるため、見積もりが出るまで見えにくいのが実態です。

土地の購入で予算の多くを使っていたSさん夫妻にとって、この費用の増加は大きな検討材料となりました。最終的には、キッチンや内装の仕様を見直すことで、全体の予算のバランスを整えることになったのです。

土地の法規制を見積もりとセットで考える

Sさん夫妻の経験から参考にしたいのは、「土地の法規制は、建物の計画とセットで判断する」ということです。

  • 「防火地域」「準防火地域」という言葉を確認したら、早い段階で費用の目安を確認しておく。
  • 土地の契約前に、ハウスメーカーなどに「この規制下での追加費用の概算」を出してもらう。

土地の利便性だけでなく、その裏側にある仕様への影響を見落とさないようにしたいものです。

土地選びの段階でプロに相談し、理想の家が現実的にどのくらいの予算で実現できるのかをシミュレーションすること。それが、無理のない予算計画を立てるための大切なステップの一つといえるでしょう。


ライター:yukiasobi(一級建築士・建築基準適合判定資格者)
地方自治体で住宅政策・都市計画・建築確認審査など10年以上の実務経験を持つ。現在は住宅・不動産分野に特化したライターとして活動し、空間設計や住宅性能、都市開発に関する知見をもとに、高い専門性と信頼性を兼ね備えた記事を多数執筆している。


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