1. トップ
  2. 「隣人のトイレが…」新築1年後、隣の10台駐車場に“3階建て”が出現…30代夫妻を襲った“大誤算”【一級建築士は見た】

「隣人のトイレが…」新築1年後、隣の10台駐車場に“3階建て”が出現…30代夫妻を襲った“大誤算”【一級建築士は見た】

  • 2026.2.19
undefined
出典:photoAC(※画像はイメージです)

「隣が広い駐車場だから、ずっと日当たりも風通しも良い状態が続くと思ったんです」

そう語るのは、念願のマイホームを建てたKさん(30代)夫妻。

彼らが選んだ土地の隣は、10台以上は停められそうな広々とした「青空駐車場」でした。

「地主さんも高齢だと聞いたし、当分はこのまま。もし建物が建つとしても、これだけ広ければ自分の家の窓の真ん前に家が来ることはないだろう」

そう考えたKさんは、リビングに壁一面の大きな掃き出し窓を設計しました。視線を遮るカーテンをなるべく使わず、広い空を感じられる開放感あふれる住まいを手に入れた…はずでした。

新築から1年、「看板」が立った日の戸惑い

穏やかな生活に変化が訪れたのは、入居からわずか1年後のことでした。隣の駐車場に「売物件」の看板が立ち、その数カ月後には工事が始まりました。

広い駐車場だった場所は、不動産会社によって3つの区画に分けられました。

さらにKさんの家のすぐ隣の区画には、LDKを2階に配置した3階建ての住宅が建つことになったのです。工事が進むにつれ、Kさんの自慢だった窓の目の前には、隣家の壁が立ち上がりました。

そしてさらに難しい状況となったのは、窓の配置でした。

視線、音、匂い。「お見合い」の幕開け

隣家の計画が進むにつれ、Kさんは驚くことになります。こだわって作った大窓の、ちょうど正面の同じような高さに、隣家の「トイレの小窓」と「キッチンの換気扇フード」が配置されたのです。

・視線の重なり
窓を開けると、隣家の方がトイレを利用する気配を感じてしまうような距離感。

・匂いの影響
夕食時、隣家の換気扇から排出される料理の匂いが、Kさんのリビングへ流れ込んでしまう。

・音の問題
水を流す音やキッチンの作業音が、大きな窓を介して聞こえてきやすくなる。

開放感を求めて作ったはずの窓が、いつの間にか「お互いのプライバシーに配慮し続けなければならない場所」になってしまいました。

「駐車場」という土地の性質

なぜ、このような状況が起きるのでしょうか。青空駐車場は「将来的に建物が建つ可能性が比較的高い空き地」といえる側面があるからです。

・土地としての活用しやすさ
駐車場として管理されている土地は、敷地が整えられていることも多く、分譲地として売り出しやすい傾向があります。

・現在の姿は「仮の状態」
駐車場がある状態での日当たりや視線は、将来にわたって保証されるものではありません。

結局、Kさん夫妻はプライバシーを守るため、大窓を厚手のカーテンで閉め切って生活することになりました。日中でも照明をつけ、周囲の視線を気にしながら暮らす状況は、当初の理想とかけ離れていました。

「駐車場」は更地と同じである

家づくりにおいて、土地の「現状」だけを信じるのは注意が必要です。特に隣が駐車場や空き地の場合、そこには「将来、窓や壁ができる」と仮定して設計を進めることが大切です。

  • 隣に家が建ったとき、窓の位置が重ならないか?
  • その位置に換気扇が来ても影響はないか?

「今」見える景色だけでなく、数年後の変化を想像して窓を配置すること。それが、カーテンを開けてのびのびと暮らせる住まいを手に入れるための、大切なポイントといえるでしょう。


ライター:yukiasobi(一級建築士・建築基準適合判定資格者)
地方自治体で住宅政策・都市計画・建築確認審査など10年以上の実務経験を持つ。現在は住宅・不動産分野に特化したライターとして活動し、空間設計や住宅性能、都市開発に関する知見をもとに、高い専門性と信頼性を兼ね備えた記事を多数執筆している。


「ちょっと聞いてよ!」日常の出来事を、TRILLでシェアしませんか?【2分で投稿完了・匿名OK】