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「10件つなげば100万円」副収入に執着し、友人に声をかけ続けた30代男性の末路

  • 2026.3.13
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出典:photoAC(※画像はイメージです)

皆さま、こんにちは。現役の不動産会社社長として、日々さまざまな土地や建物のご相談に向き合っている岩井です。

ちまたでは、副業で本業を超える収入を得ている方も少なくありません。SNSでは、せどり(商品を安く仕入れて高く売る転売)や動画配信、アフィリエイトなどが話題になっています。

不動産業に関する副業といえば、不動産投資(物件を購入し、家賃収入や売却益を得る方法)を思い浮かべる方が多いでしょう。

しかし、それ以外にも「物件紹介で謝礼を得る」という方法があります。仲介会社に顧客を紹介し、成約時に謝礼を受け取る仕組みです。実際、年間で数十万円、なかには100万円以上の副収入を得ている人がいるのも事実です。

今日は、飲食会社に勤めながら、物件の紹介料という副収入を得ていた30代男性の事例をご紹介します。

「紹介だけで10万円」と聞いたAさんの挑戦

今から3年前、私が独立したばかりの頃、共通の知人を介して知り合ったのが、某飲食会社に勤務する30代会社員のAさんでした。

Aさんは本業のかたわら、売却希望者や購入予定者を私に紹介してくれていました。無事に契約が成立した場合のみ、紹介料として謝礼をお支払いする形です。

仲介会社に顧客を紹介し、成約時に謝礼を受け取る仕組み自体は、基本的には違法ではありません。実務上たしかに存在します。

ただし、あくまで“単純紹介”に限られます。価格交渉や契約条件の調整など、営業行為に踏み込めば話は別です。

ある日、Aさんはこう言いました。

「1件10万円なら、年間10件で100万円も稼げますよね。ちょっと本腰入れてやってみます」

こうしてAさんは、“副収入100万円”を目標に、本格的に動き始めました。

10件紹介しても、成約は3件だった

Aさんは、職場の同僚や同窓会の仲間に「家を探している人いない?」「売却を考えている人がいたら紹介して」と声をかけ始めました。

初年度に紹介してくれたのは、合計10名。本人の中では「これで100万円だ」と計算していたはずです。

しかし、実際に契約まで至ったのは、わずか3件でした。1件あたりの謝礼は10万円。結果は30万円。

「え?全然100万円じゃない…」

Aさんは正直にそう漏らしました。

紹介=報酬ではありません。あくまで成約ベースです。しかも契約に至るかどうかは、市況(市場状況)、価格設定、購入者のローン審査、家族の意思決定など、さまざまな要因に左右されます。

年間10件を安定して成約させるのは、想像以上にハードルが高い。相当な人脈と信用がなければ、数字は簡単には積み上がらないのが現実でした。

一線を越えると“無免許営業”になるリスクも

さらに危うかったのは、Aさんが次第に価格や条件に口を出し始めたことでした。

「このくらいなら値引きいけますよ」「このエリアはこれから上がりますよ」

本人に悪気はありません。紹介者として“役に立ちたい”気持ちがあったのでしょう。

しかし、ここには大きな落とし穴があります。報酬を得る目的で、繰り返し売買の交渉や条件調整などに関与すると、宅建業法上の「宅地建物取引業」に該当する可能性があります。

その場合は宅地建物取引業(宅建業)の免許が必要になります。単純紹介と営業行為の線引きは非常に繊細で、知らないうちに“業”と判断されるリスクもあります。

副収入にするなら「線引き」と「覚悟」を持つ

副収入として紹介料を考えるのであれば、最低限押さえておきたいポイントがあります。

まず1つ目は、紹介に徹し、条件交渉や価格の助言には一切関与しないことです。善意の一言が営業行為と受け取られる可能性もあります。

2つ目は、報酬の有無や支払い条件を事前に書面で確認しておくことです。謝礼はあくまで会社の裁量であり、保証された仕組みではありません。

3つ目は、人間関係を壊してまでやる価値があるのかを冷静に考えることです。紹介する相手は、友人や同僚など身近な存在であることが多いからです。

紹介ビジネス自体は成立します。しかし「安定して荒稼ぎできる仕組み」ではありません。

短期的な収入目的で動けば、得られる金額以上に、紹介者としての信用を失う可能性があります。副収入にするなら、まず守るべきはお金よりも信頼です。

信用を切り売りする副収入は“本当に得か”

人は「紹介だけ」「簡単に」という言葉に心を動かされます。手間も少なく、リスクも低そうに見えるからです。

しかし、不動産は数千万円単位の取引です。人生設計に直結する、大きな決断でもあります。

万が一トラブルが起きたとき、最初に名前が挙がるのは“つないだ人”であることが少なくありません。法的な責任がなくても、感情的な矛先は向きます。

年100万円は理論上は可能です。ただし、安定して再現できる仕組みではありません。副収入として考えるなら、法令と責任範囲を理解したうえで、自分の信用をどこまで預ける行為なのかを見極めることが前提です。

お金は取り戻せます。しかし信用は、一度失えば簡単には戻りません。その副収入は、本当に“得”でしょうか。チャレンジする前に、一度だけ立ち止まって考えてみてください。



筆者:合同会社ゆう不動産 代表 岩井佑樹

不動産売買の専門家として仲介・査定・買取に携わりながら、不動産Webライターとして1,000記事以上を執筆。「売る力×伝える力」を軸に、情報発信と販売の両面から不動産の価値を高めている。派手さよりも誠実さを大切にし、地域に寄り添う姿勢で「早く・高く・安心」の取引を支える不動産の専門家。


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