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落とし物の拾い主「SNS投稿で拡散してもらおう」元警察官が警鐘、善意の写真投稿が招く落とし穴

  • 2026.2.15
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出典元:photoAC(画像はイメージです)

確かにSNSの拡散力は強力で、実際に持ち主が見つかった事例も数多くあります。しかし、その善意の行動が思わぬトラブルや危険を招く可能性があることをご存じでしょうか。

今回は、元警察官で防犯アドバイザーとして活動するりょうせいさん(@ryosei_bouhan)に、落とし物をSNSへ投稿することの危険性、そして拾った人・落とした人それぞれが取るべき正しい対処法について詳しく教えてもらいました。

善意の投稿が招く4つの危険性とは

――落とし物を拾ったとき、写真付きでSNSへ投稿する行為にはどのような問題があるのでしょうか?

りょうせいさん:

「落とし物をSNSへ写真付きで投稿する行為は、一見すると善意ですが、実は大きなリスクを伴います。

まず、財布・学生証・交通系ICカード・鍵などは、写真に個人情報が写り込みやすく、氏名や学校名、金融情報などが第三者に知られる恐れがあります。

また、写真を見た“なりすまし”が『自分のものです』と連絡してくるケースも考えられ、本来とは異なる人物に落とし物が渡ってしまう危険があります。

さらに問題なのは、落とし物は本来『遺失物法』に基づいて扱われるべきものだという点です。

拾った人には警察や管理者へ届ける義務があり、遺失者が現れた場合の返還方法、所有権や報労金の取り扱いまで細かく定められています。

これを無視してSNSで個人同士が直接やり取りすると、金銭トラブルの原因になることがあります。謝礼金を巡る誤解や、落とし物の状態を巡ったすれ違いなど、警察実務でも個人間の返還による揉め事は少なくありません。

また、SNS経由の受け渡しは、知らない人と直接会うことにもつながります。場所を指定されることで危険な状況に巻き込まれたり、背景から自宅・生活圏を推測されるリスクもあります。

写真投稿は善意でも、個人情報の漏えい・なりすまし・トラブル・安全面の課題が重なります。

SNSより、遺失物法に基づいた正規ルートを使うのが最も安全です。」

拾った人・落とした人、双方が直面する危険

――SNSの拡散力は確かに強力ですが、拾った側・落とした側それぞれにどのようなリスクがあるのでしょうか?

りょうせいさん:

「SNSの拡散力は非常に高く、落とし物に関しても『投稿したことで無事に持ち主が見つかった』という事例は実際に数多くあります。

情報が瞬時に広がる点は大きなメリットであり、地域コミュニティの助け合いに役立つ面も確かにあります。

ただ、その利便性と同じだけ危険性も併せ持っていることを理解しておく必要があります。

まず拾得者(発見者)は、落とし物をSNSへ掲載すると、外観や特徴が不特定多数に公開されます

その結果、持ち主ではない人物が“なりすまし”として名乗り出る可能性があります。鍵やICカード、学生証などは外見が似ているため特に悪用されやすく、不正な受け取りや犯罪の足掛かりになる恐れがあります。

本来、拾った人は遺失物法に基づき、店舗の管理者か警察へ届ける義務があり、個人同士の受け渡しはトラブルの原因にもなります。

遺失者側も同様です。

『財布を落としました』とSNSへ投稿することは、自らの“防犯状態の低下”を公表することになり、悪意ある第三者につけ込まれる恐れがあります。また、拾得者を装った人物から連絡が届き、個人情報を聞き出されるといった危険もあります。

どうしても投稿する場合は、細部を伏せる、特徴を一部非公開にするなど“なりすまし対策”が必須です。しかし根本的には、拾った人は警察へ届け、落とした人は遺失届を提出するという正規ルートが最も安全で確実です。

SNSは便利で役立つ一方で、同時に危険も隣り合わせ。その両面を理解して使うことが大切です。」

トラブルを防ぐ正しい対処法──遺失物法に沿った行動を

――では、落とし物を拾った人、落とした人は、それぞれどのように対処すれば安全なのでしょうか?

りょうせいさん:

「落とし物を巡るトラブルや悪用を防ぐためには、『発見者』と『遺失者』のどちらも、遺失物法に沿った正しい行動を取ることが最も安全です。

まず発見者は、落とし物を見つけた際にSNSへ投稿したり、持ち主を探して個人的にやり取りすることは避けましょう。

遺失物法では、落とし物は速やかに『管理者(店舗・駅・商業施設など)』または『警察』へ届ける義務が定められています。これにより、拾得者の権利(所有権の取得や報労金の受領権)も正しく保護され、個人間の金銭トラブルを防ぐことができます。

また、SNSで呼びかけて個人同士が直接会うのは、安全面のリスクが大きいため推奨できません。場所を指定される、身元不明の相手と接触するなど、危険な状況につながる可能性があります。

次に遺失者側は、まず心当たりのある場所を確認し、見つからなければ警察へ遺失届を提出してください。

遺失届はオンラインでも提出でき、見つかった際にすぐ連絡を受けられます。特にスマートフォン、キャッシュカード、鍵など悪用されやすい物を落とした場合は、金融機関や通信会社への停止手続きも同時に行うことが重要です。

SNSに情報を投稿する場合は、必要以上の詳細を書かず、特徴の一部を伏せることで“なりすまし対策”ができます。ただし、最終的な受け渡しは必ず警察や管理者を通して行うことが重要で、個人同士の直接的な受け渡しは避けるべきです。

安全に解決するための最も確実なルートは、『拾得者は届ける』『遺失者は遺失届を出す』という、遺失物法に基づいた正式な手順です。」

安全に届けるために、正規ルートの活用を

落とし物を見つけたとき、SNSで呼びかけたくなる気持ちはよく分かります。しかし、その善意が個人情報の漏えいやなりすまし被害、金銭トラブル、さらには身の危険につながる可能性があることを忘れてはいけません。

拾った人は警察や管理者へ届け、落とした人は遺失届を提出する。

この遺失物法に基づいた正規ルートこそが、双方にとって最も安全で確実な方法です。SNSの便利さと危険性の両面を理解し、正しい方法で落とし物を届けましょう。


監修者:りょうせい(りょうせい 元生活安全課

元警察官(警察歴10年)。生活安全課で行方不明やDVなどの人身事案を担当し、防犯の広報や啓発活動にも携わる。
現在は防犯アドバイザーとして活動し、Xや音声配信(StandFM)を通じて、日常生活に取り入れやすい防犯の工夫を発信している。