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「駅員が暖かい場所でサボっている」冬の駅改札でブチギレる客。元駅員が絶句した“理不尽すぎる”言い分

  • 2026.2.19
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出典:photoAC(※画像はイメージです)

こんにちは。元鉄道駅員の川里です。

今回は、私が駅員時代に経験した「冬の天候に関するトラブル」をご紹介します。風が吹き抜ける改札口でのエピソードです。

改札口は寒すぎる

読者の皆さんもご存じの通り、駅の改札口は夏は暑く、冬は冷えます

よほど大きな駅でない限り改札口は屋外に開かれているため、空調を設置できないのです。改札室の中にストーブやヒーターといった暖房器具が用意されています。

この改札室越しにきっぷの回収や払い戻しの対応をしているイメージが強い方も多いかもしれませんが、私が勤めていた会社では「駅員はできるだけ改札室から出てお客さまを応対すること」と通達がありました。

ちょうどこの頃はコロナ禍でお客さまの数が減っており「利用してくれるお客さまが少ないぶん、1人あたりの質を高めよう」という狙いがあったのだと思います。仕事熱心な上司から『お客様へのお声がけを積極的に』という指示もあり、私も方針に従い改札口に立つ時間を増やしたのですが、壁のない場所では冷たい風が直接吹き付けてきます。

外で待つのは無理!

弊害はすぐに現れました。駅員は乗務員と違って手袋をしません。そのため手がかじかみ、いざ払い戻しの申告があったお客さまに返金しようとすると、紙幣の枚数を数えられないのです。

お客様との金銭授受に間違いがあっては本末転倒です。そのため社員たちは、サービスの質と業務の正確性の間で葛藤しながら、やむを得ず改札室内での対応に戻っていきました。

改札に2人以上社員のいる時間帯がずっと続けば中に1人、外に1人と役割分担もできますが、実際にはそうもいきません。

ほどなく私も「寒さで体調を崩したら元も子もない」と考えるようになり、改札室の住人に仲間入りしました。心なしか、温かい改札室にいるほうが仕事へのやる気も出ていたように思います。

怠けているわけでは…

会社が「外に出て応対するように」と推奨するのは、見栄えを重視してのことでしょう。

たとえお客さまがいなくても、改札口に立っているだけで駅員が働いている雰囲気を演出できます。一方で、改札室の中で椅子に座っている姿は、お客様から見ると怠けているように映ってしまうのではないか、という懸念もあったのだと思います。

特に困ったのはご意見の対応です。駅員は怠けていると言いたいのか、ご意見の本筋と無関係に「駅員が温かい場所にいてサボっている」と非難されます。たとえば列車内にうるさい乗客がいたというご意見の途中で、

「あなたたちはそんな温かいところでだらだらしていればお金がもらえるかもしれませんけどね、一般会社員は寒い中で一生懸命働いているんですよ!」

という具合です。ちなみに、当時の私は駅員であり一般会社員でした。

もちろん、これは一部の極端なご意見です。多くのお客様は駅員の状況を理解してくださいます。しかし、時にこうした言葉が深く突き刺さることもあり、サービスと労働環境の両立の難しさを痛感させられました。

改札室の中での仕事

では、駅員たちは改札室の中では何も仕事をしていないのでしょうか?もちろん、そのようなことはありません。忘れ物の管理や通達の確認など、外ではできない仕事をしています。

乗降時にお手伝いを希望するお客さまの案内準備も、改札室の大事な仕事です。

大雑把にいえば列車の到着時刻に合わせてアラームをセットするだけなのですが、このアラームをセットし忘れたり、時刻を間違えたりすると、重大な事故につながります。お客さまの介助に関わる業務は、ほかの仕事をしながら行うことはできません。

改札室の外から声をかけられてもお待ちいただく場合があるのはこのためです。介助関係のほか忘れ物の登録や払い戻し記録のチェックをしている最中で、どうしても手が離せない場合があります。「お待ちください」と返事があったときは、少し待っていてください。

本当に外のほうがいいの?

ところで、駅員だった当時から疑問だったのですが、お客さまは本当に駅員には改札室の外に立っていてほしいのでしょうか?というのも、適当な気温のときは改札室の外にいて周囲を見回していたのですが、近寄る途中で駅員と視線を合わせるのが気まずいのか、こちらを伺いながらふらふらと佇む方もいたのです。

ご用件があるのかと思ってお客さまの方向へ1歩近づくと、さも「自分は掲示板を見ていただけ」とでも言うように下がっていってしまいます。反対に気づかないふりをして別の方向に首を向けていると、お客さまから近づいてきて肩越しに「すみません」と声をかけられました。

その一方で、目が合うまで遠くをふらふらとし、目が合えばにっこりと小走りしてくるお客さまもいたので、どちらがよりよいのだろうと思っていました。

研修などでは「常にお客さまの目を見て笑え」と教わりますが、人によっては視線も笑顔も不快かもしれません。あなたは、改札口の駅員から視線を合わせてほしいですか?


ライター:川里隼生

鉄道会社の駅係員として8年間、4つの駅を経験しました。コロナ禍やデジタル化を通して移り変わってきた、会社としての鉄道サービスの未来像と、お客様それぞれが求めている鉄道サービスのあり方の両方から学んだことを記事にしていきます。


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